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流れ星  作者: しいな
2/5

人間流れ星

「う~ん・・・いないなぁ~・・どっちも」


あれから一週間が経った。 私は相変わらず流れ星を探すのに必死だ。


でも、もう一つの流れ星も探している。


「確かあの辺で会って・・・」


あの男の人だ。 いや、もう「人間流れ星」と言った方がいいのかもしれない。

毎晩、夜空を見上げるたび、人間流れ星にまた会えないかと思ってしまう。






「人間流れ星?!」

「・・そうだけど」


今日は玲美と図書館で勉強をした後、いつものカフェで雑談。

玲美にこの間のことを話した途端、玲美は爆笑しはじめた。


「えっ、そんなにおかしい話だったかな・・ってか、バカにするなっ!」

「いやっ・・話はおかしくないけど・・そ、その・・ネーミングセンスが・・・フッ」


爆笑しながら話す玲美を見て、私まで少し笑ってしまった。


「玲美おかしすぎるよ~!」

「いやいやっ・・真子の方が・・っ・・」


おなかをかかえて爆笑する玲美と、それを笑っている私。


・・・・なんか気持ち悪く見えて、私は笑えなくなった。

玲美も笑いが収まったのか、テーブルにあったコーヒを一口飲んだ。


「はぁ~・・面白かったぁ・・」

「れ、玲美、そんな爆笑する?」


「当たり前だよ! だって真子のネーミングセンスなさすぎだもん!」

「・・・・あ、そっち?」


笑いすぎて、一瞬だけ話の内容を忘れてしまった。


「で、その人間流れ星には最近会えました・・?」

「会えてない・・・ってか、会えてないから話したんじゃん!!!」

「あぁごめんごめん」


でも、心の中で会えないと思う自分がいた。

流れ星は、そんなに何回も現れない。


「あ、でもさ、もう1回会うかもよ?」

「何言ってんの玲美~・・・」


「真子、「流れ星」は2回見たんでしょ? じゃあ人間流れ星も2回会えるでしょ~」

「・・・・えっ、何その予想! めっちゃ子供~」

「・・・あんたに言われたくないね」


この時は、まだ軽い気持ちで思っていた。


―また会えたら、今度はどんな話をしよっかなぁ―


でも、その気持ちはいつしか変わっていく。


大学生活が始まった時から・・・・




大学の入学式を終えて、もう5日が経った。

今日は、初めての授業だ。 今まで休みだったので、少し緊張している。


「(なんていったって・・・玲美いないし)」


人見知りではないが、友達がいないと、なんだか不安だ。

大学の駐輪場に自転車を置き、少しうつむきながら私は歩いた。


空は雲一つもない快晴。 だが、風が強い。

手には、今日授業をする教室の資料を持っている。


「(はぁ~・・・頑張ろっと)」


心の中でそう思った私は、歩きながら深呼吸をした。


「(この大学広いんだよなぁ・・・)この道まっすぐいって・・・」


♪~~~~~♪~


カバンの中から、かすかに着信音が聞こえた。 

私は、資料を持ちながら、不器用な手つきでカバンの中にある携帯を探した。


資料を持っていると、なんだか探しにくい。


その気持ちが私の手を動かしたのか、手から資料が離れてしまった。


資料が地面にバラバラと落ちた。


「あーっ・・・」


少しイライラしながらも、私は資料を一枚一枚とった。


「(最後の一枚・・・っ!!!!)」


少し遠いところにあった最後の一枚をとろうとした時だった。


風がふいて、紙がどこかに行ってしまった。


「・・・えぇーっ!」


もっと遠いところに行ってしまった紙をとりにいく私。 でも、とりにいく私の足はすぐに止まった。


「・・・これ君のー?」


私は言葉が出なかった。


あの身長、あの声、それに・・あのショルダーバッグ・・・。

その人は走ってこっちに向かってくる。


「これ、君のだよねー?」


嘘でしょ? 玲美の言った通り・・・


―流れ星だ―


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