独白する魔王様其ノ二
お待たせしました。
「先日、人の町で子供を拾いました。」
「……子供?」
記憶する限りルドルフは他人の過度な接触を好まない。
そのルドルフが子供を拾ったというのだから、好奇心が頭をもたげ始めた。
「お前がそんなことをするのは珍しいが……それは、人の子か?」
問えばルドルフは複雑な表情を浮かべ、首を横に振った。
「それが、わからないのです。」
「……どういうことだ?」
らしからぬ曖昧な発言に眉根を寄せ問い返す。
苦い笑いを浮かべたルドルフに続きを促すと暫く間を置いてから口を開いた。
「あの子供からは『人の匂い』も『同胞の匂い』もしないのです。」
匂い、というのは気配のことだ。
どんなものであっても、生き物は気を纏っている。ルドルフはその『匂い』を嗅ぎ分けることが得意だ。これはルドルフの種族の特徴でもある。
しかし…匂いがしない?
「それは……一度会う必要があるか」
「はい、ありがとうございます。それでは、いつ頃こちらに連れてこれば宜しいでしょう?」
「いや、余が行こう。」
「は……?いや、しかし」
「ルドルフの屋敷で保護しているのだろう?あの場所には幾度か訪れたことがある。」
城は息苦しいのだと言えば、ルドルフは仕方無いとばかりにため息を吐いた。
「まあ、良いでしょう。」
ずっと引きこもっていては体にも良くないですから。
と締めくると、一礼をして扉の外へと出ていった。




