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第一話 「現世の生命」


目が覚めると、そこには天井があった。

いかにも古めかしい天井だ。

何年もほったらかしにされて風化している的な雰囲気を醸し出している。

ていうか風化しまくりだろ。

なんとも年季の入った家である。そもそもここは家なのか?

橋の下ではなさそうだが。

あれ?俺は何でここに居るんだ?ここはどこだ?私は誰だ?

ミュウツーではないことは覚えているのだが、何があったんだっけ?


とりあえず辺りを見回そうと首を横へと振ったそのとき、首筋に激痛が走った。



ショウ「いって!」


???「ああ、まだ動かないほうがいいわよ。」



なにやら俺とは違う声帯の持ち主がしゃべっている。

ちょうど俺の真後ろから声が聞こえた。

なんと俺は首の痛みに耐えながら壁のほうを向いてしまったらしい。

後ろを向こうにも体中が痛くて動けない。


???「現世に慣れるのに時間がかかるから・・・あ、それとも体のほうかな?魂が安定するまでもうちょっとじっとしてな。」


なにやらちんぷんかんぷんなことを仰っている。

誰だお前?

と口走る瞬間、微かに記憶が蘇ってきた。


ショウ「神・・・様?」


神 様「おお、記憶も戻ってきたようだね。」


ショウ「ここは、どこだ?」


神 様「現世よ。」


ショウ「いや・・・」



それでは分からんのだが。


神 様「分かるもんかいな。」


ショウ「なんで?」


神 様「それを知ることは即ちこの世の理に干渉することになるからねえ。」


ショウ「はあ、ますます分からないけど。」


神 様「分かるようにはしゃべってないよ、安心しな。」



別段安心は出来なかった。

というか不安なんだが。まず第一に


ショウ「俺はどうなったんだ?神様。」


神 様「私のことは気さくに『サリィ』と呼んでくれ。」


ショウ「そんな名前なの!?神って名前じゃないの!?」


サリィ「それは種族名よ。人間は人間同士を人間って呼ばないでしょ?」


ショウ「はあ、まあいいんだけどさ。それで?」


サリィ「ショウ、アンタは現世に落ちたんだよ。その際の衝撃やなんかで少々節々が痛むだろうが我慢しなさい。」


ショウ「おじいちゃんみたいだな。」


サリィ「いいや、今のアンタはさながら赤ん坊だよ。」


ショウ「でも現世に来たって事は生きてるんだよな。」


サリィ「いんや、生きていないねえ。」


ショウ「え?死んでんの?」


サリィ「死んでないよ。」


ショウ「え?う〜ん、分からないなあ。」


サリィ「言ったはずよ。アンタの魂は私が救い上げたって。」


ショウ「初耳だけど!?」


サリィ「ああ、そうだっけ?まあ今言ったからいいや。」


ショウ「腑に落ちないなあ。」


サリィ「アンタは魂だけの曖昧な存在だったのよ。そう、幽霊のようにね。」


ショウ「ってことはやっぱ死んでんじゃないの?」


サリィ「だから違うってばぁ。幽霊のまま生まれて幽霊のまま消えていく奴だって居るんだから。」


ショウ「幽霊も存外いい加減なんだなぁ。」


サリィ「だから曖昧なのよ。」


ショウ「仕方ないねえ。」


サリィ「アンタのことよショウ。」


ショウ「でも俺は今ここに居る。」


サリィ「それは私の力のおかげよ。実体と魂を結びつけるのは大変なんだから。」


ショウ「そりゃご苦労。」


サリィ「仮にも神に向かってなんという口をきくか。」


ショウ「仮なの?」


サリィ「神だよ。」


ショウ「まあ理屈は分かった(分かってない)けど、結局俺はなんでここにいて、何をすればいいんだ?」


サリィ「ショウ、神としてあなたに一つの使命を与えます。」



急にシリアスになった。調子狂うからやめていただきたい。

突っ込もうかかどうか迷ったがやめといた。


サリィ「あなたは今から現世で『生』を集めなければなりません。」


ショウ「せ・・・聖?」


サリィ「性。」


ショウ「その字はなんか卑猥だからやめろよ!」



本当に神様かこいつは。

ってかシリアスモードはどこへいった。集中力なさすぎだろ。


サリィ「『生』とは即ち『生命』の事。この世にあふれる『生』を集めて、人間へと覚醒しなさい。」


ショウ「その記憶の墓場にばら撒かれた『生命のダスト』を集めれば晴れて人間として生きることが出来るんだな?」


サリィ「ああ、ぶっ生き返ることが出来るよ。」


ショウ「死んでんの?」


サリィ「死んでない。」


ショウ「んで、『生』を集めるにはどうすればいいんだ?」


サリィ「簡単さ、ただ人間の真似事をしていればいいのよ。」


ショウ「おままごとか。やっかいだな。」


サリィ「違うよ。猿真似さ。」


ショウ「ああ、そいつは得意分野だ。」



なんだか危ない発言だった。


サリィ「とにかく、ただ普通に過ごしていることが『生』を集めることに繋がる。だからアンタはなるべく人間らしいことをいっぱいやるんだ。わかった?」


ショウ「うん、まあ。」


サリィ「いい返事ね。」



耳が悪いのかこいつは。

ともあれ俺は(仮にも)神様からの使命を授かった。

その使命はなんとも分かり辛い変な内容だった。


ショウ「ところで、ここは一体どこなんだ?」


サリィ「なにぶん多くの『生』を集めなきゃならんからねえ、ちょっとばかし辺鄙なところに居るよ。」


ショウ「ふ〜ん、一体どんなところなんだ。」


サリィ「電気が無い程度の山奥の小屋だが、まあ何とかやっていけるだろう。」



はぁ!?


ショウ「おい、お前何考えてんだよ!おらの村には電気がねぇって!」



いつの間にか首の痛みは引いていた。

勢いよく布団から飛び起き、サリィの方を向く。

そこにはいやに現代くさく、全然神様っぽくない容姿をした一人の少女がちょこんと座っていた。

その少女は俺の顔を見るなりニコッっと笑うとこう言い放った。


「さ、これから神と人間(?)の愉快な山奥0円共同生活の始まりだ。」


つづく・・・

感想くれたらうれしいねぇ

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