ねぇ、口が寂しいんだけど?
同棲中のカップルの話。
* * * * *
「お腹すいた。なんかない?」
「なんかって…。」
いきなり声をかけられて驚いた。
お腹すいたって言われても何もないんだよね…。
「いつも常備してるお菓子は?」
「昨日一人で食べたでしょ?まだ補充出来てないよ?」
カウンターキッチンにはいつも何かお菓子を置いてある。
チョコだったり、飴だったりバリエーションは豊富。
大抵何かあるようにしてるんだけど、昨日は二人でお酒を飲んでしまい。
その時に(主に彼が)食べちゃったんだよね…。
「…本当に何もないの?」
「うん…。」
シューンとしてしまった彼の頭を撫でる。
「…子供扱いしないで。僕の方が年上なんだから。」
ペイッとはらわれた手を見てから、出かける用意をすることに決めた。
カバンに財布を入れ、コートを羽織り。
玄関で靴を履いた時、彼の慌てたような声が聞こえた。
「待って!どこ行くの!?」
泣きそうな顔の君がリビングから走ってきた。
そのままぎゅうと抱きしめられる。
「コンビニだけど…?」
首を上に向け答えたらほっと息をつかれた。
「どうしたの?」
「……出て行っちゃうのかと思った。」
ぼそりと呟かれたそれに笑みがこぼれる。
「出て行くわけないでしょう。」
そう言うと君が笑って。
好きだなぁと思った。
君にコートを着せて一緒に家を出る。
行き先はコンビニ。
甘党な彼のために甘い甘いおやつを買ってあげよう。
嬉しそうに笑った彼と手をつないで。
こんな彼氏が欲しい。笑