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この作品は見切り発車です。設定も深く考えてません。そのため意見をしていただけると嬉しいです。
「今日は昨日話していた通り、部活動オリエンテェーションがこれからある。各自体育館集合だ。体育館に入るとクラスのプラカードを持っている奴がいるからそこへ名簿順で並んでろ」
体育館につくと、多くの生徒がすでに集まっていた。
促されるようにA組と書かれているプラカードに集まる。
名簿順だと俺の後ろは結菜なのだが、前のやつは覚えていない。
「ええっと、翡翠くんだよね?」
ぼけーっと突っ立っていると声をかけられる。
「そうだけど」
「僕は林誠、君の席の前だよ」
こいつが俺前の席だったのか。
爽やかイケメンってのはこういうやつのことだろう。
すこし中性的な顔立ちにおしゃれ眼鏡。女子人気高そうだな。
「実は昨日話しかけようと思っていたんだけど、放課後町田さんとすぐに帰ってたから話せなかったんだよね」
「なんで俺なんかに?」
「やっぱりクラスメイトとは仲良くしたいから。席も近いしね」
「そうか」
正直、こんな風に話しかけられるのは嬉しい。
昔から友達とかあまりいなかったからな。
唯一の友達には「お前は初対面のやつに対して素っ気ないから友達が増えないんだよ」って言われたのを思い出した。
なんでも話しかけづらい雰囲気を出してるとかも言っていたな。
それと俺から話しかけることはしないからな。
まだオリエンテーションは始まらないようなので、少し話す。
「昨日自己紹介でびっくりしたよ。翡翠って苗字なんて珍しいよね」
「俺の家系以外では知らないくらいには珍しいと思う」
「なんか名字がかっこいいのっていいよね。僕も林じゃなくて翡翠って苗字が良かったな」
俺からすれば翡翠の名なんて金輪際いらないけどな。来世でもこの家系以外でお願いしたい。
これ以上苗字の話をされても俺の気分が下がるだけなので、話題を変える。
「お前はこの学校に知り合いっていないのか?」
「同じ中学の人は何人かいるよ。それ以外でも部活とかで競い合った人も入学してたね、翡翠くんは誰か知り合いいないの?」
「俺はいないな。それでなんの部活をやってたんだ?」
「僕はサッカー部だよ。だから高校でもサッカーを続けるんだ」
やっぱり部活に入るのが決まりだから中学の部活と変わらないやつも多いだろうな。
俺は中学時代に何も部活は所属していなかったから、決めあぐねているのもある。
「部活は決めていないんだね」
「これからオリエンテーションもあるし、それを見て決める」
「それもそうだね。ところでさ・・・」
林は少し声量を下げて、俺の耳元に近づいてくる。
「町田さんとはどういう関係なの?」
「関係って言われてもな、後ろの席ってだけ」
「でも昨日一緒に下校していなかった?それに今朝だって一緒に教室に入ってきたでしょ?」
困ったな。どう説明するのが良いんだろうか?
素直に一緒に登下校している仲と言えばいいのか、それとも何かごまかすべきか。
ここはご本人に託せばいいか。
俺は振り返り後ろにいるであろう人物に声をかけた。
「ちょっと交代」
俺は結奈のお腹を両手で抱え上げ俺との位置を反転させる。
「え?」
結奈は一瞬何が起こったのかわかっていないようで俺を困惑の表情で見つめている。
「こいつが俺とお前の関係について説明してほしいそうだから説明してやれ」
「・・・今どうやって私を持ち上げたんですか?」
「ただひょいって上に持ち上げただけだろ。それより説明してくれ」
再び腰を持ち、くるっと結奈を林の方に向い合せる。
「「・・・」」
「ほれ、説明してやれ」
「いやいやいや!え?今何が起こったの!」
「林、お前もか、だから持ち上げて結菜をお前の前に移動させただけだろ」
「そんなことしてたの!気づいたら町田さんが僕の前にいたんだけど!」
「そんな気にすることでもないだろ。それより関係について聞きたいって言ったのはお前だろ。結菜から聞けよ」
「え、ああ、うん。町田さんと翡翠くんってどんな関係なの?」
林はまだ混乱しているようだが、たどたどしく結菜に聞いた。
その結菜もまだ状況を理解していないみたいだが、なんとか答える。
「ええっとですね。一緒に登下校をしてもらっているんです」
「してもらってるって?」
「実はここ最近不審者の目撃情報が私たちの住んでいる近くでありまして、それで女子だけでは不安なので、翡翠くんと一緒に登下校しているんです」
「そうなんだ。それは怖いね」
(不審者か)
「でもなんで翡翠くん?さっき聞いたけど二人は知り合いでもないんだよね?」
「実は、昨日電車内で私の友達のために席を譲ってもらったんです。それで優しい人だなと思い、話を聞いてみたところ、同じ新入生でこの時間の電車にこれから乗るそうなので、不躾ですが一緒に登下校してもらえないかと頼みました」
「へぇそうなんだ。でもいいなぁ、町田さんみたいな綺麗な子と一緒なんて羨ましいよ。僕が変わりたいよ」
「それはやめておいた方がいいですよ」
「え?なんで?」
「あ、あれですよ。不審者は大変危険ですから危ないかもしれません」
「それは翡翠くんも同じでしょ」
「彼は少し見た目が強面だから、不審者も彼を襲わないと思いまして」
「それは確かにあるかもね」
二人の視線が俺に向けられる。
そんな俺は新入生に可愛い子がいないかと周囲をくまなく観察している。
まぁ居たところで声をかけたりするわけでもなく、ただ眺めるだけだ。
(俺って強面だったのか、姉ちゃんに聞いても可愛いとしか言われていなかったからてっきり可愛い系だと)
「ああ、これよりオリエンテーションを始める。各自クラスの場所に座ってくれ」
体育館の壇上に先生らしき人物に促されて会話を切り上げ、その場に座る。
「各自このオリエンテーションを参考にして部活動を決めるといい。部活動への入部期間は5月の終わりまでだから時間はあるからじっくり選んでくれ。それでは最初の部活動は出てきてくれ」
見ていると、サッカーや野球などのメジャーな部活動だけではなく、フェンシング部などもあった。それに変わり種の部活も多くあった。
個人的に気になったのは、文学文芸文化遺産部だ。
すこしむくれた表情の男と女子二人が壇上にあがった。
「ええっと、俺たちの部は文学文系文化遺産部です。主に小説を自作したり、文化遺産を学び、広めていく部です。てか何で俺が説明してんの?二人がやってくれるって言ったから俺も壇上に上がったのに」
「いいから続けろ、眼鏡」
「ひぇ!ええっともし入部すればもれなくこの美女二人からご褒美がもらえっっっ、ふべら!!!」
男が壇上で吹っ飛んだ。
隣の女の見事なスカイアッパーが顎にクリーンヒットして地面に激突する。
倒れた男だが、最後の力を振り絞り、倒れながらマイクを握る。
「男の入部、希望者はいなくて、いいから、女子部員は歓迎!俺のハーレムに、おいで!」
その言葉を最後に男は力尽きた。
そのあと、隣の女の腹蹴りで無理やり起こされ、退場させられた。
他の部活動紹介は、実演などして拍手をもらっていたのだが、この紹介だけは体育館の生徒が全員ドン引きしていた。
俺も少なからず引いてしまったが、小説を自作していることについては興味があった。
この部活以外に心惹かれるものはなかったので、この部に決める。
(あとは、結奈たちがどうするかだな)
ぶっちゃけ、同じ部でなくとも登下校くらい付き合ってやるから、気にしなくてもいい。
(まぁあいつらが勝手に決めるだろ)
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