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第32話 朝からの攻防

「ん……朝か」


カーテンの隙間から漏れ出る朝日の光により今日はいつもより早く起きてしまった。


「ん……むぅ、くぅ」

「……ふぅーっ」


寝息だけでこんなに可愛い女子が他にいるのだろうか、多分いないんじゃないかな……いや、この世にいないでほしい


おれはスヤスヤと赤子のように寝ている澪の髪を撫で、パジャマである練習着姿で外に行き、ランニングに出かけた。


朝ご飯を食べずにランニングすると、脂肪が体を動かすのに必要なエネルギーに変換されるらしい、だから、体重を落とすなら朝ご飯を食べずにランニングするのが最適だと思う


「はぁ、はぁ、はぁ、」


おれは家の近くにある青焔の湯の目の前には、運動公園という公園がある、そこの中には野球場、プール、サッカーコートが2面、テニスコート8面、陸上競技場、その周りを囲むよう2キロのランニングコースがあるので、運動公園って名前がついたのも納得がいく

その運動公園のランニングコースは上りと下りの坂があるので、環境としては良い方のはず


そんなランニングコースを1キロ4分ペースで2周し、ストレッチをしていた。


おれは30分を朝の運動に使った。

30分程度だったら隣におれがいなくても泣き出すことは無いはず……澪も運動公園に走りに行ったって流石にわかってくれるはず……多分

てか、まだ寝てる時間でしょ


しかし、現状は違う


◆◆◆


「んう……朝……ふぁーっ」


私は大きなあくびをし、右を見ました。

本来だったらそこには私の大好きな人、私の夫、私が一生を共にする人がいるはずでした

しかし、そのような人影すらなく、蒼君が寝ていたところの温度も既に冷たくなっていました。


「……違う、蒼君は体を動かしに行った、だから、隣りにいない、うん、そのはず」


スマホは……充電器に刺さってないから持っていたのは確定です、だったら


私はスマホで蒼君に電話をかけました。


トゥルルル……トゥルルル


………まだ?


いつもなら長く感じないのに、今日はいつもより格段に長く感じる


トゥルルル……トゥルルル……トゥルルル


「もしもし」

「蒼君、今運動公園にいますか?」

「ああ、そうだけど…もう少しで帰って来るから安心して待っててね」

「っ、はい」


なんで蒼君はあんなに優しい声をだせるの!


友達と話している時の声より、いつも話している時と違い、今さっきの声は優しさに包まれていて私を安心させるには十分すぎる物ででした


ズルすぎます!


私は電話を切り、一人もう一回毛布に包まり悶えていました。


蒼君の手のひらで踊らされてる気がします……私だって蒼君を照れさせたいのに


「……とりあえず朝ご飯を作っておきましょう、後プロテインもですね」


私は思い体を起こし、1階に降りた。


「運動の後は軽いものにしときましょうか……って言っても、運動の後のご飯はどういうのが良いのかわからないしなぁ」


とりあえず調べてからですね、えっと……フルーツスムージーはまず果物が無いから無理……米は炊いてないから無理……


「あ……これにしましょう」


私が見つけたのはきゅうりとハムを挟んだサンドイッチでした。


私は直ぐに食パンを三角にいくつか切りました。


本当にきゅうりとハムは合うのかな

疑いたくは無かったです、ですが今までにきゅうりとハムのサンドイッチを見たことなんてありますかね普通……星は4,6あったから、味は良いはずなんだけど


疲れている人に美味しくない物は提供したくないですし、相手が蒼君です、私の料理で舌を肥えさせ


『レストランのご飯より、澪のご飯のほうが美味しいよ』


これを言わせるのは全国のお嫁さんの夢なのでは?

私もこのフレーズを蒼君の声で聞きたいですよもちろん


そんな事思ってたら、玄関から音がしました。


「だたいま」


帰ってきたぁ

私は包丁を置き、玄関に向かいました


「おかえりなさい、蒼君」

「はい、ただいま」

「ご飯はもう少しでできます」

「わかった、じゃあ風呂に入るよ」

「わかりました」

「……なんでニヤニヤしてんの?もしかしてなんかついてる?」

「え?」


待って、私ニヤニヤしてたの?いやまぁ今の会話が少し夫婦っぽいなーって思ってはいたんですが……まさか顔に出ていたとは


「いや、蒼君のお顔にも服にもついてるものは無いです」

「「そう、まぁとりあえず風呂からはいるは」

「あ、プロテインは作っときましょうか」

「おねがい」


よし、早く作り終わらないと


◆◆◆


あ、そうじゃん、買ってねぇじゃん


「……今日買いに行こう」


おれは頭を洗った後、澪のボディーソープを使い体を洗った。


「蒼君、ご飯できてますよ」


キッチンから澪の声が聞こえたので、なるべく早くタオルで体の水を拭き取った


「今日はサンドイッチです」

「へぇー美味そうだね」


おれは澪と隣り合う形でダイニングに座った


おれはお腹が空いていたので直ぐにサンドイッチに手を伸ばした

数回咀嚼したら、服が引っ張られる感覚がした。

そちらを見ると、澪が服の裾を引っ張っていた


「きゅうりを使ったサンドイッチなんですが……お味はどうでしょうか」


おいおい、上目遣いで聞いてくるなんて卑怯だろ、早くナーフされろ


「運動後だからかもだけど、きゅうりの水々さとハムの美味しさがマッチしていて、美味しいよ」

「よかったです……」


いや、おれは良くないけどね


何故なら、澪はおれに聞こえない音量で


『やった』


そう喜んだから


めっちゃ聞こえてまっせ、澪さんよ

なんでご飯中なのに心臓の鼓動がうるさいんだよ、食事中ぐらい落ち着けって心臓君


おれは朝から澪の攻撃に苦しんだ、今日の先制攻撃は澪だった。


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