ご縁
やばい、まさかここで会えると思わなかった・・・。
「・・・・どうしたの?」
人間流れ星の一言で、私は我に戻った。
「あっ、えっと・・ありがとうございます」
私は最後の一枚を、人間流れ星からもらった。
「あれ? 君・・・」
「・・・・?」
「この間、窓から資料落とした女の子?」
「・・・・えっ!?」
なんでわかったんだ・・・。 だって顔は暗くて見えにくかっただろうし・・・
「声が似てたから・・・えっ、違った?」
「・・・ううんっ! よく覚えていたなぁ~って思って・・・」
「あ、名前教えてなかったよね。 野島郁人≪のじま ふみと≫です」
「えっ、あぁ、内田真子です」
私と郁人君は、お辞儀を同時にしていた。 お互い、動作が同じだったからか、笑っていた。
「あれ、どこの学部?」
「理学部です」
「おっ、俺も!」
「・・・えっ!? 一緒?!」
「だね」
そっか・・・郁人君も星に興味あるって言ってた・・・
『郁人~!!!』
遠くから聞こえる男の声。 郁人君は後ろを振り向いて、手を振った。
「ごめん、連れが待ってるから行くね!」
「う、うん!」
郁人君は私に軽く手を振って、連れ(?)の所へ行った。
私も軽く振り返す。
「行っちゃった・・・」
・・・あの時と同じ場面だ。
なんか懐かしい気分・・・。
「・・・あっ、私も行かないと!」
資料を頼りにして、私は教室へと向かった。
「あーーーっ、終わったぁ~・・・」
あっという間に、授業は終わった。 私は思いっきり手を伸ばす。
「(ぜっぜんわかんなかったし・・・)」
いろんなことを思いながら、カバンの中にノートと筆記用具をしまった。
「(ふぅ~・・・)」
「真子ちゃん!!!」
大きな声で、私を誰かが呼んだ。 後ろを向くと、郁人君たちがいた。
郁人君は、「こっちにきて」と手招きをしていた。 私はすぐに向かう。
「俺の高校の友達です」
紹介されたのは、さっきの連れだった。
「左から順に、悠也、大輝、唯美、愛梨。 悠也と愛梨は、1つ上の先輩」
四人は立ち上がって、私にお辞儀をした。 私もつられてお辞儀をする。
「あっ、内田真子です」
「真子ちゃん、星に興味あるんだよね?」
「えっ?」
愛梨が言った。
「さっき郁人から聞いたの。 私達も興味あるんだ」
「えっ、本当ですか?!」
「うん! だから、一緒のサークル入らない?」
「ぜひ! 入りたいです!!」
私の心は、さっきとは違って明るい色に変わった。
郁人君たちと一緒のサークルに入れるんだ・・・
「これからよろしくな」
悠也が、手を出してきた。 「あっ、握手だよね」と思った私も手を出して、握手を交わした。
郁人君と会えただけでなく、まさか郁人君の友達とも仲良くなれるなんて・・
何かのご縁でしょうか・・・・
帰り道も、郁人君たちのグループと途中まで一緒に帰った。
「えっ、真子ちゃん2回も流れ星見たことあるん!? すごいわ~」
関西弁が特徴の大輝は、とても接しやすい人だった。
愛梨は、しっかりしてて、なんだか一緒にいると落ちついて・・・
唯美はとにかく静か。 話さずに、めっちゃ笑顔で私達を見ている。
「1回目は小3の頃で、2回目が中3の頃なんです」
「流れ星とご縁があるんだね! いいなぁ~・・私も見たいかも~」
愛梨が言った途端、私は思った。
ご縁・・・
―流れ星とご縁があるのなら、郁人君とも何かあれば・・―
私は「ご縁」と頭の中に思い浮かぶ中、みんなと別れて家に帰って行った。