第34話「母親は自殺?」
今から5年前の4月
当時どこにでもいる中学2年になったばかりの有原姉妹に不吉な事件が起こった。
夫を早く亡くしたシングルマザーの母親が突然の変死をしたと言う。
姉妹の目の前で、道路を飛び出し、車に轢かれてしまった。
その数日後、多くの大人達が彼女達の前に現れ、1枚の紙を取り出した。
それは死んだ母親の遺書で、育児に悩んでおり、研究がはかどらず、挙句にそれを苦にして自殺したと書いていると言ってきた。
つまり、母親が死んだのは、お前達、姉妹のせいだ。
お前達が産まれてこなければ、母親は死なず、その研究で人類の未来が明るくなっていたはず。
大人達は姉妹をそう攻め続け、姉妹の精神が不安定になり、やがて不登校になり、事実上の退学。その後親戚中をそれが理由でたらい回しにされ、SNSでも今でもその事があちこちに書き込まれている。
そう聞いていた葵は、拳でテーブルを強く叩き、コップの水が大きく波揺れている。
優香「そんな…酷い…」
葵「えぇ!聞けば聞くほど酷い話よ!あの二人が何をしたって言うの!」
夢麻「何か…可哀そう…」
のん「えぇ…。表向きは前向きな様子だけど、心の中は深く傷ついて、人間不信になっているわ」
ゼリー一気飲みも、昼寝も、早食いも、全部傷ついた心を埋める為に…。そう言えば初めて出会ったあの時、少し自分達を怯えていた気がする。もしかしてあの方向音痴も…。
るな「先に言っとくけど、それと方向音痴は全く無関係よ。母親の生前、遊園地で入ってすぐに迷子になったらしいから」
…すぐに否定された。
夢麻「…けど、何でそのお母さん。二人の目の前で急に自殺何か…」
葵「しかも、数日後に大人達が姉妹のせいで研究がはかどらないって言ってたけど、ただの母親じゃなさそうだし…」
しゃる「その通りだよ。そのお母さんは、ある研究者だったらしいの」
りお「曰く、『この世に異世界と天使と悪魔は存在するか』っていう研究をしていたらしいの」
葵「存在するか…か。普通に考えれば信じられそうにないけど、何でそんな事を知っているのさ?」
なお「面接のときに聞いたから」
葵(…一体どんな面接をしたんだ…)
るな「だけど、その自殺と遺書…、アタシ達にとって少しきな臭いんだけど」
夢麻「どういうことですか?」
なお「…自殺する前まで、何の変哲もなく研究も育児もしていたのに、いきなり車の前に飛び出して自殺すると思う?」
夢麻「…そう言えば不自然と言えば不自然です。実際に見たり聞いたりしてませんが」
のん「しかもいきなり大勢の大人達が現れて、育児に悩んでいる何て遺書、あまりにも都合がよくない?」
夢麻「言われてみれば…それってもしかして…!」
葵「けど、仮にそうだとして、車の前にどうやって飛び出させるの?」
なお「話によれば、人気も車もあまり通らない道で、その時の運転手は姉妹の母親とは面識がないらしいだったらしいけど、もしこれには誰かによって仕組まれたとしたら…」
夢麻は時計を見た。
夢麻「あの二人、遅すぎませんか?」
るな「確かに遅すぎるわね。もう45分位になるわ。まさかまた迷っているわけじゃ…」
夢麻「私、探してきます!」
そう言って夢麻は店を飛び出した。
葵「あ、ちょっと!」
のん「全く、お人よしなんだから…。けど、夢麻は知っているかしら。有原姉妹に末っ子の妹がいることを…」




