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第99話 その頃黒の女神は……

「はい!」


相手のシュートはリングに当たり、康太郎がリバウンドを取った。


俺はそれを確認し、康太郎からの縦パスを要求するために、逆サイドから走って康太郎から数メートル離れたところでもらった。


前に一人。


開始早々の速攻チャンスをものにしたいので俺は自分でぶち抜くのではなく周りを利用する見せるプレイをしたかった。


後ろから、志歩が走ってんね……アリウープしよっかな


アリウープとは、空中でパスを受け取り、地面につかずに空中にいる間にシュートを打つこと……これを公式戦でしたらベンチは盛り上がるし、相手はマジかみたいになって、少しだけ動揺してくれるから入ったら最高。


外したらはずいけど……まぁ澪はいないしいっか


俺は自分で行きますよ感を出して隣から走ってきてる志歩の頭上にパスを出した。


「おまっと」


志歩は空中で俺のパスを取り、しっかりとボールをバックボードに当ててリングに沈めた。


『お前ぇ』


決めた後に志歩を見ると目でそう語っていたので俺は目を合わせず直ぐにディフェンスに着いた。


早くぼこしてベンチに帰ろ


相手が頑張ってボールを運ぼうとするが、俺と義隆のディフェンスを前にして8秒バイオレーションになることがたくさんあった。


審判からの8秒バイオレーションを告げる声が聞こえるとベンチからの自分たちを褒める声と見せかけた煽るかのような声が飛び交っていた。


それからというもの、一回戦は19対97で圧勝した。


俺等は水筒とタオルを各自手に取り、外に出ようとしたら相手のベンチから選手たちが監督にブチギレられている声が聞こえてきた。


まぁ、それもそうだろうな、19対97なんて監督側からしても少しぐらい恥ずかしいと思うしな


哀れだなぁ、なんて呑気に考えながら体育館から出た。


義隆が周りの人に迷惑をかけないように皆を隅に集め、監督の話が始まった。


流石に試合内容で怒られるようなことは無いはず。


試合には勿論勝ったし試合内容自体も決して悪いとは思わなかったが、やはり監督の話となるとどんな状況どんな状態でも少し身構えてしまうのは、全国の部活動生共通なあるあるだと思う。


絶妙な緊張感な中、監督は、口を開いた。


「とりあえず、1回戦突破おめでとう、だが、明日はこんなにうまくいかないと思うから、遊んでもいいがしっかり睡眠を取り飯を食って体を休めるように」


「「「「はいっ!」」」」


「じゃあ、各々解散ということで」


さぁーって……まだ澪は学校だし適当に遊んでから帰るか。


監督は本部に戻り、俺等は2階の観客席に戻り各々バッシュを解いていた。


「着替えは1階の更衣室使っても良いけど早く着替え終えろって監督が言ってたから」


「オッケー」


俺はバックから澪が作ってくれた弁当をとり、食べようとした。


箸を握り、唐揚げに箸を伸ばそうとした瞬間。


「おい、蒼」


後ろから義隆に声をかけられてしまった。


「何?」


「着替えてから飯食おうぜ」


「あー、別にいいけど」


疲れたから弁当から食いたかったけど……汗臭いし流石に着替えるか。


俺は弁当をバックに戻し、結ばれたビニール袋に入った着替えを取り、更衣室に向かった。


◆◆◆


「であるからして――」


「はぁ……」


普段だったら食堂でバスケ部の人達と楽しく喋っている蒼君を見れるのに、今日は蒼君がいないから昼休みも全然面白くなかったです。

授業もあまり集中できませんし……


ただでさえ面白くない数学。

ただでさえいつも長く感じる50分。

そんな他の人からはどうでも良いと感じられるただでさえが今日は更に感じてしまう。


50分窓から見える桜島をぼーっと眺めていると。


キーンコーンカーンコーン


「あーじゃあ、残りの2、3、4番は宿題でしてきて、そんじゃ終わります」


「姿勢、礼」


「っあ…」


私がぼーっとしていると、授業が終わり、クラス委員長さんが授業の終わりの声をかけている時に意識を取り戻したせいで、一人椅子に座ったままだった。


生憎と私はちっちゃいし、後ろ側なので先生にはバレていないと思いますが……周りの友達からの視線は少し恥ずかしいですね。


「早く帰ろ」


私は早く鞄を取り、隣のクラスである1年2組に向かおうとすると、既に廊下に咲茉ちゃんがいました。


私は待たせるわけにはいかないと思い、いつもより早く教科書を鞄に入れ、咲茉ちゃんが待っている廊下に向かいました。


「なんか元気ないね」


「ばれましたか」


顔には出さないように頑張ってたんですけどね……


私は咲茉ちゃんに見透かされているように感じたので素直に言いました。


「蒼君がいないから…やる気が湧きませんでした」


「可愛いね、そんあ澪ちゃんに朗報、一回戦突破したってさ」


よし、今日の晩ごはんは豪華にしましょう。

海鮮丼とか良さそうですね


それからというもの、私は咲茉ちゃんといっしょに帰りながらどの刺し身を使うか想像していました。


咲茉ちゃんによると、私は先程のやる気を感じれなさそうな顔から一転し、誰にでもわかるようにやる気に満ち溢れた顔に変わっていたそうで





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