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フレアの機械受肉(前編)

ほうき星町シリーズです

フレアについて話すというところで、こないだは終わりましたね。レッズ・エララ神話体系です。

てぇことは、今はレッズ・エララの現代・近未来について語るっていうことなんですが。もちろん、それに繋がる中世とか、それからの後世・遠未来もあって。

 まあ、大体滅びに向かっていますが。レッズ・エララという世界も。その発端くらいが、この近未来で、気づいてるやつは気づいてる、っていう。

フレアも、その一人です。


天才工学者、ロンケー・フレア。

現代レッズ・エララ最高の知性にして、最高の技術者。専門は多岐にわたるが、主だったものを挙げてっても、


・小型射出システムの研究(銃器)

・特殊金属を使用した超振動ブレードの研究(現代的刀剣)

・ロボット工学

・人工知能プログラミング

・巨大破壊兵器の製造

・精神的存在のデジタル化=魔法科学

・オートマタ技術考古学


……などなど。

もっともっとあるけど、今回は、今回の話にとりわけ結びついてるものをチョイスしてます。

すなわち、フレアの身体が爆発四散した話です。


フレアの外見はこんな感じです。


挿絵(By みてみん)


(キャラクターデザイン/イラストレーション:小西 裕さん)


だいたいもともと童顔なんです。アダルトな感じが遠い。これで概ね20歳前後のときです。高校生っぽいというより、中学生っぽい。アダルトな感じが薄い(2回目)

 そして、現ボディもこれです。全然変わりない。

 そりゃそうです。フレアのボディは、爆発四散した20歳台の時のフレアの姿なんですから。


爆発事故。

今となっては、誰が引き起こしたものなのかは、わからない。

容疑者はかなり居た。

しかし、フレアをガチで殺しにかかろうとする者は、だいたい、個人で相当の戦闘術・戦闘魔力を持ってる奴らだ。こんな爆発事故という、めんどくさい手段をとるか?

それに、フレアの頭脳は、人間……現代科学、魔法科学の恩恵を受けている者にとって、何よりの宝だ。宝ならば、護る。フレアを護ろうとする人間は相当数いる。故に、ラボの防備も完璧。


ということは、だ。

つまり、ラボの内部の犯行という線。

では、爆破で死んでいったラボメンの中に容疑者がいるか? あるいは、爆破を免れたラボメンの中にいるのか? その関係者か? 黒幕か?


わからない。

しかし確かなのは、フレアの身体は、爆発四散したということだ。

ただ、いくつかのパーツは残った。


まず、脳。

次いで、心臓を中心として、30分ぶんの生命維持時間。

左手。

多少の骨格、骨髄。


よく生きてたな。

これは、フレアが自分の身体を実験台にして、「精神のデジタル化」の前提研究、「肉体のデジタル化」の研究を進めていたからだ。


これまで精神のデジタル化が失敗に終わってきたのは、「肉体と別個のところに精神がある」という、デジタル的な仮説にあったからだ。そうではなく、精神、魂は、肉体に偏在している、というのがフレアの仮説だった。この仮説には、「神討ち (汎エネルギー仙人)」剣崎月読の存在の示唆が大きい。


肉体のデジタル化とは、デジタル肉体データを3D肉体プリンタ(通称肉プリ、肉射出機、肉カナガタ)でモデリング印刷が可能ということだ。データがあれば肉体を再生できる、というのが、大雑把な説明。


フレアの肉体のデジタル化は、多少は進んでいた。フレアの天才をもってしても、それは難易度が高かった。成功部分は、脳と心臓の周辺、骨格と骨髄。その成功部分が、生き残った。

クラウドにデジタル肉体を保存していたから。だから、データをダウンロードすれば、なんとかなる。

それでも。

それでも、残ったのは、脳、心臓ちょっと、骨ちょっと。これだけなのである。


フレアは考えた。

ここで終わるか。


このわずかに残った肉体を、なんとか保存して。

そして、復活を? 現在のレッズ・エララの……自分が先導してきた魔法科学の研究が、この先も発展していくなら、自分の復活は可能だ。


肉体・精神デジタル化の研究をこれ以上進めて、自分の完全な復活、ということは、可能だ。自分以外の人間にそれを託せばいい。「助けて」と声をあげて。

だが、なぜかフレアはその「助けて」の声が出せなかった。なぜだ。それを言うのは、簡単なことであろう。周りにはその援護者は山ほどいただろう。



それでも、なぜか。フレアには、言えなかった。

どうしても、どうしても、言えなかった。


それは、この瞬間に芽生えた、恐ろしいほどの人間不信だった。

爆発四散して、残り20分のなかで、フレアの天才頭脳のなかで渦巻いた、超絶の鬱屈、人間不信、

自己破壊の思想。


フレアは、基本的に、とても穏やかな性格である。

天才でありながら、このような穏やかさは珍しいほどの。

ただ己が楽しい研究を、趣味をしていればいい、という。

これほどの闇の感情が爆発することは、なかった。


だが、それは、フレアがこれまでどこかで抑制してきたものなのだ。


こんな時にこういう思考の爆発が起こるのが天才なのだが。だがまあ、そのあたりはいいとして。

ともかく、フレアは、「誰かに助けを求める」という当たり前のことが、ここで出来なかった。

思考はどんどん闇に加速する。


ならば、終わるか。

死ぬか。


ここで、フレアは不思議な経験をする。

時間のことわりを離れて、意識がどこかに行った。

いや、もともと爆発四散してから、意識の走馬燈と闇の加速はすごかったのだが、それでも意識の流れ自体は連続していた。

それが、ふっと「どこかへ行った」。

このくだりの話は、「虚無の森」のところで言いますが、Twitter小説で少しした話だと、こちら


https://togetter.com/li/1173242


そして虚無の森から戻ってきて。意識が現実世界で覚醒して。

フレアは、高速で手続きを始めた。己の肉体を復活するために、まず最低限の義体に自分のデジタル肉体&精神をインストール。それは、顔さえなく、ただ左手マニュピレータと、ケーブルに繋ぐための端子のみの基盤だった。(Raspberry piを想定してください)


残り時間は4分だったが、なんとかフレアの生命維持は出来た。

そして、ここからフレアの復活は始まる。

次の後編に続きます

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