幼少期~ひとときの安息~
上手く言葉にできない部分があります。
祖母が帰ってきてから、親や兄弟の顔色をうかがう生活が少しづつ変化した。
サワダマンションは祖母の兄弟が経営しているマンションで、親戚も多く祖母が兄弟の一番の年長者ということもあり、親戚の俺たちを見る目が変わったからだ。
それまでは、ほとんど親戚と交流がなかったが祖母のおかげで親戚のところに遊びに行けるようになった。
狭い自分の家だけで過ごさなくなっただけで、世界がすごく広くなったような気がした。
そのおかげで兄弟の顔色を見て過ごす時間が少なくなり、のんびりとできる時間ができた。
親戚には、自分に近い年の子供が多く遊び相手にも不自由しなかった。その中では、自分が年長者に分類されていたのも大きかっただろう。自分の意見が言える環境はとても居心地がよかった。
しかし、今にして思えば親戚の中で親同士の確執が子供に影響を及ぼしていた一面も垣間見えた時期かもしれない。うちの家は早くに祖父を亡くし、親戚のどの家から見ても落ちぶれて貧乏だった。小さな子供の俺は気づかなかったが、そのことを皮肉として言われたことは、後になって考えると多く思い出せる。安息と言っても俺の場合は普通の安息とは違うのかもしれない。
それでも、自分の人生を振り返ると祖母と家族が一緒にいたときが、安息の日々だったと感じる。保育園に送って行ってもらったり、おやつをもらったり、友達や親せきと遊んだ時間は楽しかった。小さなころはその中でうちの家が特殊だなんて考えずに居られた幸せな日々だったと思う。
ただ、その中で自分の今抱えている障害の芽が出てきていたとも知らないままに。
なかなか自分の過去を冷静に描くのは難しいですね。