第2章34話「潜入2」
8月25日午後7時時18分 都内の某居酒屋
アンジュは、女社長の調査を継続しており、女社長は、部下達と居酒屋で宴会していた。
アンジュ(別の人に探させているとはいえ、自分の部下1人が未だに生死をさまよっているのに、のんきにお酒を飲んでるのね…)
(調査の為にアルコールは控えて)サイダーを飲みながら遠くの席で様子を伺っていた。
少し前になおとの定期連絡で聞いたのだが、あの女性は意識を取り戻したらしい。
だが、無理やりアレルギー物質を食べさせられ発作か起こったショックか、起きて直ぐに錯乱したらしい。
今は落ち着かせているが、まだ話ができる状態ではないらしく、クターに診察の連絡をした所らしい。
後で彼女に身分を聞くらしい。
とりあえずあの女性の安否は峠を越えたようで安心した。
…さて、肝心の女社長達だが、今の所変わった様子はない。
監視以外枝豆を噛み砕くことしかなく、退屈しかない。
話し相手に誰かに電話しようか。
そう思っていると、女社長達が何やらもめだした。
社員「だから言ってるじゃないですか!僕はアルコールアレルギーだから飲めないと!」
女社長「言い訳しない!アレルギーなんて偏食の言い訳よ!好き嫌いせずに飲みなさい!」
あの社長が男性社員にビールを強要している。
アンジュはスマフォを取り出し、気づかれないようになおにメールした。
『例の社長はアルコールアレルギーの社員にビールを強要している。どうすればいい?』
すぐに返信が来た。
なお『念の為に警察と救急車を呼ぶ。場所を教えて。最悪の場合止めに入って応急処置をして。勿論顔を見られないように』
『…了解。場所は…』
メールを打ち終わると、予め持ってきた(会社に潜入時に被っていた清掃員の帽子とは別の)帽子を深く被った。
代金を『お釣り入らない』と書かれたメモと共にコップの下に置き、いつでも飛び出せるように構えた。
女社長「良いから飲みなさい!社会人のクセに好き嫌いしない!」
社員「だから本当に…」
今にもグラスの中を口に入りそうだ。
アンジュは素早く立ち上がり、出口に向かいながら女社長の席に近づきわざと転倒した。
ビールは社員の逆の方にぶちまけ、グラスは大きな音を出しながら割れた。
女社長「ちょっとアンタ!」
アンジュ「すみません。急いでるので」
そのまま店を出ていった。
遠くからパトカーと救急車のサイレンが聞こえてきた。
10分後 路地裏
アンジュは暗闇の中にスマフォを取り出し、壁に寄りかかり電話をかけた。
アンジュ「…アタシだ」
なお『大丈夫だった?』
アンジュ「一応。けどあの性格じゃ懲りずにまてやるでしょうね。…それで例の女は?」
なお『今は落ち着いて眠っている。けど、あんまり長居は出来ないから明日には話を聞いて改心をするから』
アンジュ「わかったわ。後をつけられているかもしれないから今日はそっちに戻れないから」
電話を切って人が多い所に出た。
アンジュ「さて、改心が終わるまでに身を隠せる場所を…」
すると、目の前に2メートルはあるであろうでかい黒服の男達が立ちはだかった。
アンジュ(あの女社長の追っ手?いくらなんでも手が早すぎる)
構えた時にその中の1人が近づいてきた。
大男「…すみません。人を探しているのですが…」
アンジュ(…?追っ手じゃない?)
大男は懐から1枚の写真を取り出した。
大男「この写真の人間を知ってますでしょうか?」