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ログ:仮説

先輩、タク教授が眠ってしまった


残るは俺ひとり


先輩が渡してくれたこのログに、思いつきを追記していくことにする




ひとまず暗黒物質の観測はできた


簡易的だが、現時点までに立てた仮説をまとめる



1:ブラックホール内にはマイナスの空間が広がっており、暗黒物質で満ちている


2:暗黒物質に触れたあらゆるエネルギーは、同じ量の暗黒物質と共に消滅する

ただし永久鋼はその限りではない


3:方舟や我々を侵食する謎の有機体は上記2の特性に耐性を持っている



【1について】

驚くべきことだが、そうとしか考えられない


クラウス長官はあの時ここまで見えていたのか


ワームホールを作り出す高次元砲は撃った傍からこの世界に霧散する


一時的だが小規模の超新星爆発を発生させ、空間に穴をあけるほどのエネルギーを放出しているにもかかわらず、ここではその一切が瞬時に消える


このログに記載があった表現で言えば、この空間はさながら暗黒物質の海


あらゆるエネルギーは、この広大な負の海水に溶け出していくだろう



マイナスの世界というのは書きかけの論文から引用した言葉だ


我々の住む世界は全てプラスで満ちており、この世界はその逆


反物質で満ちた世界であり、プラスの世界である私たちは存在するだけでこのマイナスの空間に溶け出すとある


2で言及している通り、暗黒物質が反物質の性質を有しているというのは仮説通りではあるものの、なぜ永久鋼は有機体を纏うのみであり、消滅しないのか


この特性の解明を今後の調査目標の1つとする


この空間についてだが、水のように流れがあるらしく、方舟は今も緩やかに流されている


ブラックホールが我々の宇宙とこのマイナスの空間とを繋ぐ役割をしていたとなれば、いずれ別のブラックホールから出る可能性も考えられる




【2について】

これは大破した機関部にて、永久鋼の外装と骨組み以外の箇所が軒並み消えていることからも分かる通り、暗黒物質は反物質としての性質を有している


この性質のせいで観測の際に設備が少しもっていかれてしまった

他の設備から流用できる部品だけで済んでよかった


機関部が大破し、暗黒物質が船内に入ってきたとすれば、我々もすぐに消滅してしまうのだが、スプリンクラーと光を吸収し消滅したのか被害は小さかった


3でも記載するが、採取した暗黒物質にしばらく光を当てると消滅したことから、物質を安定したエネルギー体とし、全てのエネルギーと同じ量を消滅させるという性質があると推測できる




【3について】

永久鋼に生じた有機体は今もなお方舟内部をゆっくりと侵食している

この空間への進入直後から外装と方舟内部の一部に生じたが、一向に消える様子はない


暗黒物質の観測においてこの性質は非常に重宝し、暗黒物質の採取と実験はこの有機体に包んだ状態で行った


暗黒物質は熱を常に吸収し絶対零度を保っているが、水分を含んでいるであろうこの柔らかな有機体が凍結することは無かった


この有機体の組織については10歳未満の人間の皮膚および筋繊維ということがタク教授の研究にて分かっているが、現時点で永久鋼に発生するプロセスについては未解明



【今後】

観測と初期実験の段階であるため、これより各種実験に着手する


永久鋼の謎の特性についても、太陽石の性質によるものが大きいと予想できるため、この空間における太陽石の性質の検証も行う必要がある


受け継いだログに記載のある「人の魂」が関与している可能性は否定しきれないが、一旦無いものとして実験を進める


有機体についての調査はタク教授の論文で完結とし、暗黒物質と太陽石の解明に注力する







先輩方の生命維持装置が人間の心臓のように脈動する器官に変化していることについては未だ不明


そしてブラックボックス内に響く子供の声も鳴りやまない

何度メンテナンスポッドに入っても異常は見られないとされるため、この空間の影響によるものだとされるが原因不明




侵食の症状はまだ何とかなる


先輩方は今も生体コンピュータとして見守ってくれている


諦めるには、まだ早い




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