第3話「盗作された!?」
次の日
夢麻は自分の席に着き、鞄から書類を出そうとしたが、異変に気付いた。
夢麻「あれ?私のシナリオがない?昨日はあったのに…。もしかして、ラーメン屋さんに忘れて来た!?」
もしかしたら、先輩のなおが拾っているかもしれない。後ろに通った上司に聞いてみよう。
夢麻「あの!なおさ…緑天さんはいつ入社しますか!?」
上司「緑天さん?誰ですかその人?」
その返答に夢麻は驚いた。
夢麻「誰って…私の隣に仕事していたキャラ班の人ですよ!?」
上司「隣って…そこの席、もう何年も使われてないのよ。何で使われてないのかは知らないけど」
夢麻「え?!」
夢麻は理解できなかった。なお先輩が存在しない!?どういうこと?それじゃ、昨日そこに居た人は?
上司「悪いけど、緊急の発表に出なきゃいけないので」
夢麻「え?何ですかその発表て?聞いてないのですが」
上司「私も突然でびっくりしたわ。けど、何故か加納さんは出席してはいけないって言いているけど何でかしら?」
私は出席してはいけない?どういう事?
会議室前
緊急の発表に参加できない事を疑問に思った夢麻は、こっそり扉を開けて中を覗いた。
中には、発表者と思われる中年の男がいた。
よく見るとあの人物には見覚えがあった。
この会社の社長で数々の名作ゲームを生み出してきたプロデューサーの「悪山盗男」だ。
ボードに何か書かれていた。
夢麻「!?あ、あれは!?」
ボードには自分が考えたゲームが書いてあった。しかも、プロデューサーの悪山は、自分の考えたゲームと発表されている。
まさか、盗作された!?
その日の夕方。夢麻は悪山に抗議した。
夢麻「何で私の考えたゲームを盗作したんですか!」
悪山「盗作?何の事だ?あれは私が考えたオリジナルのゲームだ」
夢麻「ふざけないでください!あれは私が小さい頃からずっと考えたシナリオなんです!」
悪山「くどい!」
悪山は夢麻を突き飛ばした。
悪山「そんな証拠どこにある。そんなこと言い回し経って、社長の私と新入りのお前をどちらを信用するか考えるまでもない。貴様はたった今クビだ!二度とこの会社に来るな!」
悪山は夢麻に唾を吐き出て行った。
夢麻はその場で泣き崩れた。
その日の夜
盗作された挙句、クビにされた夢麻は、自宅のマンションの屋上の縁に立っていた。
泣いても泣いても涙が枯れず、もう生きていく自信を失ってしまった。
もう何もかも失い、身体を、遥か下の地面に身を投げた…。
すると、右腕が誰かにつかまれ、宙に揺れていた。見上げると、そこに居たのは、緑天なおだった。
なおは、そのまま夢麻を引っ張り上げた。
夢麻「な、なおさん…。どうしてここに…?」
なお「貴女がクビにされたと聞いて、急いで貴女の後を追いかけて来たわ。間に合ってよかったわ」
夢麻「なおさん…なおさ~~~~~ん!!」
夢麻は、なおの胸元に泣き出した。
なお「辛かったわね。入社2日目でこんな目に合って…」
夢麻「なおさん…私…私…」
なおは夢麻を抱きしめ、ゆっくり背中を撫でた。
なお「いいのよ。何も言わなくても分かるわ。…あの社長が貴女のシナリオを盗んで、貴女をクビにしたことを」
なおは夢麻の顔を見つめた。
なお「何も言わずに聞いて。貴女の怒りと悔しさ。アタシが何とかしてあげるわ。けど、二つだけ約束して」
夢麻は泣きながら無言で頷いた。
なお「もう2度と死のうなんて考えないで。そして、今から起こることを誰にも言わないで」
なおは立ち上がると、スマフォを取り出し電話をかけた。
なお「……アタシよ。早速初仕事よ。準備して」
電話を切ると、何となおの背中に、翼が現れた。
片方は天使の。もう片方は悪魔の翼だった。
なお「…さぁ。始めようか。天魔のゲームを!」