第55話「6600万とババ抜き」
なお達が店を出てから数分後
金谷は酒瓶に蓋を開けてグラスに注いだ。
金谷「それで、アイツの情報を見つけたのか?」
なお達の経歴や家族構成を調べている部下達。
部下「一応見つけたのですが…気になることは2つ」
金谷「なんだ?」
部下「ひとつは、あの桃山っていう女ですが、どうやら二人の姉がいて、片方は刑事でもう片方は検事なんですが…」
金谷「刑事に検事か…。けど、逆にあいつを利用すれば、警察の情報を手に入れられるかもしれないな…。それで、気になるってのは?」
部下「知っていると思いますが、数か月前に起こった奇妙な事件を調べているそうで、なにやら、いきなり怪物になった人間が、謎の人物によって退治されて、元に戻った後に人が変わったように悪行を自白すると言った事件で…。2人とも、それを調べているみたいで…」
金谷「そんな事件、俺には関係ないな。それで、もう一つの気になることってのは?」
部下「先ほど乗り込んできた女達の中に緑と青、赤に金髪に紫の髪の女達の事で…」
金谷「確か上司っぽい連中だったな。それがどうかしたか?」
部下「…姉妹ってのは確かなんですが、そのほかのプロフィール…いくら調べてもわかりません」
金谷「ちゃんとやっているのか?」
部下「もちろんです!?ロックがかかっているみたいですけど、どれもこれもそれ以外は全て空白なんです!」
金谷「何だと?」
部下「もちろん必死で調べています!…けど、さっき言った事件の目撃情報では、その謎の人物は、緑の髪やら、紫の髪やらしていたって…。偶然には出来すぎているような…」
金谷「そんなの、マスコミが記事を大げさ気書いているだけだ。仮に同一人物だとしても、こっちには写真があるんだ。どっち道あいつ等の人生は終わりだ」
?「だが、万が一の事があるわ」
入口の方から影で顔が隠れているが、女性が立っている。
金谷「誰だ!?」
ミオ「あの女達の敵って言っとくわ。あいつ等は一筋縄では行かないわ。どう?確実に金が欲しければ、今から渡すいい物をあげるけど?もちろん無償で」
金谷「……嘘じゃねぇだろうな?」
ミオ「嘘なんかつかないわ」
不敵な笑みを浮かべるミオ。
10月15日 午後10時 金谷のいる店
9人の部下と隣に座っている女性と共に腕時計を見て待っている金谷。
金谷「残り2時間か。どうしてもこの写真をさらけ出してほしいようだな。だったら望みどおりに…」
すると、入口からバンっと大きな音がし、るなを先頭にしたなお達が現れた。
金谷「ギリギリじゃないか。約束の金、持ってきたか?」
るなはアタッシュケースを見せつけた。
るな「3300万用意してきたわ。しかも」
アタッシュケースをもう1個見せつけた。
るな「その倍がね」
金谷「ろ…6600万!キゲン直しのつもりだろうが、まぁ約束は約束だ。すぐによこせ」
るな「すぐには渡せないわ」
金谷「何だと?」
るな「これはアタシ達にとって大事なお金でね。『はいどうぞ』と渡すのもつまらないわ。どう?アタシ達と、ゲームしない?」
金谷「ゲームだと?」
るな「しかもただのゲームじゃない。これは天使と悪魔が見守る天魔のゲーム。そっちで11人。こっちで11人。11対11のチームでゲームをしようじゃない。賞品はあの写真が入ったケータイとこの6600万。アンタが勝てば、倍のお金が手に入るわ。どうする?」
金谷「…面白い。俺は昔はデブで醜くて貧乏でよぉ。この地位に上がるまで何でもやってきた。だからもうあの頃には戻らねぇ。そのゲームで、お前らの金を根こそぎとってやるわぁ!!」
るな「OKって事でいいのね。いいわ。とりあえず、自分・相手と交互にテーブルの円に座って」
緊張が高まる中、テーブル中心に円を囲む。
金谷(とは言った物の、いったいどんなゲームをやる気なんだ?)
ユウリは怯えながらるなを見た。
ユウリ(脅迫されてんのに、ゲームやなんて、一体何考えてるんや!?)
心配をよそに、るなは、懐を探っている。
るな「ルールを説明するわ。アタシ達がこれからやるのは、『ババ抜き』よ」
金谷「ババ抜き?何かと思えば、そんなガキの遊びなど!」
るな「ババ抜きは古いけど、戦略性の高い心理ゲーム。けど、これからやるのは少しルールを変えたババ抜きよ」
懐からトランプの束を取り出したが、妙に分厚すぎる。
るな「使うトランプは新世界へ導く市場街で手に入れた超大人数用の2602枚のトランプ(価格1500クリスタル)。この人数なら問題なくスムーズにやれるわ。そしてもう一つ」
るなは束からジョーカーを1枚抜き取った。
るな「基本ルールは普通のババ抜きと一緒だけど、手持ちのカードがなくなってしまった者は脱落。最後の一人までにジョーカーを奪い合い、手元に残ってた者が勝利し、賞品を獲得できるわ」
金谷「確かに面白そうだな。一人でも多く生き残っていれば有利だな。それじゃ、さっさと始めようじゃないか」
るな「それじゃ、2枚になっているジョーカーの内1枚を抜いてカードを切るわ」
カードがシャッフルし、配られ、組になっているカードを次々とテーブルに出した。
るな「さぁ、ゲームを始めるわよ」




