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第89話 復帰の目処

私は事件の後から寝付くのが遅い……いや、意図的に私が寝付かないようにしていたのかもしれませんね。

それもこれも、あの炎上のせいなのですけど


「はぁ、これが炎上ってやつですか……」


私が配信内、好きな人がいるって宣言した後、適当に雑談をして、配信を終えると、とあるリスナーさんからDMが来ました。

『レイちゃん、トゥイッター見て!』と言われ、確認したのが運の尽き。


『せっかく推してあげてるんだからスパチャの金返せよ』

『意味わかんない』


よく小説とかで絶望した時に心が壊れる音がする、とか書かれているのを見たことがあるけど、正しくこんな心理状況の事を指すんだろうな。


私は、そのままベットに倒れ込み、長い時間そこで暮らしました。


お母さんが『どうしたの?』って聞かれ事情を話したお陰で少しはましになったけど、それでも学校には行く気も湧かなかったし、全てにおいてやる気が出なかった。


咲茉ちゃんから炎上の慰めのメッセージが来ていたが、読むだけして、返す気力が湧かなかった。


深い深い深海に落ちていく感覚。

誰がこんな私の気持ちに光を照らしてくれるのだろうそう思っていた中、微かな光が私のこころを灯しました。


◆◆◆


もし、これがあの黒の女神である柳田澪ですって言われて信じてる人は極僅かだと思う。


それ程今の澪は見るに堪えない姿に変貌していた。

いつもなら、全国の女性が羨ましがるような艶のある綺麗な黒髪も、今では俺の方がワンチャン艶があるのでは?と疑えてしまうし、顔色も、雪のように真っ白で小さな顔は、明らかに優れない顔色だった。


「蒼…君……」


おばあちゃんの足かな?と思ってしまうほどよれよれの足でベットから立ち上がろうとした。


俺は流石に座らせておくべきだ。

そう思い、すかさず澪の元に歩き、ベットに座るよう促した。


「ごめんなさい…ごめんなさい…」


ネグリジェに一つ、雫が落ちた。

澪の涙と解るのは容易の事だった。


「澪……配信頑張ってたんだね」


鼻水を啜る音が響く中、澪を首を縦に振った。


俺は澪を抱き寄た。


「澪には俺がついてるからね」


正直、俺は慰めるのが得意じゃない。

だけど、それが逃げる理由になるつもりも無い。


「一旦全部話してほしい」


俺は澪の目を見ながら、優しい声色を意識しながら言った。


もし慰めるのが得意な人は炎上して悲しい以外の事など、色々察せたりできるんだと思う。

けど、俺は炎上したと言うことしかわからないから情報を集めたかった。


「私が好きな人がいるって言ったら、前の配信で2万円のスパチャ投げてくれた人が、トゥイッターとヨウチュウブで……」


幸い、澪は俺に事情を教えてくれたのでよかった。


「カスみたいな事を言って俺の澪を傷つけたと」

「まぁ…はい……」


俺の澪を虐めるやつは殺すか


「アーカイブは残してる?」

「消し方がわからないので…」


勝った。


ネットに関して疎い澪でも、2万スパチャを投げてくれた人をキモイほどあるアカウントから見つけれたなら同一人物という事。

だとしたら、ヨウチュウブで登録してる名前とトゥイッターで登録している名前は同じと言うのがわかる。


後は虱潰し(しらみつぶし)


俺は頭で報復に関して考えていると、隣から服を引っ張られる感覚がした。

隣を見ると、心配そうな瞳で俺を見上げている澪がいた。


「蒼君も…悪者になっちゃう…やです…」


俺は澪に愛されているのを実感した。


「大丈夫だよ」


俺は澪の頭を撫でた。

いつもなら髪には一切引っかからないのだが、今日は髪に引っかかる。

風呂にも入っていないのだろう。


俺は早く解放してあげたかった。


「…話は変わるけどさ」

「ん?」

「澪にとって配信している事って俺に対しての秘密事だった訳じゃん」

「まぁ、そうですね…」


俺は澪の復帰するタイミングとして、良い案が浮かんだ。

俺が澪に書き下ろし楽曲を提供してそれを歌ってもらう。


Vtuberで、療養からの復帰などの時、復帰の狼煙として新曲、カバー楽曲をアップロードは良くある手法だ

と思う。


「俺も澪に秘密にしていた事があったんだよね」

「どんな隠し事を?」

「俺って、awoって名前でボカロを投稿してるんだよね」


澪の誕生日プレゼントのために活動を開始したと言うのは伏せておこう


澪の反応は案外良いものだった。

あーっと声を漏らしていた。


「awoさんって蒼君だったんですね」

「…もしかして、俺の事知ってた?」

「リスナーさんからawoさんの曲を聞いてみたいって言われた事があって」

「じゃあ、丁度良いね」


俺は1人で納得しながら言うと、澪は小首を傾げた。


「俺が澪に曲を作るからその曲をアップロードするのと同時に復帰しろ」


澪の瞳はいつも以上に大きく見開いていた。


「澪の歌声を聴きたい人が何千何万のいるんだぞ、いつまでそんなウジ虫みたいな生活を送ってるんだよ」

「……でも…」

「でもじゃない…澪には絶対、いつどんな時でも味方してくれる人がいるだろう」


澪は少し考えた後。

微笑みながら返した。


「そうですね、私の王子様」


俺の心臓くんは瀕死になってしまった。













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