最終報告データ
第一種永久機関の成立条件について
On the conditions for the establishment of the first kind of perpetual motion machine
1.緒言
暗黒物質,いわゆる反物質の本質は,負の質量をもっているということだ.
つまり同じ大きさの正の質量と触れると総和は0となり,この世界から消える.
存在していたものは消え,消えた量は存在していた量と等しい.
これが第二種永久機関の始まりであり,エネルギー保存則である.
この法則は絶対であり,宇宙が破綻しない理由はこれが成立しているからである.
ではこの絶対的な法則から,どのようにして私たちが扱うことができるエネルギーを取り出すか.
結論から言うと,マイナスの世界でエネルギーを生み出すことができればよい.
天秤を想像してほしい.
一方の皿は私たちが観測できるプラスの世界,もう一方は暗黒物質で満ちたマイナスの世界とする.
片方には正の質量,私たちが扱うことができる正のエネルギーがある.
天秤はエネルギー保存則の法則に則り,マイナスの世界に同じだけの質量,私たちの世界からみれば負のエネルギーを生み出し,均衡をとる.
“引き寄せたり,吸収したりするエネルギーが負のエネルギーなのでは?”と疑問に思う人もいるだろう.
だがそれは,人間が決めた向きに逆らう方向に作用しているだけのベクトルであり,私たちのプラスの世界に存在する限りそれも正のエネルギーである.
先に反論をさせてもらうと,私たちの世界のエネルギーの消滅とは,あくまで観測できなくなるまでに微細になってしまっただけであり,真の意味での消滅ではない.
微細になったエネルギーはいつまでもプラスの世界に存在し,形を変え,再び循環を始める.
少し脱線したが,天秤の話に戻そう.
プラスの世界とマイナスの世界は常に均衡を取り続ける.
つまりプラスの世界とマイナスの世界のエネルギーの量は常に等しく,その総和は常に0を示す.
これが,我々が提唱する「絶対的零理論」である.
「存在の保存則」とでも言えよう.
しかしながら,この均衡を取り続ける力には限度がある.
その証拠に,我々はブラックホールを通じてマイナスの世界に放り出された.
超新星爆発よりもさらに大きな,無限大にも等しい正のエネルギーの発散.
天秤の均衡は一時的にだが崩れ,結果干渉はすれど交わすことのない2つの世界が繋がるのだ.
ブラックホールが発生すると同時に縮小を始めるのは,崩れた天秤の傾きが徐々に均衡を取り戻していき,本来のあるべき姿になっていくからである.
そこで我々は考えた.
プラスの世界にエネルギーが存在するのであれば,マイナスの世界にも同じ量のエネルギーが存在する.
その逆も然り,マイナスの世界にも同じ量のエネルギーが存在するのであれば,プラスの世界にエネルギーが存在する.
私たちが観測し,扱うことができるのはプラスの世界のエネルギーのみである.
マイナスの世界でエネルギーを生み出すことができれば,私たちはプラスの世界の一切を消費することなく,エネルギーを手に入れることができる.
既に超大型核融合炉として,無限の熱エネルギーを生み出すことはできている.
後はこれを破綻・消滅させることなく,マイナスの世界で運用していくだけだ.
生じたエネルギーの受け渡しには,プラスの世界の特定の場所にエネルギーを集中させる特殊な白いブラックホール、ホワイトホールを利用する.
ホワイトホールはマイナスの世界から生じたエネルギーを吐き出す,プラスの世界の全てを呑み込むブラックホールとは対となる空間の穴.
マイナスの世界で無限のエネルギーを作り出すことができたとしても,プラスの世界のどこにそのエネルギーが発生するかまでは分からない.
エネルギーが欲しい場所に集中させることができなければ意味がないからだ.
ここまでで表題に疑問を持った人はいるだろうか.
“これは無限に増えていくエネルギーでは無い.世界のエネルギーの総量は変わっていないじゃないか”
確かにこの理論ではエネルギー保存則を突破しておらず,第二種永久機関のままである.
だが私たちが生きる世界はプラスの世界.
そのプラスの世界の中だけでも無限のエネルギーを手にすることができたのなら.
それは人類が夢にまで見た,《《第一種永久機関》》であると.
胸を張って言えるのではないか.
それではマイナス世界における超大型核融合炉の構想から運用,ホワイトホールの構築および維持の方法を報告する.
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ここまで絶対零度のプロメテウスを読んでいただき、誠にありがとうございます。
構想から約9か月、遂に世に出すことができました。
本来であればここには様々な解釈や数式、相対性理論への問いかけなどを書くべきなのですが、この作品はあくまでSF、エンタメとして楽しんでもらうことを目的として割り切りました。
拙い表現や整っていない文体、文章の体をなしていない所も多かったでしょう。
それでも、私の頭の中の情熱を少しでも伝えることができたのであれば、この上ありません。
残すはあと2話のみ。
2人の行く末を、未来の世界を、どうか最後まで見届けてあげてください。
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無数の数式と論理が並ぶ
それは有史以来の人類の英知の結晶であり
その輝きは太陽をも凌ぐほどに力強く
未来を照らしていた
膨大な文字の最後は次の一文で締められていた
「以上をもって,第一種永久機関の成立をここに証明する.」
追記
最後に先輩から必ず記載しろと承った文章をここに残す.
だがこれは私の意志でもある.
この者たちの輝かしき未来に,希望の火があらんことを
次に記す者たちへ
人類を代表し、心からの謝罪とこの世界全ての感謝を
名もなき子供たち
ロバート
ヨシノ
ハルカ




