第2章31話「8月の昼下がり」
8月18日 午後3時20分 喫茶店「ソプラ」
会社が夏休みになっており、今日も店番をしている葵。
今はお客さんが居ないのでガールズフラワーを読んでいる。
『サイボーグガールズ』通称サイガー。
葵推しの人気マンガで、2ヶ月後にアニメ放送を控えている。録画機器は既に買っており、生で見終えた後、直後に録画した物を再生して2度見する。
それが楽しみで仕方がない。
去年はサイガーや他のマンガが色々問題があったが、今は問題無く物語が進んでいる。
葵「さてと。今週のサイガーは…ん?」
サイガーの表紙を開くと、『ゲーム化プロジェクト開始』の文字があった。
…サイガーがゲーム化!?ネットで色々ウワサになっていたけど、まさかホントだったとは。
葵「ゲーム化か。やるのも楽しみだけど、開発してみたいな…。まぁ、アタシには縁が無いけど…」
すると、スマフォが鳴り、電話に出た。
葵「もしもし?…のんか。せっかくの休暇中に何か用?」
のん『ちょっとね。明日予定空いてる?』
葵「一応ヒマだけど?」
のん『ちょっと一緒に来て欲しい所があるの。葵にはきっと気にいると思うから』
8月19日 某パーティー会場
なお達天魔堂社員達が訪れたのは、サイボーグガールズ放送直前記念のパーティー会場だった。
葵は、目を輝かせていた。
まさかあのサイガーのパーティーに行けるなんて…。のん達に出会う前までの頃は思ってもいなかった。
亜子「凄いな。みんな主人公にやられたコスプレがいっぱいだ!」
巫女「最初の敵のバウザーにリリィの仲間を人質にとったビーキーまでいるぞ!…あれはリリィのメイン武器の『フラワーソードガン』が展示されてるぞ!細かい所までしっかり再現されているぞ!」
敵キャラだけではなく、主人公とその仲間や縁のあるキャラ達のコスプレをしている人がドリンクを飲みながら、雑談していた。それだけじゃなく。
ユウリ「あれって、確か人気声優の『岩原冬織』やないの?」
るな「確か主人公役を演じるって言ってたわね」
夢麻「あっちにいるのは、主人公の相棒役の『大地青野』だ!」
りお「少女向けアイドルアニメの主人公役としてデビューしてたよね」
一同は、原作者や人気声優のサインを沢山貰った。
夢麻「そういえばなおさんは?さっきから見当たりませんが…」
りお「後で分かりますから」
パーティーは大分進んで、舞台からサイガーの様々なイベントや今後の展開等の話を聞いていた。
司会「さて、ここで、サイガーのゲーム開発者をお呼び致しましょう!天魔堂の社長兼ディレクターの緑天なおさん!」
呼ばれたなおが現れた。
葵「え…えぇ!?あそこにいることは…まさか、サイガーのゲーム、天魔堂で作るの…?」
のん「3ヶ月前に開発を頼まれてね。サイガー好きだったから、直前までヒミツにしてたの」
なおは、サイガーのゲーム開発ができること、そしてゲームオリジナルキャラの登場等を話してた。
葵はまさかサイガーのゲームを作れるとは思ってもいなかった。
葵にとってのかけがえのない時間はあっという間に過ぎ、パーティーは終わった。
一同は帰り支度をしていた。葵は心を弾ませながらバッグを背負った。
なお「さて、そろそろ帰ろうか。休み明けには開発スタートだから」
葵「はい!頑張ります!」
いきなり敬語で返事した。
ユウリ「急にキャラが変わってるな…」
苦笑いしながら会場を出ようとしたその時のだった。
誰かの声「きゃーーーーーー!!!」
隣の会場から悲鳴が聞こえた。
るな「今の悲鳴は!?」
しゃる「隣でやっている食品会社主催のパーティー会場からだ!」