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九天の高みへ -世界を殺す毒- (旧)異世界で堕ちた英雄  作者: トリ丸
一章 異世界で堕ちた英雄編
3/39

―3

 

 やぁやぁ皆さん初めての方は初めましてそうでない方はまたお逢いしましたね。

 一応自己紹介、名前は中村(なかむ) 悠祐(ゆうすけ) 年は16高2をやってました。 いきなりでごめんだけど早速今俺のいる現状を説明するよ。


 石で出来ている壁と床。周囲には俺同様倒れている男女四名+俺で5人、それを取り囲むように黒いローブを着た人たちがぶつぶつと呟いている。 血っぽい色で描かれた魔方陣的模様……そして記憶喪失の俺がいる。


 ……そこから導き出される方程式は!!


 こういうのは皆のほうが良く知ってると思うけど、どうやら俺は異世界に召喚されてしまったようなのですよ。キャッホーッ!!これはワックワクのドッキドキだよね。



 ・ ・ ・ ・ ・



 そろそろこのテンションにも飽きたんでこの辺で止めて今の現実(異世界)について考えてみようかな。 記憶喪失といっても知識は残っているみたいだし。

 かといって、俺の知識がこの世界で通用するとは考えられないから迂闊なことは出来ないな。

 この世界の人たちがどんな理由で俺たちを呼び出したのかわからないし、ここは記憶喪失とばれないように振る舞うのが無難でしょう。


 と自分なりの結論を出している間に周りが起きはじめた。


 全員が起き上がり周りを見回し軽いパニック状態に陥る。

 当然の反応に俺も合わせる。 俺の知識的にいきなり目が覚めると知らない場所に周りを取り囲む怪しい集団がいるんだから警戒しないことのほうが不自然だ。だから一応身構えるフリをしておいた。


「よくいらして下さいました英雄の皆様」


 黒い集団の1人がローブを脱ぐとそこからドレス着た、頭にはティアラをのせた美少女が現れて、そしてこういう世界におけるお決まりの言葉(セリフ)を口にしたのだった。


「あ、あのここはどこなんですか?」


 俺たち召喚組の女性、巫女服の黒髪女性が恐る恐るドレスの人に問いかけた。


「えっと……細かいことは父。 いえ国王の方からご説明がありますので。 こちらへどうぞ」


 ドレスの人に連れられて俺たちはぞろぞろとこの怪しい部屋から出た。

 しかし俺は部屋に残る黒い集団の話し声を聞いてしまった、(いにしえ)の文献では英雄は4人で5人なのはおかしいはずだと。



 ・ ・ ・ ・ ・



 長い廊下に置いてある美術品や部屋の数そして何回廊下を曲がったかを両手の数を過ぎた辺りで飽き飽きしてきた時、ようやく俺たちは国王のいる部屋についた。

 他の部屋の扉よりふたまわり大きい頑丈そうな扉を開けると 国王らしき人 (王冠かぶった豚) が俺たちを商品の如く舐めまわすように見ていた。 お姫様は国王のほうへ近づき耳打ちをしてからこの部屋から去っていった。


 俺の感想としてはあの女があの豚の娘だったら絶対母親似だな位に思った。

 国王は立ち上げり一人一人の顔を見て、そして気持ち悪く笑った。


「よく来てくれた英雄たち、儂がこの人族領土聖ディラッセルト王国の国王ウロベクス・ディラッセルト3世じゃ 」


 周りは気持ち悪さを堪えるのに必死の状態なのだが俺はそんなことよりもこの部屋の天井に描かれている天井画(・・・)が気になった。

 この絵どっかで見たことあるような……そんな歯と歯の間に挟まった時の苛立ちのようなものを感じた。


 考えこんでいる間に国王との話し合いは終わっていて、国王はいつの間にかいなくなっていた。

 他の奴らは先程後ろにいたメイドさんたちが用意された部屋へと案内されているのだろう、俺以外の姿は見えなかった。


「俺のメイドさんはどこかな~どこかな~」


「こちらに居ます。早く案内したいの付いてきてください」


 そうかこの人が俺のメイドさんか。 綺麗な人だ、清楚なメイド服が落ち着いた紫色の髪にあっててお姉さんに欲しいタイプだ。


「名前はなんていうの?」


 そう聞くとメイドさんは立ち止まりこちらに振り返り軽く頭を下げた


「失礼承知でご質問しますが、あなた先程は皆様とは違う所を見ていた思うのですがどうかなされたのですか?」


 あれ? なんで質問を質問で返されてるのしかも全く違う話題のことを会話のキャッチボールしようよ。

 ……先程? 王様=豚 がいた玉座の部屋の話かな


「えっと、そうなんだよ……こういう建物とか風景とか見たこと無くて珍しくて」


 しどろもどろになりながらも必死にバレないように取り繕った


「そうですか、まぁあの絵は一度見てしまうとなかなか目が外せないのは分かります。 しかし、この世界に無理矢理飛ばされた人間がこれからどうなるのかも分からないのに国王様のお話も聞かないんて……結構大事な話をしていたと思いますが。 変な人ですね貴方は」


 ヘ・ン・ナ・ヒ・ト…………こういう奴って嫌だな~。 もう少しバカでも良いのに……


 黙ってこちらを凝視してくるメイドに俺は困り笑いを返した。


「………………まぁいいです、私の名前でしたね。 私はこの王宮で雇われているメイドのティナです。 別に覚えなくてもいいですよ」


 痺れをきらしたのかティナは話を止め、わざとらしく欠伸を噛み殺した。


「もう私は眠いです。部屋に案内します他の所を見てはぐれないようにしてくださいね」


「はいはい」


 俺は警戒しながらもティナの後を歩いていった。



  ・・・・・



 本日二度目だが飽きますわこれ、この城の廊下の景色の変わらないこと変わらないことこんな所で仕事なんてしてたら病気になるだろ普通……何かキャラがぶれてきたしもう最悪。

 ま、いいか記憶ないからなにかが定着するだろ、にしても暇だな。


 こんな景色の変わらない所で迷子にならない程度の思考でティナちゃんの後を付いて行く。 ちなみにティナちゃんというのは名乗ってくれたお礼としてで一生言うつもりでいる。


 含み笑いをしながら歩いていると曲がり角を曲がった姿を確認する。

 そろそろ追いつかねぇとヤバいかなと走り詰めようと曲がり角を曲がるとティナちゃんが立ち止まった姿が見えた。


 危ない!と感じた頃にはもう遅く彼女にも避けられた。転ぶ、頭から転ぶ、顔が擦りきれる。俺は15のダメージを負った。


「何しているんですかあなたは?」


「お前がそんな所で立っているからだろう」


「ちゃんと付いてこないあなたが悪いと思いますが」


 それは、ごもっともだけど、こんだけ長いとまだ着かないって油断しちゃうじゃん。


「ここがあなたの部屋です。水浴びの水は明日の朝お持ちしますので、今日はお休みください」


 扉を閉ざそうとする彼女の行為に体が突然震え始めて……俺の思考は閉じた。


「ヤメロ……」


「どうかなさいましたか?」


 と首だけを扉から覗かせて俺の顔を見てきた。

 そうするとなぜか体の震えが止まり、雲っていた頭が少しクリアになる。


「いや何でもない俺の名前を言ってなかったなと思って。俺は中村 悠祐、よろしく」


「ユースケ様ですか……こちらこそ宜しくお願いします。 ……最後に一つお聞きしてもよろしいですか?」


「ん、なに?」


 彼女は覚悟を決めたような面持ちで聞いた


「あなたのそれは意図してやっているものですか」


「アハハ、俺が人間じゃないってナイスジョークだよティナちゃん」


「そうですかご自身ではお気付きなっていないようなんので言いますがユースケ様。 笑っておられるのでしたらその作り笑い(・・・・)は止めて下さい」


「え……」


「それだけが気になっていましたので。それではお休みなさいユースケ様」


 それだけ言って足早に彼女はこの部屋から去って行った。


 俺は体の震えなんてもう気にならず彼女の言った言葉だけが俺の脳を占めていた、思わず自分の顔を恐る恐る両手で触る。

 ようやく寝付けたのは月が真上から落ち始める位のことだった。




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