コラテラルダメージ
1章
コラテラルダメージ
人はいつ死ぬかなんてわからない。
人はいつ消えるかなんてわからない。
この世界の人間がいつ消えて居なくなるかなんて誰にもわからない。
知る術も無い。
それは、世界すらも理解出来てないのかもしれない。
神にしか分からないのかもしれない。
でも、それを知った先に何があるかなんて想像すら出来ない。理解すらできない。
この世界に生きる者達はそんなことを考えもせずに生きる。
生きて死ぬまでの過程。人生というもの。人それぞれの道を歩む。
誰にそんなことをしろとなんて言われてないのにしようとする。
この世界がいつまであるかなんてわからない。でも
明日、いや、今崩壊したら?
多分この世界に居る人みんなパニックになっちゃうね。
そいう時に初めて死を、自分がこの世から居なくなる事を知る。
知りたくないもの知る。恐怖する。
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「………!」
「…あぁ…誰か呼ぶ声が…」
「……!…おきて…!」
「…そんなに騒がなくても起きるから…」
「綾斗起きてっ!」
「…はいはーい……」
目まぐるしい朝が来る。いつも通り日を浴びる。自分は目覚めが悪くいつも起こしてもらわないと起きれないだらしない人だ。それにしてもやけに眠いな…
「もうっ!いつまで寝てんのさ!」
「起きるから起きるからー…」
「朝ごはん出来てるからね!早く降りてきて!」
こんな毎日。ずっと続いてる変わらない毎日。
俺は席につき、朝食を食べる。
「いただきまーす…」
「はい。いただきます。」
俺朝食を済ませ制服に着替えて学校に向かう準備をする。
俺はちょうどこの春高校に入学したばかりの1年生だ。
新しい学校生活を送るのだがそこまで何故か緊張しなかった。全く。
「綾斗ー。お姉ちゃんもう行くからねー。遅れるんじゃないよー。」
「いってらー」
俺はこの家に姉と2人だけでくらしいてる。親は俺を産んで2日後に交通事故で死んだ。姉。恵はもう立派な社会人だ。スーツを着て家を後にする。
準備も終わり家を後にする。
「おっと鍵しなきゃ。」
ガチャッ
鍵をかけいよいよ家をあとにする。
既に家の門のところには人が立っていた
「綾斗ー!おはよー!」
「お、おう。おはよう玲。」
彼女は伊野村玲。幼馴染だ。
この春、俺と同じ高校に通う。
「恵お姉ちゃん元気にしてるー?」
「あぁ、元気だよ。」
「むむっ、綾斗は元気がない!」
「そうかー?」
「うんうん」
そんなたわいもない話をしているうちに学校に着いた。家と学校が近いからすぐ着いてしまう。
「私こっちの教室だからーじゃーねー」
「あぁ、またな」
玲と別れ自分の教室に向かう。自分の席に座り読書をする。
クラスの中はみんなまだ顔合わせたのが昨日だけだったからお互いたどたどしい。
そうこう思ってるうちに男の1人がこちらに話かけた。
「おう!2日目にして読書とは君は文学少年かねー?」
少しおちゃらけて、軽い感じで接してきた。
自分は眉毛をすこし寄せて
「なんなんだお前。つか、文学少年じゃねーし。」
「まぁまぁそうツンケンすんなよー」
俺は初対面の奴にこういう軽い態度を取られるのがあまり好きではない。むしろ苦手だし嫌いだ。
だが、俺が1人だったので気を使ってくれたのだろう。
「はぁ…はいはい。で、お前名前は?」
そうすると変なポーズでキランッ!と効果音がなったのかと思う感じで言ってきた。
「俺の名は風見健次っっだ!」
ババーーンッ。てか。調子が狂うなほんと。
「あっそ…」
「てっおい!お前の名前を聞かせろよ!」
「ヘいヘーい」
俺は軽く。いつもの様に。そういつもの様に。
自分の名前を言った。話した。
「神崎綾斗だ。よろしくな。」
「綾斗か!よろしくっ!」
ガシッと握手された。
まぁこういうのもたまにはいいな。
なんか心地がいい様な気もする。
キーンコーンカーンコーン。
「おっとチャイムか席につこうぜ!」
「俺はついてるけどな。」
そんなこんなしてるうちに少し遅れて先生が教室の扉を開け入ってきた。
「はーい席ついてー。」
「授業始めるぞー。」
いつも通りの授業が進む。
黒板にチョークで字を書き。教える。
ノートに写す。学ぶ。考える。
でも、その日は何故か漠然と何もかも集中出来ていなかった。出来なかった。
キーンコーンカーンコーン。
「終わりー。みんな帰る用意して早く帰るんだぞー。」
そんなこと考えていたらもう帰る時間になった。
無駄に時間を過ごした気分だ。
帰る支度をし、校門を出た時だ。
「あーやーとー!帰るよー!」
後ろから玲が走って追ってきた。
「玲か。一緒に帰ろうか。」
「う、うん!」
いつも通りの日常。流れていく水のように。過ぎていく。変わらない。何もかも。
「カワラナイネ?ナニモカワラナイネ?」
と、脳内に直接響いた。女の人の声のような得体の知れない何かが。
「うっ…なんなんだ…?」
「綾斗?どうしたの?」
「いや…なんでもないなんで……も…?」
「え?なになに?」
そこには見えてはいけない何かが。
本来知らないはずのものが。
分からないはずのものが。
俺の目は、はっきりと捉えた。
「お、お前…いや、帰ろう。」
「???そっか帰ろう帰ろう!」
「そうだな…」
その瞬間。
「おい!玲!危ない!!!」
「グァァァァァァァッッッッ!」
バッと玲退ける。そこには魔獣のような人間ならざるものがいた。
赤い目をして。
オーガのようなそんな姿。
爪が伸び。
なんでも斬り裂いてしまうような。
そんなものが目の前に現れた。
「こ、これは…天災の幻魔獣共か!」
「言い伝えとか、歴史上の話じゃないの!?!?」
「玲!!とりあえず逃げるぞ!!!」
「う、うん!!」
グァァァァァァァッッッッ!
そう咆哮を放ち。こちらを追ってくる!!
だが、足掻きも虚しくすぐ追いつかれてしまう。
幻魔獣は大きく腕を上げ攻撃しようとしたその瞬間。
「汚い。消えて…」
そこには機甲のような、パワードスーツを彷彿とさせるような格好の白髪の少女が立っていた。
次の瞬間帯刀していた刀を抜き。刀身が紅く光る刃で幻魔獣を真っ二つに絶った。
ギャャャャャッ!!!!
その瞬間幻魔獣は一緒に消えた。
「た、助かった。ありがとう助けてくれて」
玲は腰が抜けてしまい。立てなかったが恐る恐る。
お礼の言葉を言った。
「あ、ありがとう…ございます。」
そう言われると少女は真顔で俺の顔を見つめこう言い放った。
「あなた、人の寿命が見えるようね。」
「え?綾斗…どういう……」
俺は動揺しその場に倒れ込み信じたくもない事実を今ここで完全に理解した。
そう俺は ''人の寿命''を見ることが出来るようになってしまった。
この時から。日常は音をたてて。ほうかいする。