『廃墟に残るモノ』 リーベシナリオ part2
辛い過去を持つリーベさん。
新しい仲間と生活を始めるが、捨てた過去は
切り離す事の出来ない影のようにそこに在り続けていた。
リーベにとっての家族とは…
少しづつ明らかになる彼女の内面を見守ってください。
廃墟に残るモノ part2
涙は枯れたのだろう。悲しい気持ちだけが残っているのに、あの子の名前を呼んでも涙が出ない。
どれ程の時間が過ぎたのかはわからない。
ただ、私は最悪の時間に閉じ込められたまま、繰り返し何度もあの景色が早送りで流れ続ける。
父が消えてから母は狂い私に鞭を打ち続けた。
あの頃の私は母に嫌われる事が恐ろしく受け入れることしかできなかった。
そんな最悪の時間を青い髪の人が救ってくれた。
名前も知らない青い髪の人…
彼の手で教会は燃え、私は救われた…
そう、今の私はただ、あの人にもう一度会って…伝えたいのだ。
私の気持ちを。
不意に足首を掴まれる感覚を覚える。
母「ふふ。リーベ。始めましょう。」
まるで地獄から黄泉がえって来たかのような焼け焦げた母が地面から上半身だけ這い出し笑みを浮かべて私を地面に引きずり込もうとする。
リヒャルダ「リーベさーん。」
リヒャルダの呼び声で意識が戻る。
呼吸を忘れていたことに気付き、急に息苦しさが襲って来る。
リーベ「…」
言葉に出来ない不安とリヒャルダが来てくれた安心感が私の頭をぐちゃぐちゃにする。
右手でネックレスを握り締めるが…わからなくなる。何もわからなくなる。
壊さなくちゃ…
逃げなくちゃ…
此処に居たら私はまたぶたれてしまう。
リヒャルダ「じゃん♪」
リヒャルダは急に小さな服を突き出してくる。
リヒャルダ「コレ、何だと思います?」
リヒャルダでも着れない服を出して何だと聞かれても…正直、わからない。
リヒャルダ「コレはですねぇ~。…べリルさんのお洋服です♪」
そう言って私にべリル用のシャツをくれる。
リヒャルダ「べリルさんもお洋服を着てオシャレをしたらもっと素敵になるんじゃないかなって、
ずっと前から作ってたんです。
もう、遅いから明日渡そうかと思ったんですけど…
待てなくって、持ってきちゃいました。…迷惑…でした?」
上目使いで私を見上げるリヒャルダは可愛い過ぎる。
たぶん、眠気を堪えながら作ったんだろう。
普段は綺麗に整えられている髪が見たことないくらいにボサボサになっている。
胸の中のぐちゃぐちゃがぽわっと暖かくなるのがわかる。
リーベ「…」
リヒャルダ「わっ。リーベさん…」
何てお礼を言ったら良いのだろう。べリルの洋服を作ってくれた事を。
私を最悪の時間から救ってくれた事を。こうして近くで優しくしてくれる事を。
本当に心から感謝しているとリヒャルダに伝えたい。
言葉に出来ないから優しく抱きしめて私の心臓の音をリヒャルダに伝えるのだ。
リーベ「…」
これでは足りない。自分でもわかっている。
もっと確かな形で伝えたいのに自分の気持ちを上手く言葉に出来ない。
リヒャルダ「リーベさん。何か悲しい事があったら言ってくださいね。
私達、家族じゃないですか。」
家族…私たちの関係を家族というのか。忘れていた…。
そう。
あの母にも優しく接してくれる時期があったのだ。父が居なくなるまでは。
言葉に出来ない感謝を頬ずりで誤魔化す。
これをするとリヒャルダはくすぐったがるのだ。
リヒャルダ「わわ…リ、リーベさん…くすぐったい。くすぐったいですよぉ~。
…。あまり思いつめないでくださいね。
私も…イェンさんも付いてますから。」
リーベ「そうね。イェンって名前のペットも居るわね。」
リヒャルダ「ペット…?」
リヒャルダは少し困った様な顔で固まっている。
リヒャルダ「そ、そうですね。何だかワンチャンみたいな感じもありますね。」
リーベ「犬と言っても負け犬だけどね。」
今度は眼を丸くして固まった。
それを見た私はとても幸せな気持ちになって少しだけ笑えた。
はい。
とても包容力があり、行動力のあるリヒャルダちゃん。
驚く事なかれ。実はリヒャルダは若干10歳のロリロリっ子なのです。
次回はもう一人の相方。
イェンとのお話。
お楽しみに。