第2章第22話「悪夢の裁判1」
裁判長「では桃山検事。冒頭弁論を」
ユズ「事件が発生したのは12月29日の昼の12時55分。被害者の『中岡竜崎』51歳は自宅で自分の誕生日パーティをしていた所に、被告人の加納夢麻がパーティ会場に侵入し、被害者をナイフで心臓を一突き。そのまま逃走。参加者や周辺住民の目撃証言で被告人を特定し逮捕に至った。以上です」
裁判長「うむ…。では被告人。証言台へ」
夢麻は証言台へ立った。
ユズ「では、名前と職業を」
夢麻「…株式会社天魔堂に勤務をしている加納夢麻と言います」
裁判長「おぉ。貴女が最近発売されたゲームを作ったと言う…。いや、私の孫も即刻クリアしたらしいですが、ATMとやらで記録を狙っているみたいようで」
夢麻「はぁ…喜んでいるのなら幸いです。それにそれはATMではなくRTAで…」
ユズ「裁判長。今は裁判中です。私語は控えに」
裁判長「申し訳ありません。それで被告人。今先ほどの冒頭弁論について間違いはありませんか?」
夢麻「いいえ。私は被害者の事は知りませんし殺人もしてません」
ユズ「あれだけの目撃証言があるのにまだ言い逃れをするつもり?…いいわ。いずれボロが出るのだから。裁判長。検察側は殺人罪で有罪を求めます!被告人には過去にも犯罪を行っている凶悪犯です」
殆どの傍聴人がざわついた。
裁判長「静粛に。被告人には前科があるとは知りませんでしたが、私にはそうは見えませんが」
ユズ「裁判長。現にも当時の資料にも載っています。ですが、今は殺人の裁判ですので」
裁判長「わ、わかりました。…では弁護人。被告人が有罪になる事を意義はありませんか?」
ずっと黙っていた成歩道は口を開いた。
ナルホド「もちろん被告の完全無罪を求めます!」
裁判長「そうですが。では被告が有罪になるか無罪になるか、その審理を始めましょう」
ユズ「…ではこの事件の担当刑事を」
証言台にいるのはユズの姉のキザクラだった。
ユズ「では、名前と職業を」
キザクラ「警視庁捜査一課の刑事をしている桃山キザクラと言います。最初に言っときますが検事の姉ではありますが、私情は挟みませんのであしからず」
裁判長「おぉ。通りで苗字と顔が似ていると思いましたがいやはや。…では証言を」
キザクラ「…では、先ほど検事が言った通り、事件発生は12月29日の昼の12時55分。凶器は市販製の文化包丁で心臓を一突き。刺した直後に凶器を捨て逃走。犯行の数か月前から被害者の家に出入りした記録があります」
その記録は防犯カメラの映像が記録されたDVD2枚だった。
キザクラ「1枚は今言った数か月前の映像。もう1枚は犯行当時の映像で、後に証言台に立たせる証人の1人が撮影しました。今再生します」
1枚目の映像を流す。フードを被り口元は赤色のマスクをしているが、顔は夢麻だ。2枚目も犯行の瞬間が映っており、同じくフードでピンク色のマスクだった。昨日見た通りの映像で、犯人が左手に持ったナイフで被害者を刺していた。
キザクラ「顔もはっきり写っているので証人の犯行で間違いない。…以上です」
裁判長「うむ…。では弁護人、反対尋問を」
ナルホド「はい!」
成歩道はネクタイを締めて返事をした。
ナルホド「では裁判長!早速ですが、今の証言と今の2つの映像には矛盾があります!」
キザクラ「何ですって?どこに矛盾が?」
ナルホド「貴女、こう証言しましたね?『顔もはっきり写っている』っと。けど、映像にはフードとマスクをしていて、顔の上部分以外隠れていた。何故不確定な状態で被告が犯人と決めつけるのですか?」
キザクラ「な!?」
ユズ「!?」
なお(相変わらずの良いツッコミね)
裁判長「確かによく見ればこれでは顔の判別が難しいですな」
ユズ「そ、それは言葉のアヤじゃない!逆に言えば、その顔の部分が被告によく似ているじゃない!」
裁判長「確かに。よく見ると顔の上半分が被告に似ておりますな」
キザクラ「…?」
キザクラが一瞬表情を変えた。
裁判長「どうしました?」
キザクラ「あ、いえ。ついでに、証拠品として被告の自宅の近くに落ちていた証拠品を提示します」
キザクラはフードのついた灰色のコートと変わったマスクを提示した。
コートの方は見覚えが無いが、マスクの方が見覚えある。
数か月前に発売されたばかりの裏表の色が違うリバーシのマスクだ。洗えば再び使えるタイプのマスクで今若い女子の流行だ。表はピンク色で裏が赤色のマスク。確か一昨日発売されたばかりの新色だ。
夢麻(…あれ?何か頭に引っかかるような気が…?)
ユズ「では次に事件当時にパーティに参加していた被害者の奥さんを証言台に」




