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死の隣に咲く花  作者: 木田悠花
2/2

②配達

「確かに、言いつけである手記はあなた様の手に渡りましたので」


そういって、30代前半であろう女性が席を離れこの部屋を出ようとしている。


「すいません。ここの居場所どこか知ってますか?」

「ここ、とは?」

「ここに書いてる村の場所ですよ」


手記を指さしても女性は首をかしげている。どうやらこの手記の話をしらないらしい。

さらにいうなら、俺はこの人の情報を知らない。いきなり「これを預かりました」と

部屋の中に入ってきて、俺の親友である仁史の手記であることと、女性は仁史とは関係ないことは伝えられたが、他には何も聞いていなかった。


「そこですか?私はただ届けるように主人様からおおせつかっただけなので」

「そう、ですか・・・もう一つきいてもいいですか?」

「はい、私にこたえられる範囲なら。」

「あなたの主人のところに連れて行ってはもらえませんか?」


この女性は本当に村について知らないだろう。

しかし女性の主人となれば話は違う。きっと村の居場所、存在を知っているだろう。

それもとても深い部分まで。それじゃないと、ここまで村の秘密と思わしきことが書かれた

手記を知らない人間のところになんか持ってきてくれないだろう。


「主人ですか?ちょっと待ってください。電話をかけてみます。」


女性はそそくさとカバンの中からケータイをとりだす。

いまどきのスマートフォンではなく折り畳み式のガラケーだ。

見た目的にはスマートフォンを使ってそうなのに・・・やっぱもう少し見た目より

年齢は上なのだろか?そう考えると確かにシワも見えるような・・・


「あのー私の顔に何かついていますか?」

「あ、いえ違います。気にしないでください。」

「はぁ」


気の抜けたような返事を返される。まあ、仕方ないか。

よく知らない男に顔を凝視されていたのだから。俺もビビるわそれは。


「主人様はぜひ私も会いたいと申しておりますので。大丈夫かと思います。」

「それはよかった。では案内してもらえないでしょうか?」

「いま、ですか?」

「もちろん」


善は急げっていうではないか。と言いたいとこだが

また?を出されそうだし、何より俺の行動が善かどうかも微妙だ。

もしかしたら、俺が思っていることと違い仁史は悪いやつで

殺人の少女のほうがいい人間なのかもしれない。

まあ、仁史は悪なんて思える人間じゃない。バカだが・・・


「で、では早速車のほうを用意しますので少々お待ちを。」

「はい、わかりました。」


少しはこっちのペースかもしれない。

もしかしたらこの話は仁史の悪戯かもしれない。でも、それも変だ。

第一、仁史はロリコンだったから少女が殺しに手を染めるような話は書かないだろう。

それに、これが作り話だったらとっくに仁史は作家に転向している。

だから、何かわからないこの話を俺はじっくりと考えていこうとおもう。

そのついでに仁史の死の真相を暴いてやろう。


「そう、ついでだ。ついで。ついでなんだ。」


そう、言い聞かせないと俺は自分の怒りを誰かにぶつけそうでこわかった



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