『廃墟に残るモノ』リーベシナリオ part1
鵼らじおで既に登場していますが、
リーベは蝮宮さんのオリジナルキャラクターです。
バインバインの悩ましいボディとからは想像の出来ない精神をお持ちの彼女。
辛い幼少期を経て、今彼女の物語が始まります。
廃墟に残るモノ part1
帝王都歴60年この世界には神、人間、精霊、そして神と人の間で産まれた魔術師が生活している。
神の存在が信じられない?そうでしょうね。
私も人間に生まれたのならそう思うのかもしれない。
でも、魔術師として産まれた私には疑うことすら許されない現実。
イェン「よし。じゃ、今日は此処で夜営にしよう。」
暗い月夜の森の中で少しひらけた所を見つけたイェンはそう言って偉そうに指示を出す。
ひょろい眼鏡でいつも白衣を着てる。自称反帝王都組織オシラのリーダー。
私を組織に入れてくれたけど…特に語ることの無い無力なメガネ。
リヒャルダ「わぁ~。今日は森の中でキャンプをするんですね。晩御飯は豪勢にできそうです。ねっ。リーベさん。」
ピンク色の髪の毛にエプロンを付けている可愛い子はリヒャルダ。
ちっちゃくて、もふもふしててあのメガネ(イェン)にも優しくできる可愛い子。
イェン「あ、リーベちゃん。そっちの張りを支えてくれる?」
リーべ「自分ですれば。」
イェンの言葉を流して辺りを見渡す。
初めて来た場所なのに匂いも風も懐かしい感じがして少し意識が遠くなる。
足元が少し歪むような、不安になるような…
リヒャルダ「リーベさん。食事の準備を手伝ってもらえますか?」
リヒャルダの声で意識がハッキリする。何故だろう。
リヒャルダの隣にいると私はとても落ち着くんだ。
リーベ「わかった。」
イェン「えぇ!あれ、ちょっと…食事の準備も大事だけど…こっち…わッ…」
イェンの方で何かが倒れる音が聞こえたけど気にしない。骨折しても人は死なないから。
リヒャルダと一緒に食事を作って、みんなとご飯。
オシラには18人のメンバーが居るから作るのも、片付けるのも大変だ。
夜になり、皆が寝ても私は寝付けなかった。違う。寝る気になれないという方が正しい。
べリル(熊の人形)を取り出して脇に抱える。それでも先程感じた足元が揺らぐ感覚が離れない。
しかたがないから散歩でもしよう。
私は夜の森を歩き出す。静かな夜は嫌いだ。この後に痛い事が待っていそうで怖くなる。
リーベ(嫌だ…嫌だよ…ヤメテお母さん…もう、痛いのは…嫌だよ…)
SE :パシンッピシンッ(鞭が撓る音)
リーベ(帰ってきて…お父さん!)
少し意識が過去に飛んでいたみたい。最近は昔を思い出す事なんて全然なかったのに…
私は足元から視線を上げる。
そこには焼け焦げて天井の崩れた教会があった。
リーベ「はぁはぁ…」
嫌な気持ちになるはずだ…此処は私が捨てた故郷なのだから。
こうして遠くから見ているだけで体に痛みが走る。
今すぐここから逃げ出したいのに足も動かない。考えたくもない過去が私の頭で幾つも
弾けて襲って来る。
思い出すのはいつも檻に閉じ込められていた私…そして魔術師である私をニンゲン以外の姿に変えようと鞭を打つ母…檻の外にはそんな母を崇め、従う信者達が化物を見る目で私を見ている。
狂った人の集まりの中で唯一優しく接してくれた初めての友達…
リーベ 「ギムレット…」
あの子の名前を出した瞬間涙が流れ出す。止まらない涙は辛い私に寄り添ってくれた。
この時はもう居ないギムレットが私の隣で慰めてくれている気がして…声も無くずっと
泣き続けていた。