第35話「有原ここ」
時間を少しさかのぼり…
天魔堂から帰って来た亜子と巫女は、自分達を預かっている店主がやっている喫茶店「ソプラ」の屋根裏の自分達の部屋で支度するために店に入った。
男「ん?帰ったか」
亜子「ただいま…」
巫女「この後歓迎会やるから、夕飯いらないよマスター」
マスター「あぁ、この前入った会社の…」
亜子「それで、妹の『ここ』も連れていこうかと」
マスター「ここか。そう言えば来年で中学生になるんだったな。お前達を引き取ってからもう3年になるのか」
巫女は階段を上がっていった。
マスター「店じまいして帰るから、看板を閉店って変えといてな」
そう言ってマスターは店を出た。
そして巫女は小学生位の少女を連れて降りて来た。
姉妹の妹『有原ここ』の表情は無表情で、目は死んだ魚の目だった。
亜子「まだお母さんが死んじゃった時のトラウマが残っているみたい」
巫女「けど、私達もまだ心の傷が残っている…。私達のせいで…」
そう言って3人は店を出た。
少しして歓迎会をする店を探していた。
亜子「…あれ?おかしいな。確かこの辺りのハズだったけど…」
世界地図を見ながら店を探している。
すると、通りすがりの男性にぶつかってしまった。
亜子「あ、すみません」
謝ってそのまま立ち去ろうとすると。
男「あ、あいたた!骨が折れた!」
ワザとらしく声を高く上げる男。
そして3姉妹に突っかかって来た。
男「おい!慰謝料300万だせ!」
巫女「ちょっと!ぶつかったぐらいで骨が折れるなんて非現実じゃ…!」
男「黙れ!」
男は巫女を殴り、巫女は壁にぶつかって気を失った。
亜子「巫女!」
すると、男は姉妹の顔をよく見た。
男「ん?お前らよく見たら、ネットで騒がれている『母親殺しの姉妹』だな?けっけっけ。いいカモを見つけたぜ」
男は亜子の胸ぐらを掴んだ。
男「ネットじゃ、お前達のせいで研究者の母親が自殺…いや殺し、ネットで顔も実名もばら撒かれ、世間で厄介者になってたな。お前らをここで死んでも誰も悲しまねぇしな」
亜子「こ、ここだけは手を…」
男「うるせぇ!」
男は膝で亜子の腹を蹴り、地面にたたきつけた。
ここはそれを見て、頭に何かがよぎった。
お前達のせいで有原先生は死んだんだ!
お前らは生まれてこなければ!
死ね!人間のごみ共!
頭から声がよぎり、ここは悲鳴を上げながら頭を抱えてしゃがみこんだ。
男「うるせぇ!クソガキ!」
男がここの頭を蹴り飛ばそうとした時だった。
夢麻「やめろ!」
寸前で夢麻が駆け付け、男を突き飛ばし、男は転倒した。
亜子「か、加納先輩…」
頭に血を流しながら亜子はそう呟いた。
夢麻「二人共大丈夫!?」
亜子「そ、それより…妹のここを」
夢麻「え?」
夢麻はうずくまっている少女を見た。
夢麻「もしかして連れて来たい家族って…」
すると、夢麻の後ろに男が立ち上がった。
男「このあばずれが!」
後ろから夢麻を蹴り飛ばし、倒れた夢麻に踏みつけた。
男「いてぇじゃねぇか。まずはお前からぶっ殺してやる!」
大きく足を上げ、大きく踏みつけようとした時だった。
足の下には、夢麻は消えていた。
同時に、自分は体にロープが張られ、建物の屋根に立っていた。
男「う、うわー!?な、なんだこれは!?」
それに気づくと、ロープにつかまりぶら下がった。
すると、屋根の一番上に、緑の髪の女性が立っていた。
なお「そんな事をするくらいヒマだったら、アタシがアンタの遊び相手になるわよ」
男「な、何だと!?」
なお「どう?アンタに度胸があるなら、アタシとゲームで勝負しよう」
男「ゲームだと?」
なお「それもただのゲームじゃない。これは天使と悪魔が見守るゲーム。アンタが勝てば慰謝料をいくらでも払うわ」
こんな不可解な状況なのだが、男は何故かニヤリと笑った。
男「面白い。俺はこれまでどんなゲームも負けたことは無いぞ!受けて立つ!」
なお「…そう来なくちゃね」
なおは男に結ばれているロープのもう端っこで自分の体に巻き付け、飛び降りた。
その際に、手から裏側のトランプを落ちる間際に並べ、男と同じ高さで落下が止まった。
なお「ルールは簡単。自分のターンが来たらカードを1枚選び、そのカードの数字だけ上に上がれる。もう一人はその分下がる。丁度お互い歩数で50歩程度。早く頂上に着いた者は勝者となり、そこにある賞金を手に入るわ」
男「なるほどわかったぜ。まずは俺からだ」
男はトランプを一枚取った。
男「ダイヤの10だ!どうだ、勝たせてもらうぞ」
男は10歩上に上がり、なおはその分下がった。なおは1枚を取った。
なお「こっちは11」
男「な、何!?」
なおは上がり、事実上男は上がるどころか1歩下がった。
男はカードを1枚取った。
男「スペードの2!どうだすぐに追いついてやる!」
男は2歩上がった。
なお「そうはいかないわ」
1枚引いた。
なお「スペードのクイーン!」
男「な、何だと?!」
男は更に下がり、カードを1枚引いた。
男「ダイヤの3!」
なお「ハートの9」
男「クラブの6!」
なお「スペードのジャック」
気が付くと、なおと男のさが大きく開いていた。
なお「どうしたの?もう後がないわね?アタシはあと1歩で頂上だけど?」
男「うるさい!俺がいいカード引けば、あっという間に逆転だ!」
カードを引くとそこに書かれていたのは…。
男「じょ、ジョーカー…?」
なお「残念だったわね。ジョーカーはハズレ。アタシの番よ」
男「何だと!?貴様!最初から仕組んでたな!」
なおは無視し一番上のカードを取った。
なお「…ハートのAアタシの勝ちよ」
男「ふざけるな!」
男が無理やり這い上がって来た。
なお「ルールを破る気?そんな事をすると、とても恐ろしい目に…」
男「黙れ!」
男はなおを殴り、天井から落下した。
なお「…やはりルールを守ることができなかったわね…」
男はロープを引き千切り、なおは建物の真下へ落ちていった。
男「ははは!やったぜ!」
男は置いていた束を取っていた。この束じゃ300万とまではいかないが大金が手に入ったと思ったがそれはトランプだった。
男「何だ!?金じゃねぇぞ!?」
すると、屋根が突然崩れ、男は落下した。
男「う、うわーーー!」
すると、落ちる最中に、なおが天使と悪魔の翼を生やし宙にとどまり、そばには、夢麻達を抱えた同じく翼を生やした4人の女性もいた。
なお「アタシの名は『ナオ・グリーンスカイ』!このゲームは人間の本性を暴き出す。アンタは、自分の欲望に飲み込まれるがいい」
男「なにぃぃ?!」
だが下をよく見ると川だ。これなら死にはしないと安心したが、突然その川から得体のしれない化け物が出て来た。
なお「運命の罰ゲーム!欲望の魔獣」
男は叫びながら化け物に飲み込まれた…。
辺りの住人達が何の騒ぎだと駆け付けると、男は泣きながらうずくまっていた。
男「お、おかぁちゃん…怖いよう……」
♡GAMEOVER♡
1時間後 病院
夢麻と有原姉妹は軽傷程度で済んだが、ここはパニくっていた為、睡眠剤を投与されて今はベットで眠っている。
なお「ゴメン。もう少し早く駆け付ければこんなケガをさせずに済んだのに…」
夢麻「いいです。なおさんが助けてくれたから」
葵「しかし、これじゃ歓迎会所じゃないわね」
優香は頷いた。
巫女「けど、まさか本当に天使と悪魔が存在してたなんて…」
亜子「本当にびっくりです」
のん「とりあえず他言無用でお願いね。色々騒がれると厄介だから」
二人は頷いた。
夢麻「そういえば、なおさんから聞いたけど、死んだお母さん、天使と悪魔の研究してたって…」
亜子「そうです。けど、私達が産まれたせいで…」
巫女「やっぱり、私達、死んだ方がいいかな?」
るな「…そんな事ないわ。自分の子供が可愛くないと思っている親はいないから」
亜子「けど…」
るなは二人の肩を叩いた。
るな「いいから。今はここが無事だった事に喜びなさい」
姉妹「…はい!」
元気よく返事し、歓迎会は後日行われたと言う…。
ステージ8GAMECLEAR!
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