第2章43話「消えたユズ」
お昼休憩が終わり、選手や観客達は会場に戻る。
キザクラ「ユズったら、トイレ行ったきり戻ってこない…。何してるんだろうか…」
なお達は順調に勝ち上がり、選手は64人まで絞り込んだ。
アナウンス『残りの選手が64人となった為、予選はこれにて終了します!』
なお「ん?もう終わりか」
アナウンス『本戦トーナメントは翌日行います。勝ち上がった選手の皆様はそれに控え、休息してください』
そう言われた選手達は、ホテルへ戻っていった。
なお(どうやらアロマとミカは勝ち上がっているみたいね。それに、今の所は何も変わった様子はないな…)
すると、なおのスマフォが鳴った。
なお「のん?どうした?」
のん『大変だよ!あのユズって警察官が‼』
なお「(確かユウリの2番目の姉だったわね…)彼女がどうかしたの?」
のん『急に姿を消してしまって…。今りおお姉ちゃんが探してるの!』
なお「何だって!?」
急に姿を消した?
まさか、監視してることを気づかれた?
なお「キザクラって検事の方は?」
のん『まだ観客席に。こっちには気づいてる様子は無いし、何度か誰かにかけてるみたい。相手は出ないようだけど…』
なお(…まさか…誰かに連れ去られたのか?…それとも…)
いずれにしろ、ユズの行方を探すしかない。
なお「わかったわ。アタシの方もこの周辺を探してみる。一応ルナ達には伝えといて…けど、ユウリ達には内緒にしといて」
のん『分かってる』
なお「それから、のんは引き続きキザクラの監視を続けて。ユズは戻ってくるかもしれないし」
スマフォを切り、会場の出口に走っていく。
周辺を探したり聞き込みをするが、手がかりは無し。
なお「この辺りもいない…」
まだ探してない所が無いか周辺を見ると、立ち入り禁止の建設が途中で中止になったビルがある。
なお「…まさか、ここに?」
とりあえず見つからないように入っていく。
何か起きるかもしれない。一応姉妹にメールで伝えて中を探索する。
1階ずつ捜索するが、一向に見つからない。
なお「後残ってるのは、屋上だけね」
屋上への階段を上がり、ドアを開ける。
屋上は隅から隅まで雑草が生えまくっていた。
ここは小さな植物園を開園する予定だったが、開発が中止になってそのまま放置されてるようだ。
キョロキョロ見渡すと、真ん中辺りに誰か倒れていた。
なお「まさか、桃山ユズ?」
近寄って行くと、突然銃弾が迫り、ギリギリで避ける。
倒れているユズの向こうに、謎の男2人組が現れた。
なお「『バレット』に『アックス』、まだ生きてたのね?」
?「久しぶりだな。ナオ・グリーンスカイ」
なおの背後に声がし、振り返った。
なお「『シャドウ』!何でアタシが前に倒した魁天魔のエリート部隊が?しかも、死んだと聞いたハズ…」
バレット「20年前のウユニ塩湖でよくもやってくれたな!」
アックス「あの時の礼をたっぷり返すまで、死んでも死にきれねぇよ!」
シャドウ「願いの石がここにあると聞いて奪ってやろうと思ったが、お前がここに居ると知った途端に俺の剣がお前の血を啜りたいと嘆いてな…」
シャドウは鞘から抜いた剣を舌で舐めていた。
なお「まさか、アタシを誘うためにユズをさらったの?!」
シャドウ「こいつの名前は知らねぇが、そんな所だ」
3人共それぞれの武器を構えた。
3対1…。しかも相手は人質をとっているのも当然だ。状況的に不利だ。
なお(さて…どうしようか…)
どう動けば良いのか考えていると、上空から黒い影が。
なお(あ、あれは…‼)