第81話 楽しいラーメン屋
中央駅から3分、桜島高校から10分のところにある美味いラーメン。
俺が頼んだのは豚骨ラーメン特大とチャーハン特大、お値段980円。
うん、安すぎる、味もいい上にここのチャーハンは普通に単品だけで食べる価値もあるぐらいに美味い。
俺は音を立てながら、豪快に少し太い面をすすっていると
「最近さ、やけに思うことがあるんだよね」
久則が急にレンゲをラーメンの器に置き、皆に問いかけた。
「由依さんってさ、蒼のこと好き説ない?」
「っげほ」
俺は唐突に久則が置いた爆弾により、麺が気管に入り咽てしまった。
え、何、もしかして結構匂わせしてたのか、普通に気づかなかったな、まぁどうでも良いけど。
「なわけないじゃん」
「いや、結構あると思う」
おいおい、ここで義隆さんが入ってくるのかよ。
義隆の推理力は全国で見ても高いレベルにあると思う、その証拠に、久則や志歩がついた嘘も顔の表情や視線などから見破ったりする事があったから。
そんなくそ推理力がある義隆が入ってくると説得力はもちろん爆上げ。
「蒼って好きな人いるの?」
「俺はいないよ」
大好きな人がいます
ずっと隣にいてくれるだけで24時間潰れるほど可愛いし、甘えたがりだから自然と甘えさせちゃうし、家事も料理もできるし、気配り……は、男相手だったらあんまりかもな。
俺は志歩から聞かれた質問に脳内では色々考えていたが、しっかりいないと答えた。
その時に康太郎の隣に座っている義隆は俺の顔を獲物は逃さない、鷹のように視線を離さなかった。
これはちょっとピンチかな?
俺は内心ひやひやしていて、早く義隆には視線を外してほしい思いが脳を支配していた。
「もしかして、柳田さん?」
「何故そうなる」
落ちつけ、柊蒼よ。
これは消去法、どうせ由依さんが違ったから芽依さんと言おうとしたけど前に由依さん派って言ったから違う、だぁら黒の女神って言われている澪になったんだろう。
「そういえば柳田さん、最近授業中先生の話を聞かずにスマホを眺めて少し笑みを浮かべてるよね」
「それは後ろにいる志歩しかわからん」
俺は耳を疑いたかった。
隣に座っている志歩が今すっごいカミングアウトをした。
もしかして澪さん俺との会話を見てニヤニヤしてるのか?
授業中見る時点であれだけど、そこは顔に出さずに頑張る所でしょ。
俺も授業中にスマホでゲームをしてるからスマホを見るなとは言えない。
それでも、俺はノートを取る時や問題を解いてる時など、下を向くときなど、さりげなく出来る瞬間に弄っているのに、澪は話の最中に弄っているらしい。
「まぁ、恋愛は自由だけど」
義隆がそう言うと志歩が『まぁーな』と言い話は俺の好きな人探しから外れていった。
バレなかった事が不幸中の幸いだろう。
しかし、次のヘイトを買ってしまったのは義隆だった。
「因みに、義隆は好きな人いる?」
「あー、俺は最近気になってる人はいるかな」
店内には芸人さんが色んな国にある世界遺産を巡るバラエティー番組の音声が響く中、俺達の周りだけは無音の空間が広がっていた。
おいおい、普段は色恋沙汰に興味がなさそうな義隆も恋はするものなのか……気になるなそれは
「因みに誰」
「肝付さん」
咲茉……だと、まぁまぁまぁ恋は自由だから良いものの……頑張ってほしいね
「クラスが違うって結構不利だね」
「そうなんだよね、まぁ気になってるだけだからまだ好きじゃない感じかな」
いやいや、恋という熱は日に日に滾りまっせ
それからというもの、色んな恋バナで盛り上がり、ラーメン屋から出ると、既に2時を回っていた。
「皆会計遅いな」
「何か、志歩が小銭探しに苦戦して今でも探してる」
バカだなーなんて思いながら、澪に今から帰ると送ると
「もしかして柳田さん?」
「違う」
「ダウト、君は右上を見すぎだ、人間嘘を付く時右上を見る可能性が高いんだ」
えー、そんなん知らんし……まぁ最悪義隆だったら良いけど
「まぁ、俺には関係ないから良いけど、柳田さんを狙う人は結構いるから頑張れよ」
俺はこのとき思った。
義隆にはバレたな
 




