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第8話 計画内容

 脱走計画は、簡単だった。

 戦闘演習がある日、魔力封じの首輪が外されて、大体半分くらいが演習を終えたら。

 サラの魔法で、大人たちの意識を捉えて、最も私たち2人から意識が逸れている、そのタイミングでサラが私に合図する。

 私は、魔法で認識阻害をかけて、2人して気配を消す。

 そしてただ、歩いて研究所から出る。

 ただ、それだけ。

 それだけが、脱走の計画で、他に細かいことは何にも決めていない。

 それだけで、脱走できてしまった。

 脱走、できた。

「信じられないわぁ…」

「だから、言ったでしょ?」

「ええ…でも、まだ…」

「実感湧かない?」

「…そうねぇ、まだ、湧かないわねぇ」

 あれから実に、10日。

 実感が湧かない、という割にはリラックスした表情のサラに、安堵する。

 脱走から10日、私たちは今、研究所から3日歩いて着くくらいの山の中にいた。

 ちなみに私たちは脱走から走って1日くらいで辿り着いたのだが、その山に今、潜伏している。

 山で狩りをしたりモンスターを倒したりして、普通に生活している。

 ここで少し、私の記憶を整理しておこうと思う。

 私は、フィニス王国の田舎男爵家に生まれ、双子の姉がいたが容姿が似ておらず忌み嫌われ、いじめられていた。そして端金のためにあっさりと売られてしまった。

 売られた先は人体実験を主とする王国の端っこの森にある研究所で、そこでサラと出会った。

 本来ならサラは私を庇って実験中に死に、私が10歳になったあたりで研究所は潰れて、そのまま研究所を潰した男(私より1歳年上で、9歳くらいから主人に仕える暗殺者だった)の主人に拾われる。

 そこで暗殺やらなんやら、汚い仕事をさせられていたんだけど、15歳でこの国の第一王子暗殺を命じられ、王国で1番と言われる学園、王立アカデミーに入学する。

 1年先に入学していた先輩暗殺者(言わずもがな研究所潰しのあいつ)と合流し、任務にあたるが、そこで双子の姉と再会する。

 姉はなにやら特別な能力の持ち主だったらしく、田舎の貧乏男爵の令嬢でありながら王室やら神殿やらの援助でエリート学校に通えるようになったらしい。

 そこで私は愚かにも、彼女の愛を欲した。

 そして死んだ。

 死んだはず、なんだけれど、何故か私は気がついたら研究所時代の私になっていて、最初は夢だと思っていたんだけれど、あまりにも覚めなくて。

 最近では、夢なのか現実なのか、曖昧になってきた。

 けど、私はこのもう一度得られた機会を使って、私の大切な存在を、幸せにしたいと。

 ただそれだけを願っている、わけで。

 その第一となる研究所からの脱走は成功した、わけで。

 つまりこれからどうするのか、それをそろそろ決めなければいけないというわけだ。

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