第49話「葵の物語5+夢麻の物語」
9月7日午後1時 天魔堂
夢麻と優香に先日の一軒を話す葵。
夢麻「そんな事があったのですか。しゃべり方が変わったからどうしたんだろうと思ったけど」
葵「過去のアタシとは完全に決別したんだ。これで心につっかえる物がなくなったわ」
夢麻「それで、これからはどうするのですか?」
葵「もちろんここの仕事は続けるけど、家は出るわ。もちろん、兄弟たちと縁を切って」
優香「当てはあるのですか?他の兄弟のことも気になるし…」
葵「…さぁ。とりあえず父から早く縁を切りたかったから後の事は考えてないわ。兄さん達や会社がどうなろうと、もうアタシには関係ないから」
巫女「だったら、家にくればいい」
有原姉妹が話に割り込んできた。
亜子「部屋も空いてるし、駅は徒歩1分。しかもまかないありだ。こんないい所無いだろ?」
葵「う~ん。大丈夫か?あの店がアンタらの家でしょ?マスターに断ったりしないか?」
巫女「シャチョー達も呼んでパーティしよう。あ、料理は鍋にしてくれ」
葵「何アタシを店に住む前提の話になっているんだ!?絶対に断れるぞ!??」
同日午後7時1分 喫茶店ソプラ
竜二郎「構わねぇよ」
葵「え?いいのですか?」
あっさり了承の返答で唖然する葵。なお達は鍋の材料等を持っている。
竜二郎「今更1人増えようがふたり増えようがどうってことない。その代わり、夜中騒いだり、ボヤを起こしたりはするなよな」
葵「あ、ありがとうございます」
巫女「さ、上に上がって。案内するから。亜子はここを連れてきて」
亜子「あぁ」
そういって一同は上に上がった。
夢麻「お邪魔します」
るな「どうも」
りお「〆は冷麺でいいかしら」
葵「いや、普通はラーメンでしょ!?」
上に上がっていく一同を竜二郎は眺めていた。
竜二郎「友達ね…。しかも、上司まで連れて…。変わった会社だな…」
同日午後8時10分姉妹の部屋
鍋を煮込みしばらくして蓋を開けた。中身はかなり煮込んでおり、おいしそうだった。
一同は「いただきます!」と言い具材を取りまくった。一同は肉を取り合ったり、ワイワイ話し合ったりした。ここは相変わらず無表情だが、姉達は心は喜んでいると言った。
葵「しっかし、アンタ達の性格の割には部屋がきちんとしているな」
有原姉妹の部屋はパソコン機器やアニメグッズなどがたくさんあるが、きちんと並べていた。
亜子「こう見えても妹のここ思いだからな」
巫女「姉の私達がしっかりしないとな」
葵「意外にしっかりしているな」
夢麻「そういえばふたりはどうやって天魔堂に入ったのですか?」
巫女「ん?ネットの広告で」
葵「ネットって…アンタら、そんな広告出してたの?!」
なお「ひとりでも多くの人材を集めないとね。アタシ達が使っている化身を大量に使えば疲れてしまうし」
亜子「ずいぶん現実的だな」
広告を出した理由を聞いて葵は苦笑いをするが、こんなあったかい食事をとるのは初めてだと思った。家にいた頃は温かいものを食べても心は温かくなれない。そんな時を幼少期から続いていた。
…アタシがのんに近づいたのは、この鎖を開放してほしいかったかもしれない。そう思った。
葵「…なぁ…えっと…夢麻?」
夢麻「?何ですか?あ、初めて名前を呼びましたね!?」
葵「どうだっていいわ。それより、アンタはどうなの?」
夢麻「どう…って?」
葵「アタシの過去も知ってもらったし、他のみんなも過去も知った。アンタの過去も知る権利があるわ」
るな「…そういうことね。…けど、なおの姉貴から聞いたけど、あの会社の社長のせいで自殺に追い込まれたと…」
夢麻「……それもあるけど…それよりもっと…」
葵「…言っとくけど、アタシは絶対に笑わないから…」
そう言われてみんなを見渡す夢麻。
夢麻「…少し…長くなるけど…」
なお「構わないわ」
夢麻「…じゃぁ……あれは…小学生になって初めての夏休みが終わったしばらくの事だったわ…」
十数年前のとある日のお昼休み
小学生の夢麻が教室に戻った時だった。
夢麻の親友が集団いじめを受けていた。
夢麻は彼女をいじめるなと止めに入った。
その次の日からだった。いじめの対象が夢麻に変わったのが。
夢麻に暴言を吐いたり机に悪口を書くのは序の口であり、自分達の宿題を夢麻に押し付けたり、夢麻を階段で転ばせてケガさせたりと。
ひどい時には、万引きや小さな幼稚園児の暴行の罪を夢麻に擦り付け、通っていた小学校を退学されたのである。
いじめられた親友はいじめの集団に威圧されたのか、いじめの対象を夢麻に変わったことで罪悪感を持ったのか、夢麻を助けなかった。
夢麻の家族は何度も訴えたが、学校ぐるみの隠ぺいにより、事件が明るみにならず、父が務めていた会社を解雇され、住んでいた家も追い出され、追われるように故郷の街から立ち去り、以降は貧弱な生活を送ったのである…。
現在
葵はテーブルを強く叩いた。
葵「聞けば聞くほど酷い話じゃない!!」
のん「…本当に…。そう言う人達こそ天魔達に罰ゲームを受けて改心すればいいのよ」
優香「何で…、その子も他の人も助けに入らなかったの…?」
るな「…ホントは助けたかったけど、その勇気が出せないのよ。夢麻のように止めに入れば自分にも危害を受けるのじゃないかって恐怖が」
葵「けど!何で学校が隠ぺいしたり、家や街を追い出したりするのさ!?一番意味が分からないわ!」
なお「今となっては知る方法がないけど、いじめの集団にその手の権力を持った親を持った子がいたのかも知れないわね」
葵「政治の力でなかったことに?…ありえなくは無いと思うけど、そんな奴が本当にいるの?」
りお「なおが言ったはずです。知る方法がないって」
葵「けど…」
夢麻は首を横に振った。
夢麻「いいのよ。結果がどうあれ、親友を助けられたし」
なお「夢麻は優しいのね。…けど、1年前のあの悲劇でアタシが助けに入らなきゃ、夢麻の心も体も命も壊れてたわ…」
葵は目を閉じて考えた。
葵「…なぁ。天魔達は、悪人を改心させることができるのか?」
しゃる「一応ね」
葵「…なら、天魔達に契約したアタシ達も、改心させる力を持っているよね?」
しゃる「契約者と天魔達が一緒ならね」
葵「…なら決めた。アタシはその力で、クズで腐った大人達を改心させて、見返し、もう2度と、アタシ達と同じ目に合う人達を出させないようにしたい!」
夢麻「葵さん…」
葵「どう言われてもいい。どう見られてもいい。このアタシでも、誰かの力になれるなら…」
なお「…この先、どんなに危険な目にあっても、どんなに苦しくても、もう引き返せないわよ」
葵「…アタシ達の人生は、クズな大人達のせいでもう死んだも当然よ。誰かを助けるためなら、死んでもいいわ!」
のん「死ぬなんて絶対にさせないわ。アタシ達がいるもの」
葵はみんなを見渡した。最初はそれぞれ孤立していたが、今は仲間がいる。この仲間達なら、どんな壁も乗り越えられるはず。
夢麻「葵さん、私達も手伝うわ!ゲーム作りは勿論、人を助けるのを!」
葵「最初に契約したアンタが言うのも変だけど、その通りね」
夢麻は手を出し、みんなの手も重ねた。
夢麻「私達なら、きっと変えられる」
葵「悪人が弱い者を支配するこの世界を!」
決意が固まり、本当のスタートが切られたのである。
なお「これでみんなの決心が固まったね。それじゃ、活動を更に大きくする為に、引っ越しでもしようか!」
夢麻・優香・葵・有原姉妹「引っ越し?」
ステージ11GAMECLEAR!
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