第18話「南優香」
次の日
りおと夢麻は問題のユーカと言うユーザーに会いに、自宅へ向かった。
りお「さて、この辺りのハズですけど」
周りを見渡し、目的の家を見つけた。どこにでもある普通の家である。
りおはインターホンを押した。
りお「すみません。昨日お電話をした者ですが」
直後に家の鍵が開いた。
二人は家の中に入った。
ソファーに座った二人が対峙していたのは、夢麻と歳が近い女性だった。
りお「さて、まずは自己紹介から。私は水神りおと言います。こちらは加納夢麻です」
女性「あ、あの…私は…南優香と言います…」
りお「単刀直入に言いますけど、ピカシブのユーザー『ユーカ』ってのは、貴女ですね?」
優香「は、はい…」
りお「百科事典の新作スマシスのページで、こんな中傷が書かれてますが…どういった経歴でこんな事に?」
優香「…2年ぐらい前から、悪質なユーザー達に嫌がらせを受けて…るんです…。ある時、当時発売されたばかりのカプモンに登場するキャラの関連記事で…」
りお「そこから中傷と嫌がらせが始まった…って事ですね?」
優香「はい…。その時はすぐに和解をしたんですが、1年後にまた…」
りお「そして某掲示板で『キチガイユーザー一覧』ってのがあって、そこに貴女のユーザー名が書かれていて、ありもしないことが書かれていた。酷い時には、なりすましもしてきて…」
優香は泣きながら頷いた。
夢麻「りおさん。何で彼女はこういうことを警察に通報をしないんですか?」
小声で言った。
りお「あれを見てくれる?」
指をさした方を向くと、小さな手帳があった。
夢麻「も、もしかして彼女は…!」
りお「えぇ。彼女の場合、上手く対応が出来ず、逆に起こってくると思って、親にも他の人にも言えず、ずっと一人で抱え込んでいるわね」
その様子を、夢麻は見ていた。
優香「…ここ最近、私が書いた記事を頻度なく消してくるんです…『大多数の人から害悪ユーザーと認定された屑は、どのような編集を行っても削除・差し戻しの対象にされる』って…」
すると、夢麻は優香の手を握った。
夢麻「優香ちゃんって言ったわね。貴女は何も悪くないわ。悪いのは、貴女を責めてくる人達ですよ!事情を知らずに悪口を言う人は一番悪いのよ!」
優香「あ、はい…!」
夢麻「私も、自殺しようとしたことあったけど、りおさん達が居なかったら、今の私は居なかったわ。…」
そしてさらに強く握る。
夢麻「貴女はゲームが好き?」
優香「す…好きです…」
夢麻「なら大丈夫!私もスマシスが好きだから!だから教えてくれる?スマシスがどこが好きなのかを全部!」
優香「は、はいっ!」
その様子を、りおは見守っていた。
りお(やっぱり夢麻を連れてきて正解だったみたいね…)
りおは優香に声をかけた。
りお「優香さん。もし、貴女が望むなら、貴女を中傷した人達を見返す機会を与えましょうか?勿論私達もサポートしてあげますわ」
優香「え?」
りおはにこやかに笑った。