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ボッチははやくもクラスでうく

  この春めでたく進級して二年生になれた。

  俺は心の中でワクワクが止まらない。決して進級できたのが嬉しいってわけじゃないから勘違いしないでくれよ。

  考えてもみてくれ、進級すると何があるかを。

  お馴染みのあれだよ。

  そうクラス替えだ。


『クラス替え』


  新しい人間関係を一から作るものさ。今まで構築されていたものが壊される。

  だから俺みたいなやつでも友だちをつくることができる。

  とか思ってたんだけどな。


  活気づいている教室。まわりを見渡してみると既にいくつかのグループが出来ている。

  会話を盗み聞きしてみると元から知り合いだった面々も多いようだ。

 

  各グループをみてみるか。

  クラス内で一番盛り上がってるのではないかという男女混合リア充グループ。あそこは無理だ。コミュ力の化け物しか入れない。レベル1の俺が行っても瞬殺される。次。


  ザ委員量みたいなメガネ男子を中心としたグループ。会話内容が難しいすぎる。割り込む想像が一切できない。次。


  キャピキャピした女子で構成されたいわゆるギャルグループ。うん、絶対無理だ。キモッとかいわれたら心が折れる自信しかない。次。


  クラスから浮きそうな男子、いわゆるオタクグループ。俺もアニメや漫画は好きだけど、何行ってるのかがわからない。深みにはまりそうで怖いな。次。


  一人で本を読んでいる女子。腰付近まである黒髪に座り姿が綺麗な大和撫子みたいだな。まあふつうに無理か。この状況で話かけるのは難易度が高すぎる。次。


  最大の男子グループ。既にうち解けて盛り上がっているな。一人の男子が中心になって騒いでいる。金髪の彼はやかましくんと名付けよう。


  やかましくんが大和撫子女子に話しかけに行った。男子グループのノリなんだろうけどやめといたほうがいいだろう。


「おれ音無!1年間よろしくねー。名前教えてよ」

 

  軽薄な笑みで声をかけた。あの五月蝿さで音無かよ。

  大和撫子女子の目が怖いことになってるからやめとけよ。睨まれたら氷ついちまうぞ。


  「私はあなたと仲良くするつもりはない。話かけないで」


  ピシャリとクール。やかましくんも頬引きつってるじゃん。ウケるな。

  まだ諦めていないようだ。


「あはははー。ちょっと冷たくね?」


  その名の通りやかましだな。さっさとひいとけば傷は浅いうちに済んだのに周りの注目も集まっているしな。ほんと「うるさい」やつだ。


  いつのまにか教室が静まり返っているぞ。どうした?

  ふざけてみるも原因がさっぱりわからない。

  なぜか視線がおれに集中している。どういうことだよ?


  どうしたやかましくん? なぜこっちに歩いてきているんだ。

  ハハッ。諦めたのか。いい判断だと思うぜ。

  なぜ人の前で止まる。これはチャンスか。話かけにきてくれたのか。

  だが怒っているようにみえる。どう話しかければいいんだ。


「うるさいって言ったのお前だよな」


  ああそうゆうことか。思考が口に出ていたか。二つの意味で残念だな。

  折角友だちができると思ったのに。このやかましくんめ。期待させといて裏切るのかよ


  おっと無視していると思われてるみたいだぞ。

  短く切り揃へられた金髪をワックスかなんかで立たせているのか。金髪にあってないな。

 

「おい、聞い「うるさい。黙れ」かよ。……わるい」


  失敗したな。はやく答えなければとか思ったからか。

  うーん。静寂が痛いほどだな。注目を集めてたのが悪かったな。

  じゃねーよ。初日から孤立ってどうすんだよ。

  もうすでにボッチ確定じゃんか。ひどすぎるぜ。俺が何やったんだよ。一生恨むぞやかましくんめ。


  もう今日はやく終わんないかな。クラスメイトの視線で針のむしろだよ。

  グループで話すのはいいけど横目でこっちをみないでくれよ。


  チャイムの音が鳴り響きクラス担任が入ってきた。高校二年生の重要生を語っているが俺の耳には入ってこない。既に1年間ボッチが決まったみだ。どうでもいい。


  窓の外に目をやるとカラスが一羽飛んでいた。そのカラスに若干の親近感を覚える。お前も一人なんだな。

  だが、カラスは一羽じゃなかった。一羽しか見えなかっただけで群れだった。裏切り者め。

  もうやめよう。悲しすぎて泣けてくる。


  ドアが開く音がして前に目をむける。明るい感じの美少女が入ってきた。転校生みたいだ。


「春風陽菜美といいます。よろしくおねがいします」


  目があった。こないだ助けた美少女だ。

  このボッチな日常が変わるかもしれない。

  俺に笑いかける少女をみてそう思った。

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