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さあこの世界で偶発的なエラーを期待しようか(1)

(中世にて)

時雨「究極的には、【やる】しかないんだよ、エヴィル君」

エヴィル「いや、いつだってやるしかないんだろう。頭で考えるだけで終わりだったら、こうも苦労はしてねえし、こうも楽しくもないんだろう」


(現代にて)

セリゼ「殺してきてばっかだから、アナタの愛に応えられるか自信はないぞ……ただ、私なりに何かで応えるつもりは抜群だが」

ミズ「それ以上何も求めないよ、お母さん」


(現代のやや前にて)

月読「苦しい。いつまでこの苦しさが続くか」

師匠レディ「諦めればサッパリ終わるがね。さて、サッパリ終わったあとで、無限の悔恨の荒野が広がっている。ジクジクと古傷を舐め合う地平さ」


(近未来にて)

フレア「わたしが何を考えていたか、あなたはすでに考えていたんですね」

エヴィルらしきもの「そうでもねえぞ。確かめられなかったもの、作れなかったものがかなりある。そして、それを継いでくれたことが、どれだけ嬉しいか」


(終焉にて)

極東魔王「これが最後なんだろうか。これでおしまいだったんだろうか。私たちのレッズ・エララはこうやって全て無駄になって終わるんだろうか。……まあそれでも良いような気もちょいだけど。……ごめんウソ。何かを残すというほどの確かさでなくても、何かがちょっとだけでも続いていってもいいような気がする……」

失明した時雨「~~♪(歌っている)」

極東魔王「あ、それ、私が……


ーー私が、それは、レッズ・エララで2番目に作った歌だよ……」


時雨「そうだよ、やったことは残っていくんだ。つながっていくんだよ。モノを作ったら、壊れるかもしれないけど、消えることはないんだよ」

極東魔王「殺したとしても?」

時雨「残したいと誰かが思うのならば、ね」




第一章「レッズ・エララ世界は始原する。」


 轟音は透明で。鳴り響くノイズは鐘の音のよう。Ring……Gooooon。空中に岩が、大地が、大陸がガンガン浮き上がってく。透明で白い地平に、乱舞する土塊、水、風。

 まるで世界の終わりだ、と思ったアナタの想像は、実は間違いだったのこころ。これは、この世界の始まり。ほら、工事現場でも基礎工事のときってガンガン五月蠅いじゃん?(比喩イメージがだいなし)

 鐘が鳴り響くの通り、この世界ははじまった。誰かが鐘を鳴らしてるのではない。虚空にいろんなモノが次々に生まれていってる。そしたら周波数が共鳴しあって、こういうノイズ音響が発せられている。

 黎明。これがこの世界の産声であった。そんなできたてホヤホヤの断崖絶壁で、極東魔王と8=固定ジチョウは話をする。ちなみに8=固定ジチョウは「エイト・こていじちょう」と読む。あだ名は8(エイト)。

 18人いる、この世界の創造神のうちの、2人である。


 改めて、極東魔王の、この先3000年同じ風体の外見を描写してみよう。人間タイプの女性形。とても薄い。良く表現すれば儚い。色素の薄い髪は長くして、まるで北極のオーロラのように静かに流れている。

 ファッションにおいてフェミニンという言葉は「女性的」という意味を表すのだが、まあロングスカートはエロスの影もなく、上っ張り……上着はゆったりとしたカーディガン。今アナタが読んでる2010年代基準だと、ちょっと古いようなファッションだけど、おとなしい女性のファッションとしては上品なものだ、といえるかもしんない。1000年スパンの神話体系でこういうショートスパンの話してどうすんよ、って思うも、けど、このお話、こういう刹那の上品さって大事にしたいと思うのね。ともかく、髪のすらっとした感じと、ふんわりな服装がとても似合ってます。


 顔つきなんだけども、「美人すぎてちょっと印象が薄い」みたいなとこは、ある。生気がちょっと乏しいのかもしれない。そう思わせるとこは、ある。神だしね。ただ、この「外見的な激烈個性のなさ」というのは、実はポイントだったりする。極東魔王の物語において。


 むしろ、個性という点でいったら、彼女が膝においてるエレクトリック・ギター……年代物のフェンダー・ジャズマスターのほうが、より深みと鮮烈を同時に持っているかもしれない。

「カナンのジャズマスター」とか「暁を行く鷹」とか呼ばれるそのギターは、左右非対称のまろやかな質感を与えるボディをしていて、黒と茶色(正確にいえばべっ甲柄)の、オトナっぽいギターである。ちょっと大きめのギターなので、彼女が持つと、少し彼女が隠れてしまう。そんな六弦がそこにある。膝にある。


 ふわぁああぁああぁあ!

 と、超大型の霧吹きが噴霧される勢いで、細っかい水滴がこっちきた! 崖の下から、吹き上げるようにして! それもまた幻想……!あっという間に視界は再び開け、目の前には、空中庭園のように、雲海が広がり、そこに浮遊している様々の大陸……! 日の光は遠くから静かに威厳ただよわせ、こちらをぼんやり照らしている。温度低くして。そして大陸は浮遊する。もう森も大地も草木もできあがってるようだ……新たな世界で、新たな生命が宴会をはじめたようだ……!(できあがってる、とかけてみました)


 どうでもいいテキストが続く。この小説……?否、神話と呼びたい。それ以上に読み物、と呼びたい。ともかく、どうでもよいということは、それ自体がこの世の豊穣を示すことなのだから、あまりバカにしちゃいけない。世界の意味なるものは、小さな種と、どうでもよい土壌から生まれるのだから。


 で、8=固定ジチョウのこと。どーして、このひと極東魔王の隣にいんの?


8「俺は、やはりこの世界が在って完全に良い、とは、まだ思えていない」


 えー!


(次回 さあこの世界で偶発的なエラーを期待しようか(2)につづく。8との問答)

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