第67話 スイーツに頼る
「はぁ……」
俺はショッピングカートを押しながら、澪に気づかれない程度でため息をついた。
普通にキモがられたよな……一応本心ではあったけどさ、まさか、澪のファッションに口を出す時が来るなんてな……
俺は目の前で油を両手に持って、どっちにしようかなと悩んでいる澪のファッションをもう一回上から下、見逃しがないようにゆっくりと視線移動しながら見た。
澪ってロングスカートばっかり履いてるけど、それ以外持ってるのかな?俺としてはロングスカートは好きだから良いんだけど
てか、ネグリジェって肌透けて見えるけど、恥ずかしくないのかな?
澪って多分貧乳の部類に入るから、あまり自分の胸は見せたくないはずだよな、それこそ、コンプレックスかもしれないし
俺は未だにどちらの油にしようか悩んでいる澪を見て、よくチャレンジしたなーと思った。
「こっちにしましょうか、えっと、後は醤油だけですね」
「じゃ、行くか」
そして、俺はカートを押して醤油が置いてある棚に着いた。
色々な醤油があるんだなーと考えながら棚を眺めていると
「そういえば、香川はどうでしたか?」
澪は俺の顔を覗くように顔を前に出して上目遣いの状態で聞いてきた。
その時に若干見えたとある物のせいであそこが硬くなって行くのを感じた。
——空のように澄んでいる水色のブラジャー
俺は即判断で視線を左上に持って行った。
おいおい、こいつエグ、流石にそれ見せてくるのはチートやろがい
俺の脳内では数々の妄想が浮かんでは消えてを繰り返していた。
落ち着け、まだ高一、やるとしても高2まで取っときたい、絶対に興奮するな
澪は小首を傾げて、俺の腕を突っついていた。
澪の突っつきのお陰で少し冷静になったが、次は、全国の貧乳女子に殺されるような事を考えてしまった。
澪って別に着けなくても良くね?ブラって支える為に着るやつなんじゃないのか?
……とりあえず、家に帰ったら色々そっち系の情報調べてみるか。
「あーお君?」
「ん?どうした?」
「鹿児島の醤油と香川の醤油、どうでしたか?」
澪はいつも通り、甘口と書かれた醤油をカートに入れ、早く教えてと目で俺に語りかけてきた。
「マジで濃ゆすぎ、大人ぶって普通の醤油で一貫食べてみたけど美味しくない、やっぱり甘口しか合わない」
先輩の奢りという形で1年数名と行ったが、甘口と書かれた醤油は無く、蓋の色が違う醤油が置いてあり、それのせいで俺は一貫目が美味しく感じなかった。
「でも、なんで鹿児島の醤油は甘いんですかね?」
澪はよく漫画で考える時に出てくるように、顎に手を添えて考えていた。
「それはね、環境の影響だよ」
「え…環境?」
俺は首を縦に振り、その後に続く言葉を言ったが、徐々に澪は死んだ魚のよな目に変わって行った。
「鹿児島は熱いから、エネルギー消費が激しいんだよ、だから、少しでもエネルギーを摂取するために甘口なったらしいよ、それに砂糖もよく取れたからっていうのもあると思う」
俺の話を終えると、澪は水を得た魚のように、急に元気になった。
「よくそんな事知ってますね」
「お父さんが教えてくれたからね」
「蒼君って雑学たくさん知ってますよね」
少しでも澪にかっこいい所を見せたかったから覚えたんだよなー
なんかさ、これ何って聞かれてすんなり答えれたらかっこいいじゃん、そんな考えを未だに持ってるのは少し異常なのかもしれないけど
「お父さんがよく知的好奇心を抑制するなーって言ってるからかな、疑問に思ったことはすぐに調べてるからね」
澪は納得したんだろう、その証拠として、首を縦に振りながならなるほどと何回も呟いた。
「だから、良く会話中にスマホを取り出してたりするんですね、なるほど、私との会話よりそちらの方を優先するんですね!」
おっとぉ?俺もしかして地雷踏んじゃった系男子かな?
澪は俺からショッピングカートを横取り、1人でプンスカと効果音を立ちながらレジに向かって行ってしまった。
落ちつけ、こうなった以上まともに口を聞いてくれないだろう、だったらここは手土産攻撃だな
生憎とレジは混んでいたので俺がアイスと、澪の大好きなモンブランで許してもらおう
俺はスーパーを早歩きで駆け抜け、量が多いモンブランとアイスを手に取り、レジに向かった。
これで話してくれるだろう……多分
 




