第2章52話「カジノ」
同日9時30分 火時乃市駅
なお達3人は駅を出た。
夢麻「『火時乃市』何て聞いたこと無いですね…」
なお「それもそうよ。警察すらあまり手出しができない、通称『賭博都市』と呼ばれているのよ」
アンジュ「ツインプリズンに居た時にラスベガスを超えるギャンブルの都市があるってウワサを聞いたことあるけど…まさか日本に…」
夢麻「…けど、その割には普通の街ですね」
なお「見た目はね…」
何だか町の人達が自分達を見ているような気がする…。
なお(歓迎されてない気がするわね…)
そう思いながらコンビニに入っていく。
アンジュ「何か買うのか?」
なお「半分正解」
コンビニに入っていく3人を見るとある人物。
???「ん?あれは…」
なお「2人共、奢るから好きな飲み物選んで」
夢麻「良いんですか!?ありがとうございます!」
そう言って夢麻は「PPレモン」を、アンジュは「ブルーカウ」を手に取った。なおは勿論コーラを取った。
レジに並んで飲み物3本置いた後にサイフから3万を取り出した。
夢麻「な、なおさん!飲み物3本でそんなにしないですよ!」
なおは無視して店員に3万円渡した。
なお「3人分で」
店員「お釣りは入りますか?」
なお「…上々で…」
店員「…では…」
店員は飲み物とは別に茶色のチケットのような紙を差し出した。
飲み物とチケットを受け取りコンビニを出た。
アンジュ「何だったの?」
なお「簡単に言うと、カジノへの入場チケットを買ったのよ」
3枚のチケットを見せてきた。
なお「飲み物をレジに出す時にその分の人数を言うと、『お釣りは入ります?』と聞かれるわ。隠語で『カジノのお客ですか?』と。そして購入者は『上々で』…つまり隠語で『そうです』と答えれば裏カジノの入場チケットが手に入るの」
アンジュ「なるほど。さっきの店員は裏カジノの人間って訳ね」
夢麻「それでどこに入口があるんですか?」
なお「着いてくれば分かる」
3人は映画館に着き、チケット売り場に向かった。
なお「これを」
係員に先程のチケットを渡すと、「あちらへ」と壁際の公衆電話に促した。
3人は電話に背を向けて立っていると、床ごと壁が動き、裏側に入った。
黒服の男「いらっしゃいませ。こちらのエレベーターにお乗り下さい」
3人はエレベーターに乗り込み、地下に降りていった。
なお「裏カジノは地下にあるからね。町にいる変装した刺客達が武器を隠し持って監視しているから、迂闊に車とかでは近づけない。町を出入りした所も絶えること無く情報をリアルタイムで共有されるからいつもの手では行けないのよ。出入りが分からない方法で行ったらすぐに情報が伝わるから」
夢麻「あ、だから電車ですね」
なお「その通り。後これを被って」
お祭りによく売られているキャラクターのお面を2人に渡した。
なお「どうもここでは常に仮面をつけることが義務付けられてるのよ。素顔を隠せば客同士の外へのトラブルは起きないからね」
アンジュ「何でこんなのしか無いの?」
なお「他に無かったからよ」
そうこうしているうちに到着し、エレベーターを降りた。
そこは、黄金に輝くカジノの世界が広がっていた。