おじさんはね、ぶきようなの。
初投稿
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赤色でフリルの多いワンピースは、きれいなプラチナブロンドの髪を持つ彼女に良く似合うだろうと、彼は思っていた。実際、それはよく似合っていた。だが彼女の機嫌はあまりに悪く、それだけでは直る気配がない。
今食べている晩飯のカレーも、美味しくなさそうだ。
何故こんなにも彼女の機嫌が悪いのかと言うと、原因は学校にあった。
彼女はとある事情で今年から転校したのだが、あのきれいなプラチナブロンドの髪とかわいらしい青く澄んだ湖のような瞳を馬鹿にした阿呆がいるらしかった。
“いるらしかった”とは、彼女が自分でハッキリと言っていたわけではないからだ。ただ、つい昨日、彼女はこう言ったのだ。
「おじさんの宝物を馬鹿にされたの」
と。
それだけで彼は理解したのだ。
自身が宝物と表現したことがあるのは、彼女自身と彼女からもらったものぐらいだから。
特に、彼女に直接宝物だと言ったのは髪とその瞳だった。
だが、彼女のことを馬鹿にしたのは同じクラスの女児で、小学4年生だ。
彼はその子はまだ子供で、周りと違う。それだけで馬鹿にしたのだろうと思い、一先ずは彼女の機嫌を取ることにしたのだ。
そして事は冒頭へともどる。
「ロズ、何故そんなに機嫌が悪い?」
時成が口を開く。
対するロゼリアはむすりとした表情で答える。
「私、おじさんの宝物を馬鹿にされたって言ったはずよ。わかってるでしょ?本当は何を馬鹿にされたのか。」
「嗚呼。だが、随分と長い間顔を歪めているものだから。」
時成はロゼリアの髪の色に合う色の服を買い、ロゼリアの髪がこんなにもきれいだということ
を伝えようとしていた。
だが、時成は昔から無口で表現力に乏しいところがある。
つまりは、ロゼリアにその気持ちが伝わっていないのだ。少しも。
「そう?…ごめんなさい。こんな顔してご飯食べていたら、不味いみたいだよね…。」
途端にしゅんとしたロゼリアを見て時成は少し焦りながら
「気にするな。それに、お前の髪にはとてもよく赤が似合う。買った服を明日着ていくといい。」
何とか紡いだ言葉からロゼリアは時成が何を伝えたかったのか、ようやく分かったふうに、明るい返事を返した。