暇潰し すたーと
「ジョシュー。依頼が、来ないよ」
お気に入りの椅子に腰掛けて、お気に入りの紅茶を飲みながら
某探偵風の服装の男性が声をかける。
「当たり前じゃないですか。そもそも僕らは、探偵業なんて
してないですからね?最近が忙しすぎただけですからね?」
「つれないなぁ。・・・暇なんだよぉ~。相手してくれよぉ~。また良い感じの依頼、持ってきてくれよぉ~」
いい大人が英国紳士風の格好で駄々をこねている姿は
なかなかに、ギャップがあって面白い。
「・・・そうですねぇ~」
僕の淹れた紅茶を、ふぅふぅと冷ましながら
キラキラと期待の眼差しを向けてくる。
「・・・では、師匠
依頼の代わりに、僕と推理勝負は如何でしょうか?
僕の提示する状況と謎、そして僕に対する質疑応答
その総合で僕の考えた答え、もしくは納得する答えに辿り着けるか。暇潰しには、丁度よいかと思いますが?」
≪推理≫という言葉に、師匠の顔つきが変わる。
鋭い眼光を放つ瞳に、少し怯んだ僕の姿が映っている。
「それは、私を相手に。推理で。君が。勝てる見込みがある、という事かな?」
いつものふざけた呼び方から、対等な相手への呼び方に変わる。
こと推理に関しては、この人は全力以上に本気だ。
「・・・はじめましょうか。僕らの、≪勝負≫を」