第87話 相談教室
「じゃあ、行ってきます」
「あ、ちょっと待ってください!」
澪をたくさん弄った後、朝ごはんであるチャーハンを食べ終え、後は玄関を開けるだけ。
そんな時に澪から呼び止められたのでなんだろうと思い、振り返った。
「蒼ニウムを補充させてください……」
澪はもじもじしながら上目遣いをしながら聞いてきた。
俺も澪ニウム摂取しようかな
俺は両腕を広げ、澪を抱きしめる素振りを見せた。
澪も、俺が抱きしめてくれるとわかり、ワンピースと言っても過言ではない俺の練習着を纏いながら、澪は俺の胸にダイブして顔を擦り付けていた。
頭を左右に何回か振りながら俺の胸に擦り付けると、澪はとろっとした目つきで俺を見上げていた。
「っっ!」
何その目つき、俺の心臓くんがうるさくなっちゃったんだけど…可愛すぎ案件
俺はそのまま左腕を上げ、澪の頭を優しく撫でてあげた
一切俺の手は澪も綺麗な黒髪に引っかかる事がなく、撫でる事ができた。
「……モンブラン、お願いします……」
「はいじゃい」
澪は最後の確認を済ませると、俺から離れ『行ってらっしゃい』と言ってくれた。
俺も『行ってきます』と言い残し駅に向かった。
◆◆◆
「よし、配信がんばろー」
私は蒼ニウムを摂取し終え、私しかいないリビングの中で高々に腕をあげた。
まずはSNSで9時から配信しますって言ってからですね。
私はスマホで『9時から雑談配信します、よければ来てみてください』と告知して、準備にかかりました。
私は蒼君の部屋がある2階に向かうべく、階段を駆け上がりました。
みなさんに会えると考えると、少しだけ足が軽く感じました。
えっと、パソコンの電源を入れて。
パソコンのファンからの音が部屋に響きます。
ゴミ箱ってところに保管してるけど、いずれか絶対にバレますよね……早くお母さんに言ってパソコンを買いましょうか
私はゴミ箱から、配信に必要な物を取り出して、今日話す予定の雑談を考えていました。
蒼君にモンブランを買ってもらった事と……蒼君がかっこよかったのと……って蒼君は配信に出しちゃいけませんよね。
そもそも、私のことをガチ恋してる人っているのかな?
別に、Vtuberでもないんだし好きな人が居るぐらいは言ってもいいよね
私はその後も皆さんに話す予定の話題を考え、何時かな?と思い壁にかかってある時計を見ると、そこには8時50分の所に針が刺されていました。
もうこんな時間!
とりあえず、枠を立てて……
少し前までは咲茉ちゃんが居ないと配信枠なんて立てれなかったのに、今では1人でスムーズに立てれるようになり、自分の成長を感じました。
凄い…まだ始まってないのに既に7000人も待ってくれてる……
正直言って、未だに大人数相手に話をするのは慣れていません、それこそ、変な沈黙が流れると『何かいい話題』と考えてしまいます。
そんな時にコメント欄を見ると私の話題切れに合わせてるのかわかりませんが、たまたま、展開のしやすいコメントが流れます。
何回これに助けてもらったのか……
私が皆さんに感謝していると、既に始まる時間の1分前になっていました。
「落ち着いて、落ち着いて…私には蒼君が付いています……」
私は蒼君が近くにいる訳でも無いのに、蒼君がそばに居るって考えるだけで、呼吸も安定しますし、考えもクリアになります。
最早蒼君は私の精神安定剤です。
「皆さん、おはレイです」
とあるコメントがふざけて?言った挨拶をそのまま採用して言っていますが、この挨拶はセンスありだとしみじみ思います。
『おはレイ』
『おはレイです』
コメント欄もあいさつで埋め尽くされていました。
「えー、今日は雑談配信プラス少し私の悩みを皆さんに相談したいと思ってます」
コメント欄は疑問の声を上げてる者や、相談してみん?みたいな人がいました。
「その、悩みって言うのは…私って好きな人がいまして」
コメント欄はどんな人やら、俺のレイが…嘘だろとショックを受けてる人がいました。
それでも、幸いなことに、私の心にくるコメントをする人はいませんでした。