第2章第5話「カップケーキと大グモ」
10分後
ウィング「おそかったな。おまえたちにとってどらごんとたたかえるきがいがないからいいたいけんだったろひゅーまんぞく」
葵「おかげさまで。危うく三途の川を渡ってしまう所だったわ」
葵達の髪はボロボロになっていた。
葵「所で、このメイドは何なの?」
乗り物に乗りながら葵はペーシュの事を聞いた。全員乗り込んだ瞬間動き出した。
アンジュ「私の侍女よ。一応ね」
侍女?王子様やお姫様とかの側近の?
なお「アンジュは元々天界で有名な貴族の娘でペーシュはアンジュが5歳から使えているメイドよ」
有名な貴族って…アンジュはお嬢様なの?!
なお「けど、ある事件があって身分をはく奪されたのよ」
夢麻「はく奪って…何があったのですか?」
ウィング「あぁそれは…」
アンジュ「アンタら。あまり政策しないでくれる?」
ウィング「え?けど」
アンジュ「もう済んだことだから」
何か悲しそうな顔。何かあった事を悟ったが、あまり触れたくないようだ。
なお「…まぁいいわ。身分はく奪されて、家も追い出され、親しい友人も手のひらを返されたように離れ、唯一の味方は…」
ペーシュ「この私です。身分をはく奪されても、私はアンジュリーゼ様のお側に生涯仕えますので」
唯一の味方。なぜメイドが囚人と共に監獄にいるのかと思っていたけど、そこまでの信念があるのか。けど、何があったかは知らないけど彼女をそこまで追われるなんて。
なお「前にも言ったと思うけど、天使も悪魔も天魔も良い人だけとは限らないのよ」
アンジュ「…そして私を拾ってくれたのはお母さまだった…」
夢麻「お母さんって…身分を…」
アンジュはその先を言うなと手でストップをかけた。
アンジュ「お母さまと言っても十二天王の上である会長で女神でもあるお方の事だけど」
会長で女神?そう言えばウィングも「お母さま」と言ってたような気がするけど、その女神さまの事を言っただろうか。
アンジュ「あのお方は実の親よりも優しくて暖かかった。あのお方が女神でなかったら今の私も無かっただろう…」
さっきは冷たい対応してたけど、本当は尊敬してるんだ。
アンジュ「…けど、お前はお母さまの名を語って出所させるなんて私は信じないからな!」
なお「何よ。まだ信用してないの?一緒に修業した仲なのに」
アンジュ「私はそれ以上でもそれ以下でもない」
なお「やれやれ。一応お母さまからお土産を渡して来いって言ってたから」
乗っているバッグから容器を取り出し、アンジュに渡した。
アンジュ「これ…」
なお「アンタの為にお母さまが直々に作ったカップケーキよ」
カップケーキを手に取る。
カップケーキ…。
故郷を追われて途方に暮れたときに自分を拾ってくれた女神があんまり料理した事の無かったにも関わらずに作ってくれた思い出のお菓子。
ひとかじりすると、あの時の味がする。自分にとってどんな高級料理よりも不器用ながらも自分の為に作ってくれたカップケーキが1番美味しかった。
るな「アンタ、美味しすぎて泣いてるの?料理下手なお母さまの味が美味しいなんて、ここに居すぎて舌がおかしくなったの?」
無意識に泣いてたようで慌てて拭う。
アンジュ「め、目にゴミが入っただけだから…!」
光のトンネルを越え、辺り一面の砂漠と岩山しかない光景が映った。
ウィング「ここが『ばんぱ』!水も植物も全く無い、かんごくのいかいのなかでもっともかこくなばしょである!」
水も植物も無いなんて、普通なら生きていけるはずが無いな。
ウィング「あぁ…、もうすぐぶろりとおわかれなんて~」
なおは辺りを見渡した。
葵「どうしたの?見渡したりして」
なお「いや…さっきの異界のアルゼナールに比べて、静かすぎる…」
嵐の前の静けさと言うべきか、妙な胸騒ぎがする。
すると、目の前の地面から何かが出てきた。
巨大な大グモだ。ビル3階分の大きさだ。
ウィング「きをつけろ!こいつはひとくいぐもでつかまったらさいごだ!」
葵「こ、こんな所に止めないでくれる!?」
ウィング「わたしにもよそうがいだ!こんなおおきさ、わたしでもはじめてだ!」
大グモが雄たけびを上げ襲い掛かろうとした。
その時だった。
大グモが謎の影に蹴られ、吹き飛ばされた。
その人影は、大きな大男だった。




