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第71話 蒼君の自主練

なにあれ、ツァーリ・ボンバより火力エグそう


体が熱くなるのを感じる。

道行く人々の視線が自分に向けられているのではないかという不安に駆られながら、それでも足を止めるわけにはいかない。

澪に軽口を叩くことでこの妙な気恥ずかしさを紛らわせようとする。

俺は1人帰路をたどりながら周りに変な目を向けられていないと信じながら少し俯いて歩いた。


ちょいちょい、もう少し緩めに攻撃してくれないかな、流石に俺の心臓くんが悲鳴を上げてるんですが。


澪に愚痴を言いながら俺は足早に家に向かった。


玄関の扉を開けると、ジャージ姿の澪が出迎えてくれた。

彼女は小さく手を振りながら、いつもと変わらぬ柔らかい声で言た。


「おかえりなさい蒼君、私ができる限りの準備はしましたので、早く行きましょう……もちろん体育館も確保しました、1時間しか取れませんでしたが……」


俺は一瞬耳を疑った。

まさか体育館の予約をしてくれているとは思わなかった。


「いや、良いよ、100本なんて1時間あれば終わるし……」


いや、俺の嫁用意周到すぎじゃね。


澪は俺がやる予定だった体育館はの予約はもちろんみたいな感じで確保され、着替えも、タオルも、玄関に綺麗に畳まれて置かれていた。


俺が望んでいたことを、何も言わずに全てやってくれていた。


正直引くレベルで俺がしてほしいことをされていたので驚いてしまった。


「澪のお陰ですぐに行けるよ、ありがと」

「ん…えへへ」


感謝の気持ちを込めて澪の頭を撫でると、彼女は恥ずかしそうに頬を緩めながら目を細めた。

その仕草が可愛らしくて、俺は自然と微笑んでしまった。澪と共に体育館へ向かう道すがら、俺の心は少しだけ軽くなった。


◆◆◆


「私は入ったボールを蒼君に投げれば良いんですね?」

「そうそう、じゃよろしく」


蒼君はバスケットボールを手に取りながら答えました。


秀さんという方に圧倒的な実力差を見せつけられたことが悔しかったのか、ただひたすらシュートを撃ちたいと言っていました。

そんな蒼君の気持ちに応えたいと思い自然と気合に満ち溢れてきます


今私の目の前では、蒼君がスリーポイントを撃って、私が蒼君にパスをするというのを繰り返しているが、殆どのシュートが綺麗な音を奏でながらリングに吸い込まれている。


極稀に外すぐらいですが、確率は多分全国でも高い方のはずです、素人目でもわかるぐらいに殆ど決めているのに、まだ公式戦は出たことがないと言っていましたが、これで出れないってどんなにレベルが高いのでしょうか


私は少し蒼君について考えていると、ドリブルをついていた蒼君が話しかけてきました。


「後100本撃ち終わったら、どこか外食に行こう……寿司なんてどうだ」


寿司……良いですね、確かにここの近くに回転寿司がありますしね、しかもそこは安さをを売りにしていたはず…行かない手はありませんね


「行きましょう、さあさあ、早く撃ってください」


私は急かすように蒼君にパスを出していった。


喋りながらもパスを出し、シュートを撃ってまたすぐにパスを出し――それを繰り返し、30分が経った時、蒼君が放ったラストのシュートがスパッと音を立てながら綺麗にリングに吸い取られていった。


「よし、じゃあ帰ろっか、俺はリングを直してくるから、澪はこのボールを俺のバックに入れててくれない?」

「わかりました」


私は蒼君からボールを受け取り、済に置いてあったバックにボールを入れていました。


すると、受付の方から聞いてことのある声が聞こえてきました。

それが誰の声なのか――私は気になって仕方がなく、蒼君の方を見ましたが彼はリング直し中で聞こえていなかったようです


「いやー、最後の蒼対秀さんとの1対1凄かったよな」

「あぁ、蒼ってディフェンスの面で見たら部内でもトップレベルのはずなのにそれを圧倒してたもんな……なぁ康太郎、あれって蒼だよな」


嘘……早く隠れないと


私は自分の荷物を手に取り用具倉庫に隠れました。


お願い、来ないでください……!


私は神様に願っていました。

しかし、それも意味がなさそうです


「え……柳田さん、何してるの?」









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