孤独と
調子に乗って二日連続で投下。
恐ろしい?
男性の言葉に首をかしげる。何故出会ったばかりの男性を恐ろしく感じなければいけないんだろう。
「知らない人は危ないからあまり近寄ってはいけない、ということは知っています。」
間違ってはいない筈だが、私の言葉に男性は面食らったように眉をしかめた。
「けれど、恐くないですよ」
うん、恐くないんだ。
だって、悪い人っていうのはどんなに取り繕ってもやはりどこか雰囲気が隠しきれていないところがある。
この男性にそういったものはないし、どちらかというと……
そう、寂しそうだったんだ。
「余が、魔王であってもか?」
魔王っ……て、随分ファンタジーなことを言う人だな。
いや待てよ、私が子供になったという時点で十分ファンタジーか。
なんて、どうでも良いことを考えてしまったが、音も無しに立ち上がった男性は私をすがるように見つめてきて。
妙に納得した。魔王、曲がりなりにも王様をやっているのなら、やっぱり寂しい思いもしてきたのだろう。
胸に込み上げてくる思いが、恐らくただの同情であることは自分でも理解出来たが、それでもその感情のままに男性の手を握る。
一瞬怯えたように震えた手の温度は少し低かったけど。
「私と変わりませんよ?」
握った男性の手を私の胸の辺り、男性の腰辺りまで持ち上げて、自分の片方の手のひらを見せつけるように向けると、男性は数回瞬いた後、嬉しそうに、泣きそうな顔で破顔した。
みじかいっすか、そうですか…




