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第38話 一歩前進

「思ったんですけど」

「なんだ?」


焼き肉のお会計が終わり店から出ると澪が聞いてきた。


急に望遠鏡買いに行こうとか言われたら、なんか思うよな


「望遠鏡なんてどこで売られてるんですか?ネットとかで買ったほうが良さそうですけど……」

「普通に家電量販店とかに売ってるよ」

「へー、以外ですね」


澪は本当に以外だと思ってたらしく、少し口をぽかーんと開いてた。


おれも調べて家電量販店で売ってるって書かれてたのを見て驚いたな、まぁネット通販で買っても良かったんだけど


そんな事を思いながら歩いていると家電量販店に着いた


「すごいですね」

「今日はこっち」

「はぁい」


澪は冷蔵庫に釘付けにされていたので、おれは店でどれがどこに売られているのかを確認する地図に進行方向を変えさせた


「望遠鏡買って何するんですか?」


澪は首を傾げながら言った


「天体観測」


澪は『なるほど』と言いながら首を縦に振った


隣を歩く澪は、静かな表情ながらも興味を持ってくれている様子だった。


お金はお父さんからクレカをもらってきたからお父さんがなんとかしてくれるっしょ


「蒼君、望遠鏡のコーナーはあちらでしょうか?」


澪が店内の案内図を見ながら小さく問いかける。その言葉におれは頷き、フロアの奥へ進んでいった。


陳列された望遠鏡の数々を目にした瞬間、胸が高鳴った。大型の反射望遠鏡からコンパクトな屈折望遠鏡まで、どれも見るだけで心が躍る。


「すごいですね、これが望遠鏡のコーナーなんですね…こんなに種類があるなんて知りませんでした」


澪が感嘆の声を漏らす。その声を聞くだけで、おれはますますテンションが上がった。


「初心者向けか、月のクレーターぐらいは見えると」


おれは棚の上にあった小型望遠鏡の性能を見ながら少し考えた


これでも良いけど、せっかくお父さんからクレカをもらったんだから高いの買ってもいいか、自分の金じゃないんだし


「これでも良さそうですが、蒼君はもっと性能の良いものを探しているんじゃないですか?」


澪の言葉に一瞬驚いた。彼女がそんな風におれの気持ちを察してくれるとは思っていなかった。


澪にも天文の面白さを知ってほしいし、性能がいいに越した事はないからな


「そうだな…もう少し見てみようか」


その言葉の後、奥の棚に置かれた反射望遠鏡が目に入った。大型のレンズとしっかりした三脚がついていて、おれの理想に近い。


「土星の輪とかも見える……」


俺の説明に澪は真剣な表情でパンフレットを覗き込む。


「素敵ですね…蒼君にとって、とても価値のあるものになる気がします」


その一言が妙に心に響いた。


スタッフに話を聞き、予算との相談もしながら最終的にその反射望遠鏡に決めた。多少高価だったが、長く使えるものだし、何より星空をもっと深く楽しめると思ったからだ。


「重いので私も持ちますよ」


澪は言ってくれたが、俺は笑って首を縦に振った。


「ありがとう、じゃあ一緒に持とうか」


おれらはそこから駅に向かい電車に乗ったんだが、他の乗客からしたら迷惑なんだろうっと視線から感じ取った

これは仕方なかったと思い割り切る事ができたのでよかった


「蒼君はいつから天文学に興味を持ったんですか」


公園で休憩していると、隣に座っている澪に質問された


「お父さんがもともと宇宙が好きだった、てのと、おれでもワンチャン、天文学の発達にほんの少しだけ貢献できる可能性があるから」


澪はおれが言った意味がわからなかったのだろう

澪はおれの方を見ながら首を傾げていたから


「最近の望遠鏡は、家庭用でもこれ一つあれば色々できるっていうのが増えたんだ、この望遠鏡もそれなんだけど、うまくいけば新しい小惑星とか発見できるんだよ、それに小惑星だったら——」

「わ、わかりましたから一旦落ち着いてください」

「っあ、ごめん」


絶対に気持ち悪いって思われたな


「結局言いたいのは、おれだって男だから世界に名を刻みたい、小惑星は見つけた人が命名権を手にする、ワンチャンがあるのならおれはそれに賭けるよ、他人からは無茶に見えるかもだけど、そんな無茶な事に挑戦しないとチャンスは訪れないんだから」

「なんか、かっこいいですね」

「だろ」


って言ってもまだ高校生のガキだし、望遠鏡はお父さんので慣れてるから良いけど観測の練習はしとかないとな


◆◆◆


蒼君はかっこいいと思う

自分の興味がある事、してみたい事にたとえ他人から変に言われても信念を曲げる事はないと思うから


意気地なしな私もそろそろ行動に移してみようと思う


晩ご飯を食べ終わった後、私は咲茉ちゃんに電話をかけました


「もしもし、咲茉ちゃん」

「なんだいね、澪ちゃんよ」

「明日家に行っても良いですか?」

「おー、やる気になったのかな」


正直まだ怖いと思う部分はあります

知らない人からコメントで下手とか才能ないとか言われたくないから

でも、蒼君の言葉に私は感じる物があった


『そんな無茶な事に挑戦しないとチャンスは訪れないんだから』


挑戦しないと

自分からチャンスを掴む勢いでやらないと


「ちょうど従兄弟が来てるから、機材持って来てって伝えとくよ」

「お願いします」


お互いにバイバイと言い、電話からは元気な咲茉ちゃんの声ではなく無機質な音が鳴っていました


さぁって、引けなくなっちゃいましたね


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