第157話 体育祭11
「まてまてまて…ははっ」
俺は一人、皆が見てる中腹を抱えて笑ってしまった。
何故かって?
答えは簡単、澪が頑張って玉を投げても一向に玉が入らず、ジャンプしながら投げても変な方向に飛んでいってしまいながらも、めげず諦めずたくさん投げている姿が澪には申し訳ないがめっちゃ面白くてめっちゃ可愛かった。
「あいつ…下手じゃね?」
「これは養護できないぐらい下手だね、咲茉より100倍ぐらい下手なんじゃない」
確かに、咲茉も身体能力は高くない部類に入ると思うけど澪を見た後だと身体能力が高いって錯覚しちゃうよな。
咲茉は外れることもあるけど殆どを籠の中に玉を入れてるし、ジャンプしなくても籠に届いてるもんな……あれを芝居でできたら演劇とか女優の才能があるのかもしれないけど、多分あれはネタじゃないんだろうな。
いやネタに見えるわけないか。
そもそも、ん?
澪の頭に誰かが投げた玉が当たってしまった。
澪からしたら玉入れの競技上仕方ないとか思ってるんだろうけど、俺からしたらクラスマッチのこともあるからあのクソ女の攻撃と受け取ってしまう。
その裏付けとして、投げられた玉の方角を追うと丁度その女がいるクラスに当たる。
「てかさ、定期的に柳田さんの頭に玉が当たってない?」
義隆も気づいてるんだ。
「あのクソ女が澪に意図的に投げてるんだよ」
義隆はクソ女と聞いて誰なのか少し考えたが、誰なのかわかるとその女がいる方角に顔を動かした。
「あれがクソ女ねぇ……確かに玉入れだったら不慮の事故って装って攻撃し放題だもんな」
「クラスの距離も近いから疑いもなくすんなりと受け入れるからな」
クラス間がもうちょい距離を確保されていたら澪も何回目かの攻撃で誰かに当てられているって気づくかもしれないけど、今回の玉入れのクラス間が絶妙に近いせいで疑えにくい。
「よく観察しないとね」
証拠をたくさん集めて確実にあの女を叩き潰す。
そして親玉の隻影高校いじめグループ本体についての情報を貰う。
スパイを懲らしめたところで本質的には変わらないからな、情報を得てからしっかりと本体を叩かないと。
それからというもの、観察をしていたが澪の頭に当たることが無くなりただただ澪が届かなくて頑張ってる姿が可愛いという何の成果も上げることができなかった。
澪の安全が一番うれしいのは事実なのだが、俺からしたら情報がもっとほしいので澪には少しばかり傷ついてほしかった。
「まぁ、平和に終わったのをとりあえず喜ぶか」
視線の先には沢山の人が駆け足で退場するのが目に入った。
あの中に澪とゴミ女がいると考えると複雑な気持ちになった。
後書き
こんばんはアカシアです
明日と明後日は投稿できないと思います。
理由は、明日明後日合宿で書く時間を確保できなさそうだからです




