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憧れの悪役令嬢は男キャラだったようです  作者: 椋星そら
第1章 どこかおかしなこの世界
7/12

06 違和感の始まり

たくさんの評価・ブックマーク有難うございます。

ここからサクサクとシャルロット17歳まで進んでいきます。

前世を思い出す前から、私はどうも貴族との社交というのが苦手だった。そして、前世を思い出してから日本人の精神が宿ってしまったため、余計に社交の機会を敬遠している自覚はある。だって、お嬢様言葉でにこやかに腹の探り合いとか、胃が痛くなるし。


勿論、幼い頃はマナーの出来具合もあるし、無理に連れていかれることはなかったけれど、10歳にもなればそうも言っていられなくなった。いつもは勉強を盾に親を困らせる程度には断っているけれど、この日はどうしても行かなければいけないと諭されて、しぶしぶドレスに袖を通したのだ。




今日はある有力貴族の意向で開催された、子供たちがメイン、ちょうど小学校高学年から高校生ぐらいまでの貴族の子息令嬢が集うパーティーだ。同年代の子供たちがたくさんいるが、あまり自分から初対面の子に話に行こうとは思えなかった。なんとなく、小さい子の相手をしているような気分になってしまう。やはり私の中身と外見の年齢はまだ一致していない。むしろ、前世の分から足すならもう20をとうに超えているだろう。むしろ30手前なのでは……なんだか悲しくなってきた。このことを考えるのはよそう。



「はぁ……」


誰にも見られてないことをいいことに、溜息をつきながら、壁の花になっていた。今日は子供が主役なので、勿論のことお酒は出ない。私はワイングラスに入れられて、見た目だけは立派なぶどうジュースを飲む。



それにしても、やることが、全く無い。

ルクシェラ軍に入隊するし、私の交友関係の範囲はそちらに傾くだろうと思っているから、今から媚を売りたい相手もいない。入隊できる気満々でいるけど、セレス先生のスパルタ指導を受けているのが限りなく大きな自信になっている。入隊できるかできないかじゃない、私は萌えのために入隊するのだ。それぐらいの気分でいた。





「あら、今日は第三王女様がいらしてるわ」

「本当ね。今日も素敵」


しばらく動かずに周りに目を向けていると、上等なドレスを着た少女たちがお喋りをしながら通り過ぎていった。


どうやら今日は国の第三王女様がいらしているらしい。この国の王族はそれほど王族らしくもなく、また、側妃を迎えることから子供は多めなので、貴族と気軽に関わろうとする人も少なくない。……人が多い分、王位継承権についてはしっかりと取り決めたり、辞退やらなんやら色々あるみたいだけど。まあ、私には関係の無い世界だ。



それよりも、先ほどの少女たちの発言に、何故か少しだけ引っ掛かりを覚える。無性に気になって、野次馬のようだが私も第三王女様を遠巻きに見てみることにした。


そっと第三王女たちが見えるところへ行くと、私のようにちらちらとそちらを気にしている人はいた。あまり不躾な視線にならないように、そっと盗み見る。実は王族にこれっぽっちも興味がない私は何がどうなっているのか把握できていないし、彼女の姿を見るのは今日が初めてだ。……多分、これを親や家庭教師に言ったらこっぴどく叱られるだろうけど。私、前世では総理大臣の名前覚えるの苦手だったんだよね。察してほしい。



さすが王族とだけあって、周りには彼女と同じ位の年の男性が何人かいる。あ、ちょっとその黒髪の人邪魔だよ。貴方が被っているから第三王女様のご尊顔が拝めないじゃないか。


そんな念が通じたのか、黒髪の人が少し右にずれてくれたので、ようやく顔が見える。




「……え?」


思わず間抜けな声を出してしまい、慌てて取り繕った。



――――驚くほどに、彼女がひかこいの攻略キャラ、フランシスに似ていたのだ。そう、まるで彼が女の子だったらこうなるのだろうな、といった姿。



彼に、妹、あるいは姉はいたのだろうか?ゲームの設定では、第三王子には兄が二人おり、姉妹の存在はゲームでは語られてなかったはずだけれど。疑問がぐるぐると頭の中を回る。彼女が()()()と呼ばれているのもなんだか気になる。しかし、私がいくら考えても、答えが見つかるはずもなく。


残念ながら私はモブなので、攻略キャラや重要キャラとの接点が一切ない。つまり、今ゲームではいつなのかが全く分からないということだ。そんな中で、私が持っているのは前世のゲーム知識と今までこの世界で生きてきていた知識。確かゲームでは王は子沢山なんてこと書いてなかったけど、今の現実では子沢山と言って良い現状がある。


……なんにせよ、深く考えてもどうにもならない。攻略キャラの家族設定ぐらい、ゲームと同じ世界とはいえここは現実だから、きっと違うこともあるのだろうと思うことにした。



そして、次の日からまた慌ただしく勉強をしているうちに、小さな違和感のことはすっかり忘れてしまっていた。

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