12
「ある晴れた 昼さがり いちばへ 続く道 荷馬車が ゴトゴト 子牛を 乗せてゆく」ドナドナの歌詞より。
巧は白い軽トラの荷台に載せられていた。
ゴトゴト。
頭をスコップで殴られたせいで今ひとつはっきりしない。これが、脳震盪というやつなのか。乱暴なスポーツは一切してこなかった巧にはよくわからない。烈太が軽トラの立ち上がっている荷台の縁に座っている。巧を見張っているのだろうか。
後頭部からの出血はまだとまっていない。荷台を汚すことになるが、一向にかまわないらしい。
向かっている方角でスキー場へ、山下家にむかっているのはすぐにわかった。
あんなに車を求め乗りたかったのに、車に載って山下家に向かうとは。
ゴトゴト。『ドナドナ・ドーナ』の歌が思い出された。
運転席には、熊が乗っていた。違う。和夫だ。
別の橋があるのか。
巧が渡った、脱輪した場所より国道を巧が進んでいた道沿いにぐるっと大回りしたところに しっかりした橋があり沢を渡ることが出来た。
ゴトゴト。
白い軽トラは屋敷の裏の薪置き場に到着した。
そこには、力斗と三六と継映が居た。
そして屋敷の奥から、寒いのは苦手なのか、揉み手をしながら良枝は出てきた。
良枝が言った。
「なにしに、集落の方へ行きよったんじゃ、ほんまにアホな客じゃ」
相変わらず、喋るのは良枝ただ一人、子どもたちは誰一人喋らない。喋れないのか。
薪置き場には、雪が積もった白い薪がたくさん置いてあった。
あれなら湿気て薪として使えないのでは、と巧は思ったが、
使えなくても良かった。
白い薪ではなくて、白い人骨だった。




