第94話 男子高校生なので仕方ない
「生姜焼きです」
俺は澪に作ってあげた生姜焼きをドヤ顔で食台に置いた。
「おぉー、美味しそうですね」
「だろ、自信作だ」
俺が自慢げに言うと澪は『では……』とつぶやき箸を取り、一口サイズに生姜焼きを切って、小さな口に運んだ。
すると、澪は何回か咀嚼した後、澪は目をキラキラしながら俺の顔を見て飲み込んだ後、口を開いた。
「美味しいです!」
「ははっ、お口にあって何よりです」
俺は食い気味な澪に笑ってしまった。
俺も一口食べてみたが、自分で言うのもあれだけどそこら辺の定食屋の生姜焼き定食よりかは美味いと思った。
美味いな…まぁ、澪にはかなわないけど
定食屋よりかは美味しいと思ったが、澪の手料理には叶いそうに無い、そんなクソ美味い料理を作る張本人は箸を休めるという言葉を知らないようで、一定のベースで休憩せずご飯と生姜焼きを食べてくれた。
「綺麗に食べたな」
「美味しかったですからね、お米ひと粒も無駄にしたくありませんから」
「そうか……じゃあ、適当に台所に置いててくれ、風呂から上がったら食洗機にぶち込むからさ」
俺がそう言って、2階に上がろうとすると、後ろから服を引っ張られる感じがした。
その犯人は澪だった。
「食器洗いぐらいは私がします…」
「いや、今日は俺が全部やるよ」
「でも…蒼君は私のために曲を作ってくれてるのに……」
澪は目尻に少し涙を浮かべていた。
俺は澪の目尻に浮かんでいる涙を人差し指で吹いてあげて、澪の頭を撫でた。
「澪が居ないと俺は多分まともな生活を送れてないと思う、そんなに気負わなくても、澪は毎日俺に尽くしてくれてるから、今日俺が全部家事をしたところで澪の恩返しは全然できてないしね」
「そ、そんなことありません!」
あれ?おこちゃった?
澪は頬を膨らませて、上目遣いで俺を見上げていた。
「蒼君も、私にとって隣に居てくれるだけで安心するし癒やされます、蒼君は自然と私に恩を売っているんですよ…」
「……お互い様だね」
俺は澪を抱きしめてから2階に上がった。
後ろからはソファーのクッションをぽこすかと殴っている音が聞こえてきた。
◆◆◆
っと、後は畳んで家事は終了だな
風呂から上がり、食器を食洗機にぶち込んで、洗濯機から衣服を取り出して、お母さんが居たときから服を畳む部屋として使われている部屋に投げ入れた。
にしても、俺の練習着が日に日に減っていっている感じがするのは気のせいだろうか?
俺の知っている限り澪は既に1枚俺の練習着を奪っている、怪しまない方がおかしいよな
澪の後で事情聴取すると決め、畳む作業を再開した。
いつも澪にまかしてたけど、畳のめんどいな……あ?
俺は洗濯された服の山を上から順に畳んでいたんだが、次の服を手に取った瞬間、柔らかい感触が広がった。
俺は何だろうと思い手にした物を見た。
そこには水色でフリルがついたパンツとブラジャーがあった
何であるんだ⁈
……多分咲茉との電話が終わった後に風呂に入ったのだろうけど、家で風呂ぐらい入れよ、どうせ歩いて1分ぐらいなんだからさ、にしても……澪の胸って小ちゃいな
やはり、俺も男子高校生。
女性の下着は興奮する品物、しかも俺の嫁の物。
俺は澪の下着を少し揉んでみた。
……もし、今澪がのぞいていたら俺は死んでるよな…後一回揉んで集中しよう
俺は澪の下着を最後に揉んだ後、俺の視界に入らない様、少し離れたところに置いて、作業を再開した。
「よし、終わったな」
……後は2階のタンスに入れるだけだが、澪のはどうすべきだ?
ここは素直に『下着あるから』と伝えるべきなのか?
…とりあえず自分のは運ぶか
俺は自分の練習着を両手で抱え、2階に向かった。
澪はソファーでクッションを抱えなら体育座りをして恋愛ドラマを見ていた。
後は下着問題だ
タンスに入れて1階に戻ると澪は頬を赤らめていた。
多分告白イベが発生してたんだろう、彼氏役がヒロインを壁ドンしているのが映っている
考えるのもめんどいし素直に言った方が良さそうだな
頬を赤らめて、クッションを強く握っている澪の肩を軽く叩いた。
「どうしました?」
「言いにくいんだが…澪の下着がありました」
澪は俺の方を見て固まってしまった。
「蒼君はここに残っててください……」
「わかった」
澪は小走りで下着を取りりにいった。
俺の手には未だにブラを揉んだ感触は残っていた。