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ー第11話長い夜の始まり



ー第11話長い夜の始まり



午後6時。北署の2階会議室に、田島本部長がやってきた。

北署の刑事全員が集合している。

「分部が射殺される事を知れば、自首してくるんじゃないですか?。」

三ツ矢が小谷利治の隣で言った。

「どうやって知らせる?。三ツ矢。」

田島本部長が聞いた。

「…。分部だけに聞かせるのは無理ですか…。」

「ラジオで流すか?。あとが大変だ。利治はどうだ?。何かないか?。」

小谷利治はイスの上で体を直して言った。

「分部の狙いは、ウチの親父にダメージを与える事です。遅かれ早かれコンタクトをとってくると思いますが…。」

小谷利治は父親の方を見た。田島も小谷晴朝の方を見て言った。

「小谷さん。さっきから黙ってますが…どうなんです?。」

「コンピューターによるネットワークへの情報汚染は封じられた。あとは、テレビラジオ週刊誌…だがすでに圧力がかかってるだろう。ならば、分部はどうするか…。」

全員が小谷晴朝に注目した。

「…核弾頭自体を持ち出して、騒ぎを起こしマスコミを集めるか…もしそれをやれば、間違いなくその場で射殺される。」

三ツ矢が口を挟んだ。

「でも…2次大戦の核って、かなり大きいんじゃないですか?。持って歩けるんですか?。」

田島が答えた。

「それは2部に聞いた。V2号ロケットの先に装着できる大きさだそうだ。大きめのポケットなら入れて歩けるらしい。もし盗まれなかったら、当時のロンドンが壊滅してたそうだ。」

「それをなんで、日本政府は持ち続けてるんですか?。ドイツとは同盟国だったんでしょ?。」

「三ツ矢。その大きさは現在でも一番小さく軽い。そのノウハウはイギリスもアメリカも持っていない。つまり、日本が世界に秘匿している技術だからだ。もっともユダヤ人グループから核弾頭を託された杉浦一等書記官は、核を同盟国であろうと使用させない為に秘匿したらしい。それが最先端技術の固まりとわかって処分されなかったと云うのが、2部の説明だ。」

「待って下さい!。アメリカに隠し事なんて出来るんですか?。」

「外交は複雑怪奇だ。密約に交換条件、公然の秘密。知っていても知らない事になっていたり…だか、この核弾頭が日本にある事は、CIAも確認できてないらしい。」

「大丈夫なんですか?。この部屋の人間全員知っちゃいましたよ。」

「外部に漏らすな。守秘義務なんてもんじゃない。漏らせば、相手とセットで消される。」

部屋中が悄然とした。

「警察庁からも、やむを得ない場合は射殺も考慮に入れて、身柄を確保せよと通達が来た。これは、日本の命運をかけた国家機密だ。分部を生きて向こうに帰すとなると…色々難しい局面に立たされそうだ。」

田島本部長は言葉を切って、部屋の中を見渡した。この部屋のメンバーは白根刑事部長が指定した者だけがいた。全て、亡き小谷晴朝の指導を受けた警察官。そして、別の過去からやって来た小谷晴朝。これは、小谷晴朝の刑事魂としか田島には思えなかった。

「だが。私の方針は、小谷さんに分部を連れ帰ってもらう。これは、小谷さんのアイデアだが、向こうから来ている末次清美 竹山透両名を岐阜城の天守に待機させる。分部を確保したら、そこに移動させる。もちろん核弾頭も確保する。岐阜県警は、4人が無事この世界から消えるまで全面サポートする。全ての責任は、この田島直樹たじまなおきが負うと全県警に通達を出した。同意しない者の離脱は自由だ。」「いるんですか?。離脱者は。」

三橋が発言した。

「この部屋の中から出なければゼロだ。鈴屋署長はすでに同意している。」

一番奥の席で、鈴屋署長が立ち上がるのを小谷晴朝は見た。

「本部長には従う。極力処分者は救済するつもりだが、救いきれない事態も発生する。覚悟はしておいてもらいたい。」

小谷晴朝は鈴屋副本部長を思い出していた。

ー顔が似ているー

小谷晴朝は横に座っている加藤一二三かとうひふみに顔を寄せて聞いた。ちなみに加藤星矢かとうせいやの父親だ。

「…署長の父親は、副本部長だったか?。」

「えぇそうです。」

小谷晴朝は、何かアクシデントが起こるとしたら、この署長から起こるかもしれない…と感じた。

「とりあえず解散する。」

田島がそう言うと、ほとんどの者が会議室から出ていった。


一人残って浮かない顔をしている小谷晴朝の所に、田島が来た。

「どうしました。何か気掛かりでも?。」

「署長だが…向こうで父親の副本部長と揉めたんだ。気になる。」

「合わないでしょうね。小谷さんとは。規則どうり、前例どおりの人物です。離脱するかと思いましたが…。読めないと言えば読めない。読めると言えば読めますよ。」

小谷晴朝は、人差し指で眉間を触りながら言った。田島が知っているその仕草は、小谷晴朝が回避が難しい危険を感じている事を示していた。

「分部は局面を変えてくる。その変わり際に対応できない人物は、立場を変える。誘爆みたいなもんだ。タイミングを間違うと致命傷になる。漏らしてはいかん相手に、情報を漏らす。」

「署長に対する情報を限定するしかないですね。しかし…分部はどう出るつもりですかね。」

「おそらく、官舎の小谷家だな。」

「佐恵子さん?。誰か行ってるんですか官舎に?。」

「必要ない。佐恵子は格闘家だ。それに、さっき2部の白根刑事部長と佐恵子に、作戦を頼んだ。」

「いつの間に?。…しかし、お年寄りですよ!。誰かいないか〜。」

田島は会議室を飛び出して行った。




その頃。

分部は、ピザ屋の店先にキーを付けっ放しにしてある宅配バイクを見つけた。

ステップの上にヘルメットが置いてあり、それを何食わぬ顔でかぶるとエンジンをかけた。

ジャンパーの右ポケットの膨らみは、核弾頭だった。

加納からJRの高架をくぐり、神田町通りを北上する。

パトカーがすれ違うが、気づかない。

やがて、道は右にカーブして岐阜城の下の岐阜公園に出る。そこから北に長良橋を渡り、北署職員官舎に向かった。



官舎の敷地内に入ろうとすると、年配の女性が分部を手で止めた。

「ピザ屋さん。待って下さい。」

分部はピザ屋を装って答えた。

「あーすいません。小谷さんに宅配なんです。」

女性はニッコリして言った。

「分部さん。2部の刑事さんが銃を構えて待ってますよ。すぐに岐阜城の天守閣に行って下さい。清美さんと透くんが、ノートを持って待ってます。」

「……。あんた誰だ?。」

「小谷晴朝の妻です。分部さん、行きなさい。生きて帰るんです。」

「銃を構えてるって何だ?。」

「その右ポケットの膨らみは核弾頭かしら?。それのせいで、あなたに射殺命令が出てるのよ。急ぎなさい。」

「何で教える?。」

「小谷から伝言です。分部を死なす訳にはいかん…と。」

佐恵子は優しい目で、分部を見つめた。

「あなたならやれますよ。刑務所に戻って、立派に更生できます。」

分部は佐恵子を見たまま、言葉を発しなかった。

そして、佐恵子の言った事を確かめる為に、官舎の敷地内に正面からバイクで突っ込んで行った。


建物の影に、銃を構えた背広姿の男がいた。木の影にも…。

「クソッ。マジかよ〜。」

分部は敷地内を抜け、官舎の裏口から飛び出た。

ー分部だ。追え。ー

と誰かが叫んでいる。もはや岐阜城の天守に行く以外に道は無かった。




次話予告!

第12話公安 久利坂

2部の天敵警視庁公安トップの久利坂登場!。小谷編最悪のラスボス!事態は、県警 小谷 分部 2部対 久利坂の戦いに!






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