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第7話 今日から小学生

時は流れ、とある小学校のとある教室。

そこにはニコニコしている複数人の少年と複数人の少女達が己の席に座り、目の前の黒板に字が書いてあるのを必死にノートにせっせと慌てて書き写し、小学生にとっては難しい問題を女教師が非常に丁寧且つ分かりやすいように解説し、生徒達はその解説がよく分かったのかご満悦の笑顔。


「じゃ、この問題分かる人~」

「はいっ!」「はいっ!」「はいっ!はいっ!」

女教師が作った問題を黒板に書いてあった問題が分かったのか元気よく何人もの生徒達が挙手していた。

「はい、一文字いちもんじことみちゃん」

「にぃたすさんは、ご。です」

「せいか~い。皆、拍手っ」


ワァァパチパチ。教室内は拍手喝采で問題を正解させた女生徒に送る。

傍から見たら微笑ましい光景だろう。が、一人だけキョトンとしていてどうしたらよいのもか分からない女の子がいたのだ。

「次、西園寺美仁香ちゃん。これとこれを解いて頂戴」

そう、俺である。簡単すぎる算数の問題で暗算でも答えられる範囲なのだ。何故なら一桁の足し算、引き算だからだ。教えて貰わなくても分かる問題をまた一から始めないといけない拷問に心が折れかかる・・・俺のふんばりの見せ所だ。


「問題の一の4足す5は9。問題の二の6引く5は1です」

「せ、せいか~い。計算早いね~」

女教師から指名され、それから問題を出題されてから数秒で答えてやった。他の連中は指とか使っていて少し時間がかかってしまう為、計算能力は俺の方が格段上だろう。

はぁ・・・小学生と張り合ってどうするよ?俺よ・・・

「はい、ここまで」

『ありがとうございましたっ』


ーーーーーーー

算数の授業が終わり、次の授業の準備をする為、真っ赤なランドセルから『こくご』と書かれた教科書を取り出すが・・・

俺は赤色が好きなのでランドセルが赤いことには何の支障も無いのだが、またこいつを背負うハメになるとは想像もしていなかった・・・そんな事は誰も想像もつくまい。


「あ、あの・・・ちょっといいかな?美仁香ちゃん」

さっきまで算数を教えてくれた女教師に声をかけられた俺。何事なのだろう?

女教師は職員室へと俺を任意同行させ、周りにはたくさんの教師がいて、俺を見た瞬間何故か俺をちらちらと見てくる。うーむ、多分あの事で俺を見てくるのだろうか・・・


「何の用でしょう。休み時間は十分しかありませんので、手短にお願いしますね」

「えっ!?え、ええ。そ、そうね」


早めに話を切り上げて欲しい為に素の俺を女教師に見せたら女教師は慌ててあたふたする。しっかりしてて欲しいが、俺もこの教師と同じ立場になったら同じ様に慌てるだろう。


「え、えーと・・・校長先生から聞きましたけどね?え、えーと・・・そ、その・・・」

「言いたい事は分かります。多分その通りでしょうね」

話の本筋は見えていたので先に答えてやったのだ。これも小学一年レベルのトークスキルでは無い。それによって女教師は確信を持ったようで一旦深呼吸して、俺の目を見て話す。


「わ、分かりました。そ、それだけを聞きにここまで連れて来ましたから・・・ほら、聞かれたくないんでしょ?」

「はい。では、失礼します」

「ご、ごめんなさいね~」


女教師は顔をヒクヒクとさせながら俺に手を振り俺は職員室から出る。はぁ・・・賢すぎる小学生を見たらああなるしかないし、どうしょうもないしな。


ーーーーーー


【職員室内】


「・・・はぁ、緊張したわ~」

職員室に麗しいの女教師が自分の席に座り、頬杖をついてさっき話し合った女の子の事を考えていた。

「まさかとは思ったけど・・・本当にああなんだ・・・はぁ・・・」

女教師はため息を吐きながらも先日、校長から聞いた話を思い出していた。


『今年たくさんの子供が我が校に入学してきましたね。今回の入学者である一人の生徒について報告しておく事があります』

何事だろうと他の教師達は校長の話を真剣に聞く為に、表情をキリッとさせていた。

『一年生の西園寺美仁香ちゃんという女の子には中学生並の知識があるそうです。それに立ち振る舞いも小学生とは思えない程、しっかりとしていますので、皆さんは慌てずにしっかりと対応してくださいね』

校長には失礼との承知だったが、女教師含め他の教師達も半信半疑だった。

この事は教師を何年も続けていたが初めての事だったので対応策に困ってしまうしかない女教師。


「あ、先生、さっきの子って先日校長先生のお話に出た女の子なんですか?」


同僚の男子教員が麗しい女教師に話をかけ、さっきの会話の内容を聞きたがっていたようだ。早速、男子教員は女の子について質問し始めたのだ。


「本当にあの子なんですか?見た目的にはそう思いませんが」

「・・・私だって、話すまで普通の子だと思っていました。でも、違ってました。校長先生のお話通りの女の子なんですよ」

「うーん、僕も少し話したくなってきたかも・・・昼休みにお借りしてもよろしいでしょうか?次、僕の授業ですので多分僕の事覚えてくれる筈ですから」

「わ、私はいいですけど、それは本人に言ってくださいね?」

「分かりました」


俺はこの時は知らなかった。教師達の間で一番よく話す話題が西園寺美仁香こと俺という事をーー。


ーーーーーーー

国語の授業も終わり、給食も食べ終わり昼休み。俺は一体何をしたらいいんだろうと途方に暮れていると・・・

「あ、西園寺美仁香ちゃんだね。さっき国語を教えた先生だけど・・・覚えてる?」


男子教員に出くわした。他の連中は友達作りに励んでいる中、俺は男子教員にまたも職員室へと任意同行し、職員室に入り男子教員が手招きして広いスペースを持つ長いすとソファーがある所に案内してもらい、俺はソファーに、男子教員は長いすに座る。


「わざわざごめんね。ちょっと話したいんだよね。君、何歳?」


急に年齢を聞かれた。精神年齢を言ってしまってはまた誰かに興味を持たれ任意同行されてしまう恐れがあったので、この西園寺美仁香の年齢を言う事にした。


「ろ、六歳ですが・・・」

「あ、そうだったね。美仁香ちゃんは小学生になったばかりだからね・・・ん?」

「な、何か?」


男子教員は俺を細目で身体をジロジロ見てくる。げげっ!こいつ、ロリコンかよっ!こんなロリコンが教師になってもいいのか?!


「えーと、趣味は何かな?」

「は、はい。八極拳という中国拳法を少々・・・」

「ちゅっ、中国拳法ぉぉ~?!!」


男子教員は驚きの余り立ち上がりながら大声を出す。その騒音に他の教師達は何事かと俺達の方向を向いて目を光らせた。


「静かにしてくれないかね、君」

「す、すみませんっ」


男子教員は上司っぽい人に怒られ顔を赤らめて着席。俺もこいつの立場だったら同じリアクションするだろう。類は友を呼ぶとはこのことだな。


「な、ならっ、今度の金曜日にさ、体育があるんだよ。その時にさ、少しだけでもいいから技見せてくれない?一つだけでいいからっ!ね?」

「体育も担当してるんですか?」

「そうなんだよ。今回の体育は縄跳びでさ、楽なんだよね僕含めて」


体育の授業内容はどうでもいいのだが、教師として言ってはいけない言葉を耳にしたが、俺の気のせいだろうか。うむ、気のせいだ。


「で?で?やってくれる?ねぇ、ねぇっ」 

「な、何でそんなに興奮してるんですか?」

「だ、だって・・・こんな小さな子が中国拳法・・・八極拳だっけ?をするんだよ。興味が無いって事は無いでしょ?ところでいいの?やってくれる?」


男子教員の目は輝いていた。俺に技を出す為なら教師の力を存分に出す事だろう。仕方ないので了承したら男子教員は

「ありがとうっ!じゃ、また今度ねっ!」

俺の手を笑顔で握りしめ、ぶんぶんと手を上下に震わせる。痛いじゃないかこの野郎。


男子教員から解放され、職員室を出て次の授業の準備に取りかかるのであったーー。


ーーーーーーー


学校が終わり、帰りは複数人でないと帰れないらしい。

ちなみに学校へ通う時は地区別に複数人で一つの班を作り、集団登校をして車の事故や不審者に気をつけて登校する掟があり、帰りも地区が同じな人はグループを作り登校しなければならない。

ちなみに、俺と同じ小学校に通っている麗香はクラスの委員の仕事で帰りが遅くなるという事で今至る。


車の事故は俺が気をつけても車の運転手が居眠り運転とか飲酒運転だとかをやってしまってはどうにもならないのではないか?うーむ、これを言ってしまっては教師は返す言葉もないだろう。あるとしたら気をつけろだ。


俺と一緒に帰る人物は二人いる。

一人はファミレスで出逢った少年。九重ここのえゆう

それと初登場の少女。一文字いちもんじことみ。この一文字という苗字、どこかで聞いた事があると思ったらスーパーで出逢った一文字おばちゃんの娘らしい。


「白線から出たらダメだよ。有君」

「ご、ご、ごめんなさい」


二人はすでに知り合いなのか会話を何の恥ずかしさを感じさせず自然に交わしていた。

俺はそんな二人の後ろに周り、辺りを見渡し車の通行状態を見極める。俺達は複数人で帰っているが、所詮子供なので何かに興味を持たせ道路に飛び出しては困るので、万が一の為にこいつらを引っ張りあげる位置に居たのだ。

はぁ・・・もう少し人数増やして欲しかったな・・・上の学年が付き添いをして欲しかったが、いかんせんここが田舎だからか俺達の地区に高学年は麗香ぐらいしかいないらしく、それと中学年が複数人いるくらいだ。


では、教師とか保護者も同伴するべきではないか?と俺は思ったのだが、いかんせんここが田舎だからか事故や不審者の目撃情報がかなり少ないようでその必要性は無いだろうというなかなかの度胸のすわった校長が決めたらしい。うーん、だからといってやらないのはおかしいじゃないのか?


俺一人の発言で学校が変わるわけも無いし、校長が大丈夫と言えば大丈夫だろう。うーむ、なんとも人任せな俺だ。


しばらく歩き、ふと視線をとあるコンビニへと移すと何やら学ランを着た三人組の不良がヤンキー座りしてコンビニの入り口付近にてたむっていたのを目撃。

学ランを着ているという事はどうやら不良三人組は中学生だというのは分かったのだが・・・

う、うわっ!時代遅れのヤンキーだっ。そっとしておこう。


俺は無視する事にしたのだが、好奇心旺盛の二人は不良組を指差し

「あれ何かな?有君。美仁香ちゃんもあれ知ってる?」

「ううん。ボク、知らない。み、美仁香ちゃんは?」


ギャー!こいつらやってしまいやがった!

やってはいけない事やっちまった!

そんな俺達の会話が聞こえたのか不良の三人は俺達の近くへと近寄り、三人の眉間はしわをよせ子供相手にメンチを切っていたのだが・・・小学生相手でも容赦無いなこのヤンキー共・・・


「あん?ガキのくせに文句あんのか?」

「ガキは家に帰ってママにでも甘えてろよ」

「・・・眠い・・・」


俺達は危険な状態になり、ただただ不良組の前に立ち尽くすしか無かったのだーー。

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