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第36話 黒の女神はセンスが良い

えっと……なんだろう、これって一種のテロなんじゃね


今、おれの胸には澪がいるんだが……いつもと違って澪の顔が胸にあるのではなく、おれの顔にめっちゃ近い

いやね、別に胸に顔をあてるぐらいだったらまぁいいんだよ、恥ずかしいけど澪が可愛いからまぁいける


けどね至近距離にあるともう致死量

ただでさえ澪の顔はアイドル級なのに、そんな美人の顔が目の前って……可愛さより恥ずかしさのほうが勝っちゃうって


おれは澪の方を見た。


これがおれのお嫁さんかぁ……よく許嫁になれたな、こんな人を逃したりしたら今後、澪をを超えるスペックを持った人はいるのだろうか


おれは澪に背を向け目を瞑った。


長い長い夜をやっとの思いで過ごし朝を迎えた


◆◆◆


「蒼君、蒼君」

「何」


澪が作った朝ご飯を食べながらテレビを見ていると、

澪が食器を洗いながら話しかけてきた


「3日後に4人の結婚記念日じゃないですか?」

「あー、買いに行く?」

「行きましょう」


実際、全国で自分の両親の結婚記念日を覚えてる息子娘さんは何割いるのだろうか?

多分2割ぐらいだと思う、おれも澪に


『私のパパとママの結婚記念日と、蒼空(そら)さんと彩姫(あやめ)さんの結婚記念日、同じなんですって』


小4の夏、同じ8月とは思えないぐらい涼しかったあの時の澪の目は煌びやかだった


「今年はどうする?」

「そうですね……お花とペアルックのアクセサリーにしませんか?」

「何故にペアルック?」


澪は目をこれでもかっというほど見開き、ダイニングに腰を下ろした


あれ?もしかして地雷踏んじゃった系男子かな


「こういうのは夫婦同じ物の方がロマンチックじゃないですか」


へー、そうなんだ


「それに、お母さんと彩姫さんも、自分の夫と同じ物を身に付けてるってなると嬉しいはずです」


確かに、それはおれでも思った

だとしても、どんなペアルックのアクセサリーを買うのが正しいのだろう、おれは今ほぼお金無いに等しいけど


「因みに、お値段はどのくらいで?」


澪は『そうですね』そう言いながら頬杖を付いていた


澪には失礼だが、おれの頭の中はどんなペアルックのアクセサリーがいいのか、ではなく澪の頬杖を付いた姿に目を奪われ、それどころではなかった


よくテレビとかで芸人さんがゲストの女優やアイドルに


『本当に絵になってますよね』


っという褒め言葉を言ってたりするが、おれはそんな女子はいないだろ

そう思っていたが……なるほど、これは絵になりますな



「安めにしときましょう」

「わかった、じゃあ1時間後に家を出ようか」


おれはそう提案すると澪は首を縦に振り2階に上がって行った


◆◆◆


澪と一緒に両親たちの結婚記念日用のプレゼントを買いに、アクセサリーショップへと足を運んだ。澪の提案で『おそろいのアクセサリーがいいのでは』と決まり、店に着くまでは順調だったんだが――。


「蒼君、こちらのペアリングなんてどうでしょうか? デザインがシンプルで普段使いもできそうです」


澪が指さしたのは、落ち着いたシルバーのリングだった。細かい彫刻が施されていて、確かに上品で悪くない。


「うん、いいんじゃない? でも、おれの親はあんまりリングつけてるの見たことないんだよな」


そう答えると、澪は『なるほど』と軽く頷き、別のショーケースを見始めた。その真剣な横顔を見ると、彼女がどれだけこのプレゼント選びに本気で取り組んでいるのかが伝わっては来たが、おれのプレゼントを選ぶセンスは壊滅級なので、ほとんど澪が選んでいる


澪も


『蒼君は私が選んだプレゼントが良いか悪いかを判断してください』


そう言ったので、おれはそれに従った

女子って本当にファッションに関して熱いよな


「じゃあ、ネックレスはどうでしょう? これなら彩姫さんも蒼空さんもつけやすいと思います」


澪が次に見つけたのは、ペアのネックレスだった。一つはゴールド、もう一つはシルバーで、それぞれ異なる色ながら、中央に揃いのデザインが入っている。


「あり……でも、一旦保留にして、別のを探してみよう」

「では、最有力候補にして、別のショーケースを見ましょうか」


澪は悩ましげに眉を寄せながら、ショーケースの別のコーナーを見ている。彼女がこうして真剣に考えてくれているのを見ると、自分の両親のためにこんなに時間を割いてくれることが、ただただありがたかった。


「蒼君、ブレスレットはどうですか?これならあまり目立たずに、普段から身につけてもらえそうです」


澪が手に取ったのは、シンプルなチェーンタイプのペアブレスレットだった。お揃いのチャームって言うんだっけ?それがついていて、デザインも控えめでなんか上品。


「あ、これかも、これだったらうちの親でもつけそうだな。さすが澪」

「あ、ありがとうございます」


澪は少しだけ顔を赤らめて言った

その反応が妙に可愛らしくて、つい笑ってしまう。


「じゃあ次は雫さんと和希さんの結婚記念日プレゼントだな」

「それはもう大丈夫ですよ」

「あー、もしかしてもう完璧なプレゼント見つけちゃった感じ?」


おれはそう聞くと澪は『はい』と、そう返ってきた。

雫さんと和希さんのはおれなりに頑張ろうって思ったんだけどな


おれは澪の美的センスに驚きながら店を後にした





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