資料室
「はい、じゃあ終わります」
大きな教室に鳴り響くチャイムとともに、先生は軽く礼をして教室を出て行った。
「真子・・・ここわかった?」
「えっ、あ、なんとか頑張りました」
青ざめた顔で私に問いかけた愛梨。
私と愛梨の後ろには、郁人君と、悠也と大輝が筆記用具をカバンにしまっていた。
唯美は私のとなりでまだノートに何か書いていた。
「真子、今日も調べなあかんよ」
「え、あ、うん! 星の現象調べましょう!」
郁人君達と一緒になってから、私は大学生活に慣れてきているのを実感していた。
笑顔で受け入れてくれるみんながいても、やはりタメ口にはなれず・・・
「真子、あとで教えて~」
「・・・あっ、はい。 全然大丈夫です!」
言いにくい敬語を使う毎日。 いつかは仲良くなって・・・
そんなことを小さな目標にしていた。
「でなでな、今度その話の続きがテレビであるんよ」
「続き? テレビで?」
大学の外は、とても気持ちがいい。 晴れの日は、みんなで外を
ぶらぶらするのが普通になっていた。
「そう。 で、内容が・・・」
「(また話長くなるだろうなぁ~・・・)」
大輝が話すのはいいんだけど、話が長くなりすぎで時々ついていけなくなる時が
ある。
「大輝、話しすぎ」
後ろから悠也の声が聞こえた。
「えっ? 今から話すのはめっちゃええことやで」
「いやいや、そうじゃなくて。 真子が聞くの面倒になるかもしれないよ?」
えっ・・・図星。
「えっ!?! そうなん!? ごめんな真子・・」
「大丈夫ですよ! 大輝の話、面白いし」
「ほんま?!」
はぁ~・・・本音が言えない。
まぁ面白いのは確かなんだけど・・。
「いいんだよ真子? 大輝の話は長ったらしいから」
「いやいや、大丈夫ですよ」
愛梨の言葉、ものすごく当たってます。
やっぱり先輩は違うなぁ~・・・
そんなこんなで、資料室へ。
「郁人君、この資料なんだけど・・・」
唯美と郁人君が話している。
「(あの二人・・仲いいよなぁ~・・・)」
最近、郁人君をついつい見てしまう。 その先にはまぁ唯美がいて。
「・・? あ、あの二人を見てるのかぁ」
「うわっ! びっくりした・・・」
私の隣にいきなり現れた愛梨。
「あの二人ね、高校の時一緒だったんだって。 で、後から私達が仲間入り」
「あ、そうだったんだ・・・・」
どうりで仲がいいこと。
「・・・真子、この本どこにあるやろか? 俺今調べてるから見にいけへん・・・」
「・・・えっ? あ、探してみますよ」
大輝に頼まれて、私は広い資料室の中を駆け回り、本を探した。
「(どこだろ・・・あんまし来たことないし・・・)」
「・・・あっ、いたいた! 真子、これどう思う?」
本を探している中で、郁人君がこっちに来た。
「・・・え?」
「流れ星について、調べたんだけど・・・」
「・・・えっ!?」
私は郁人君が持っている資料をぱらぱらとみた。
「この間の夜、真子に会った時から調べたんだよ。 なんか余計気になって」
「・・・えっ?」
「流れ星のことが」
・・・あ、流れ星ね。 流れ星が気になったのね。
変な期待を持った私がバカだった。
「これあげるよ。 目通しといて?」
「いいの?! ありがとう!」
「郁人」
私達が話している時に、後ろから唯美の声が聞こえた。
「あっ、じゃあ」
郁人君は、私の前から消えて行った。
「・・・さっ、本探そ」
再び本を探すことに目を向けた。
「・・・・ないなぁ~・・・」
いくら探してもない。 広い場所苦手なんだよなぁ~・・・・
やっぱり郁人君に聞けばよかったかな。
そんなことを思っていると、近くに唯美がいた。
さっきまで郁人君といたはず・・・だよね・・・? ま、いいやいいや。
「何か探しているの?」
唯美に聞かれ、私はとっさに答えた。
「大輝がこの題名の本探してたから・・代わりに探してて」
「えーっと・・・あ、あっちだね。 あっちの棚にあるよ」
唯美が指した方向は、ものすごく遠い・・・。
しかも棚は棚でも・・どの棚にあるか・・・。
「・・・あ、ありがとう! 探してみるね」
私はすぐに唯美が指した方向へ向かった。
「・・・」
「・・・」
「・・・ない」
もう5回も見て探しているが、いっこうに見つからない。
やっぱり違う場所なのだろうか。
「・・・・ってか、ここどこ!?」
あまりにも広すぎる資料室は、方向オンチな私にとって最低最悪の場所だ。
今まで、大輝と一緒に本を探して調べてたから・・・・。
「・・・・で、でもまず本を探さないと」
とにかく私は本を探し続けた。
「・・・・・えっ、もう5時!?」
やっと本を見つけて、現在の時刻は午後5時。
みんなはどこにいるのだろうか・・・・。
「あ、携帯!」
・・・・・メルアド交換するの忘れてた。
しかも圏外だし。
「で、出口出口・・・」
窓から眩しいオレンジ色の夕焼けがさしていた。 まさしく今は帰る時間。
やばい・・・やばいぞ。
やっと出口を見つけた時は、どれだけはしゃいだろうか。
「よし、本は借りたし忘れ物もないはず。 みんなを探さないと」
ガチャッ
音がしたのは、ドアノブを回す音だけ。
・・・開かない。
「・・・え、閉められた!?!」
私は何回もドアノブを回し、開けようとした・・・が開かない。
・・・・・どうしよう。
なんか話がそれるような気もしますが・・・
続き、頑張ります。