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第5話 これが俺だと?

母親と風呂に入って身体やら頭を洗い終え、着替えを済ませる為、脱衣場にてすでに用意してあった服を着替えようとしたが、その着替えは胸のプリントに魔法少女アニメみたいなイラストが施してあり、さらにズボンには何か知らんが尻尾までついてあったのだ。邪魔だろコレ。それにこのアニメ知らんし、大体アニメとかのプリントがついた服は一度たりとも着たことないので落ち着かない。あと、やっぱ尻尾邪魔だわ。

ただ、下着の文句は何となく言えないのでそっと胸にしまっておく。


「あ、あの、コレしか無いんですか?シャツは・・・百歩譲っていいんですけど、ズボンのコレが・・・」

「あら、かわいい~♪いいんじゃない?」


俺をどうしたいのかイマイチよく分からないが、俺がお前に何をしたかという疑問が生じるが・・・そっとしておく事にした。

「後はテレビ見るなり好きにしてていいわよ~」

母親はいつの間にか服を着て脱衣場を出る。俺も脱衣場を出ようとしたが、ふと視線をある場所へと移すと鏡が見えたのだ。

鏡は洗面所とセットになっており、俺の背の小ささから洗面所の鏡に俺は映ってはいなかったのだ。


そういえばと思う。まだ自分を確認してなかったと。せっかくだし自分の姿を見ておこうと決めた俺は俺専用らしい台を見つけ鏡の前へと運び、ゆっくりと台へと登り鏡の前へ立つと・・・


「・・・マジで?ちょっ、これ・・・正気ですか?」


そこにはレベルの高い可愛らしい幼女がいた。顔はまだまだ幼いし、身体つきも子供だが、とてもその辺の小学生とは思えない美貌びぼうを持った女の子がいた。

すっとした鼻筋。クリクリとしてパッチリとした二重の目。くりんとしたまつげ。薄い淡いピンク色の薄い唇。桜色のまん丸いほっぺ。肩につくぐらいサラサラとした長くて黒い髪の毛でしかも姫カット。


後十年ぐらい成長したらアイドルにも劣らないであろう可能性を持つ美人だ。こ、これは大変だ・・・大変だー!

だ、だってさ、やべーって!ロリコンが見たら発狂するレベルだって!この俺でさえも若干好きになっちゃったんだもん、他のやつも好きにならないってことは多分無いぞ!


「にっ・・・笑顔もやべぇ・・・」


俺は笑顔を作ったのだが、やたら可愛らしい笑顔を俺に見せてくれた。いや、俺が笑顔になったから当然っちゃ当然だけどな。

「にしても、これは・・・はぁ、仕方ないなぁ・・・」

顔を確認し、どうしようも無くただただため息を吐くしかなかったのであったーー。

ーーーーーー


俺はリビングへと足を運び、テレビがあったのでリモコンを探し、適当にチャンネルを回し、ニュースを見ることにしたのだ。

ニュースを見ると同時に新聞紙もあったのでそれを目に通す。俺が確認したい事はただ一つ、今はいつなのかだ。


いろんな事がありすぎて一番重要な事を忘れていたのだ。俺が西園寺美仁香という存在にいつ頃からなったのか分かるかもしれないからだ。

「えーと、今は・・・20XX年!?数年も過ぎてる!?」

俺のいた世界よりも時が進んでいるようで、それに驚くしかない俺。だが、こうは考えられないか?俺はタイムスリップをしたのでは・・・いやいや、ドラマとかに影響され過ぎたか。

「う、うーん・・・ま、いいか」


たかが数年ぐらいでそんなに変わる筈もないだろうと何の根拠も無いまま自己完結。

ただ、この世界に俺の本当の両親はいるのだろうか?いや、これは止めておこう。見ず知らずの小さい女の子から実は死んだ息子なんだという事を言ってしまっては親が信じないし、万が一信じてしまっても変わり果てた俺の姿を見た親は・・・また泣いてしまうかもしれない。

もう、親が泣いている姿は見たくない・・・今は、今の西園寺美仁香として生きていく事がこの西園寺家の幸せなんだから、その幸せを奪ってはいけない。


俺は重大な事を決心し、テレビの番組をバラエティー番組に変え、リビングにあったソファーを占領し、バラエティー番組を見ていたところ、西園寺家の兄妹が登場。こいつらとも仲良くしなくてはな。


「え、えーと、透に麗香だっけ?」

「う、うん。透だよ」

「今更変だけどよろしくね?美仁香」   


二人はどうも落ち着かないようでそわそわしていた。どうやら警戒心があるようなので俺のほうから安心感を与えないとずっとこのままの状態になりかねないので俺の隣にまだまだ座れるスペースがあったのでソファーをぽんぽんと叩き


「ほら、座って座って。一緒に見よ?」

「う、うん」

「わ、分かった」

俺を信じて欲しいので早めに仲良くなりたい。何故ならば家族だし、ずっとこのままでは息が詰まってこの先、面白くない人生が待ちわびている事だろう。それは良くない。


「・・・ねぇ、そんなにビクビクしないでさ、少しだけでもいいから僕を信じて欲しいんだけど・・・」

「そ、それは・・・そうしたいけど、母さんや父さんほどには理解できないんだ」

「わ、私も。だ、だって・・・美仁香が美仁香じゃないんだもん」

二人が言いたい事はよーく分かる。俺だってそうしたいさ。でも、ずっとこのままはイヤだろ?だからこそいち早く信頼関係を築いて信じあえる程度まで仲良くなりたいのだ。


「・・・ごめんね・・・こんな風になって・・・」

「へっ?!い、いやいや!わ、悪くないよっ!美仁香は!」

「そ、そうだよっ!す、少し変なだけで・・・でも・・・ちょっと美仁香に興味が湧いてきたよ?本当だよ」


透という長男はともかく麗香という長女はほんの少しだが警戒心を解いてくれたようだ。うーむ、仲良くなるのにまだまだ時間がかかるかもしれないな。

「うん・・・気を使わせてごめん」

「あ、謝るなよ・・・俺達がいじめているみたいじゃん」

「そ、そうだよ。あ、そうだ!歓迎会で美仁香を受け入れようよ!今の美仁香を!」


麗香は初めて見せる笑顔で俺の為に歓迎会を開くそうだ。透もその案に賛同し、俺を・・・今の俺を受け入れてくれるようだ。ありがとう・・・二人とも。

俺は目頭が熱くなり思わず・・・


「ぐすっ、ありがとうっ、うっ、ぅぇぇ」

「わっ?!わわわっ、いいっていいって!」

「よ、よしよしっ!いい子だから泣かないでよ。一応男の子でしょ?多分・・・」

「そ、そうだけどっ・・・ぅっ、ふぇぇぅ」


余りにも不甲斐ふがいない。ただただ泣くしか無いのだ。

俺が泣いているとまたも母親にばったりとあい、兄妹達が泣かしていると勘違いしてしまい、俺をあやす為に背をさすってくれる。

家族に対する悩みはもう無いだろう。後は時間で問題が解決する事は明白。俺は安心して泣いていた。


「ふぇぇっ、ぅぅっ」

「よしよしっ。また急に泣いたのね?ダメでしょ、この子を守ってやらないと」

「うん。絶対に守るよ。どんな事でも、俺が美仁香を。守ってやるんだ」

「私も守ってあげる。だってこんなに泣き虫なんだもん。もう、泣かせたりしない。泣いたら私が救ってあげる」


ここに家族が団結した。目標は皆同じでただ一つ。俺を。西園寺美仁香を守る事。ただそれだけにすぎないかもしれないけど、家族にとってそれは大きな目標なんだからーー。


ーーーーーー

しばらく時が過ぎ、この家族が決めたのか消灯時間になった。うーむ、まだ確認してないが門限とかも決めているっぽいし、この家って結構厳しいのな。


「ほら、寝なさい。美仁香は私と一緒に寝ましょうね~」

透や麗香は自分の部屋があるらしいのでその部屋に入って寝る準備をしているが、まさかの発言を耳にする。なんだって?母親と寝るって?まさか俺が?そんなバカな・・・


「あ、あの・・・僕の部屋は?」

「へ?まだ無いよ?」

母親はそれは当たり前でしょうと言いたげそうな表情でキョトンとしていた。まぁ、母親の発言は『まだ無い』という事なので後々俺専用の部屋を用意してくれる事にほっとするが・・・それはまだまだ先の話かもしれない。

「ほら、寝ましょう?ね?あっ、そっか~。恥ずかしいのね~?うふふふっ」

いつものサド気味な笑顔。性格悪いなこの人・・・よく結婚できたな。


仕方なく母親と寝てやることにしたのだが、少し気になる事がある。

「あ、あの・・・お父さんみたいな人って何の仕事してるんですか?」

あの父親の存在の事である。我が子の異常を察知して自分の子供なのに名前を聞いていたし、いろいろ医学に詳しそうだった。まさかとは思うが・・・

「お父さんみたいな人はあなたのお父さんよ。で、あの人は医者なのよ」

な、なるほど。やはりか。だからあんなに対応が早かったのか・・・うーむ、父親が医者か・・・てことはこの家って結構裕福ではないのか?な、なんか間違えて生まれ変わった気がするぞ?生まれ変わるとしても雑草とか小動物で良かったような気がしてならない・・・


「そ、そうなんですか」

「ほらっ、寝ましょう?あ、子守唄歌ってあげよーか?うふふふっ」

「・・・遠慮しておきます・・・」


こうして俺が西園寺美仁香として生きていく一日目が終了。この人生、死ぬまで続くのか・・・それは神のみぞ知るーーー。


「ねーんねーん、ころーぉりよ~」

「だからやめてくださいって!」








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